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鏡の向こうに隠れた、もう一人のあなたへ


「自分の能力は自分で使ってみなければわからない」


日本人初のノーベル賞に輝いた物理学者、湯川秀樹博士が遺したこの言葉は、どこか突き放すような厳しさと、震えるほどの祈りを秘めています。

私たちはいつの間にか、自分という人間の「形」を決めつけてはいないでしょうか。「私にはこの程度だ」「どうせ無理だ」と。見えない限界の壁を心の中に築き、その内側で小さく呼吸を整えてしまう。けれど、博士が見つめていたのは、目には見えない原子核の奥底にある、未知の調和でした。

誰もが、自分の中に「まだ見ぬ自分」を抱えています。それは、暗い夜の底で芽吹くのを待つ種のようなものです。その種がどんな色の花を咲かせ、どんな香りを放つのか。それは、光を当て、泥にまみれ、実際に育ててみなければ、自分自身にさえも知ることはできません。

一歩踏み出すことは、今の自分を壊すことかもしれません。不安に足がすくみ、孤独を感じる夜もあるでしょう。けれど、その震える足で地を踏みしめた瞬間、あなたの物語は、既製品の言葉ではない、あなただけの生きた言葉で綴られ始めます。

能力とは、あらかじめ備わった「道具」ではなく、使い込むほどにあなたの肌に馴染んでいく「絆」のようなもの。失敗や迷いこそが、あなたという存在に深い奥行きを与えてくれます。

今日、鏡の中に映る自分に、少しだけ期待してみませんか。「まだ何者でもない自分」を愛おしむことから、本当の旅が始まります。


あなたの内側に眠る無限の宇宙が、扉を叩く音を静かに待っています。






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