暃(5A73)
犯人がいないミステリー。
・タイトル
5A73
・著者
詠坂雄二
・出版
光文社文庫
構成は以下のとおり。
前書
一章
二章 湯村文
三章
四章 黒下園子
五章
六章 瀬名本光太
七章
八章 真室拓海
九章
十章 尾倉陸久
始末
解説
このうち、「前書」と「始末」では、筆者視点による話の俯瞰が語られています。また、「始末」では、前作「電氣人間の虞(おそれ)」にも登場した普通の人には見えない・聞こえないものが認識できる韮澤秀人と、筆者の詠坂雄二氏が、このミステリーの真髄を語り合います。
そして、タイトルの謎。
「5A73」とは、「暃」のJIS漢字コードで、読みや意味が無いことから、幽霊文字といわれます。
「前書」にもありますが、この小説のタイトルについては、出版流通上、「暃」という幽霊文字は扱えないとのことで苦肉の策でJIS漢字コードにしたとのことです。
まさに、この形について、小説の中では様々な解釈が語られます。
果たして、正解は?
そこをひたすら考え抜いた先に、「始末」で語られる真髄があります。
時間があまり無い方は、ぶっちゃけ「前書」と「始末」さえ読めば要約として充分だと思います。
ミステリー好きで時間をかけても構成をまるごと楽しみたい方は、最初から順番に読むといいです。
筆者(とその知人)が小説の一部になっているお話は私も何度か読んだことがあります。
筆者の表現にもありましたが
ノンフィクションでもフィクションでも効果に差は無い
これがその根拠だと思います。
都市伝説も妖怪やお化けといわれる抽象的な存在は、人がその存在を創り上げているという可能性を示唆するような内容の小説でした。
尖った小説。面白かったです。
ちなみに「解説」では、詠坂雄二氏の大ファンであるカモシダせぶん氏が「アメトーーク!」の「本屋で読書芸人」コーナーで詠坂雄二氏の素晴らしさについて語った話もあります。よほど好きな作家さんなんですね。私は詠坂雄二氏の小説を読むのはタイトルに惹かれた「5A73」が初めてでしたが、確かに最後まで展開が読めず新感覚ミステリーとして素晴らしいと思いました。
自殺が続くといえば「Smile」もそうでしたが、「5A73」はオカルト性よりも、客観性、ノンフィクション寄りのリアル性がありました。
「電氣人間の虞」も読んでみたいです。
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