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reiarrive
普通って何
「どんな女の子が好き?」
駅前のカフェで、何気なく聞いた私に、彼は少し考えてから言った。
「普通の子かな」
普通。
は?
その言葉がやけにひっかかる。
普通にかわいくて、普通に優しくて、普通に仕事ができて。
普通に気が利いて、普通に料理上手で、普通に誰からも好かれる。
それって、ほとんど完璧ってことじゃない?
今日のためにパックをして、クローゼットの前で一時間悩んだこのブラウスも。彼が好きだと言っていたから覚えたバンドの曲も。鏡の前で何度もやり直したメイクも。
全部、彼の中では「普通」の一言で片づけられてしまうのだろうか。
「ユアちゃんって、普通なところがいいよね」
そう言う彼は、心から褒めている顔をしていた。
だからこそ、少しだけ切なかった。
世の中には、もっと特別な女の子がいる。
目を奪う美しさや、誰にも真似できない才能を持つ子。
私は、まだもがいている途中だ。
「普通」は合格点かもしれない。でも、満点じゃない。
帰り道、街灯の下で自分の影を見る。
怒ると黙る不器用さも、昨日我慢した深夜のカップ麺も、会う前の緊張も。
私にとっては全部、必死で特別な毎日なのに。
でも、ふと気づいた。
彼の前では、無理に笑わなくていい。
沈黙があっても怖くない。
もしかしたら彼の言う「普通」は、「安心」のことなのかもしれない。
毎日食べても飽きない白ごはんみたいな。
派手じゃないけれど、ずっと灯り続ける電灯みたいな。
「…普通、か」
小さく呟く。
もしそれが、私だけの居心地の良さを指しているのなら。
それは案外、贅沢な言葉なのかもしれない。
次に会うときは、もう少しだけ胸を張ろう。
だけど
普通の私でいるために、どれだけ特別な努力をしているかなんて
たぶん、あなたには一生教えてあげない。
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