勇気は、連鎖する。ー そうして今日、友達が起業した。
「あなたって、なんかやりそうだよね。」
これまでの人生で、何度かそんな言葉をもらってきた。
最初に言われたときは、思わず笑ってしまった。少し大げさに聞こえたし、自分ではそんな特別な人間だと思っていなかったから。
「言葉を現実にしそう。」
「一緒にいると勇気をもらえる。」
そんなふうに言ってもらえるたびに、嬉しさと同時に、どこかくすぐったい気持ちになった。
正直に言えば、私はただ「やってみたい」と思ったことを口にして、怖くても一歩踏み出してきただけだ。
うまくいく保証なんてどこにもないし、不安が消えることもない。
それでも進めたのは、いつも誰かの言葉が背中を押してくれていたからだと思う。
「あなたならできるよ。」
たった一言なのに、その力は驚くほど大きい。
人は、自分ではまだ気づいていない可能性を、誰かに先に見つけてもらうことがある。
だから私は思う。
受け取った言葉は、そこで終わらせてはいけないのだと。
バトンのように、次の誰かへ渡していくものなのだと。
そうして今日、ひとりの友が起業した。
報告を聞いた瞬間、胸の奥がじんわりと熱くなった。
嬉しい、という一言では足りない感情だった。
もしかしたらあのとき、
「あなたならできる」と伝えたことが、ほんの少しだけ背中を押せていたのかもしれない。
もしそうだったなら、こんなに嬉しいことはない。
勇気は、連鎖する。
誰かから受け取った小さな光が、また次の誰かの足元を照らしていく。
特別なことじゃなくていい。たった一言でいい。
「大丈夫。」
「あなたならできる。」
その言葉が、人生を動かすことがある。
友達が新しい一歩を踏み出した姿を見ながら、私は静かに思った。
ああ、バトンはちゃんと渡っているんだな、と。
そして同時に気づいた。
これまで私もまた、たくさんの人からバトンを受け取ってここまで来たのだということに。
「なんかやりそうだよね。」
あの言葉は、ただの印象ではなかったのかもしれない。
誰かが私の未来を信じてくれた、最初のエールだったのだと思う。
人はひとりでは遠くまで行けない。
期待してくれる人がいて、信じてくれる人がいて、「きっとできる」と言ってくれる人がいるから前に進める。
もしあのとき、違う言葉を受け取っていたら。
「やめておいた方がいいよ」と言われていたら。
今の私は、少し違っていたかもしれない。
人生は、誰と出会うかで変わる。
そして、どんな言葉を受け取るかで、さらに変わっていく。
だから私は、これからも言葉にしていこうと思う。
誰かの可能性を信じて、ちゃんと伝えていこうと思う。
そうして私は、その言われた言葉を、次の人へバトンとして渡していく。
いつかその人が、自分の受け取った勇気を、また別の誰かへ手渡していくように。
勇気はきっと、こうして静かに広がっていく。
人から人へ。言葉から未来へ。
今日、友達が起業した。
その姿はまぶしくて、誇らしくて、そしてどこか希望そのものに見えた。
実は少しだけ、誇らしかった。
あの日、勇気を渡せた側でいられた自分のことも。
だから次は、誰の背中を押せるだろう。
そんなことを考えながら、私はまた、自分の一歩を踏み出している。

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