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孫子の兵法|第16話 勢いは作れる ~「正」と「奇」が勝敗を分ける瞬間~(兵勢篇)

なぜ、差は一気に開くのか

最初は、ほとんど差はない。

・能力も似ている
・条件も大差ない
・スタートも同じ

それなのに、
ある瞬間から、取り返しがつかなくなる。

追いつこうとするほど、
差は広がっていく。

兵勢篇は、
この「差が生まれる瞬間」について説いてる。


勝敗は、少しずつ決まらない

多くの人は、
勝敗は徐々に決まると考える。

しかし孫子は、
そうは見ていない。

勝敗は、
一気に決まる。

しかもその瞬間は、
外からはほとんど見えない。

勝敗は、少しずつ "見える形" では決まらないのである。


正と奇

兵勢篇で登場する、
極めて重要な概念がある。

正(せい)
奇(き)

正とは、正面からの動き。
基本
常道

奇とは、変化。
予想外
裏側

孫子は、
この二つを対立させていない。


正だけでは、勝てない

正は、安定する。
再現できる。
しかし、決定打にならない。

正だけで戦うと、
勝てない代わりに、負けもしない。

つまり、
膠着する。


奇だけでは、続かない

一方で、
奇だけを狙う人もいる。

奇は、一時的に効く。
驚きがある。
成果も出やすい。

しかし、
再現できない。
疲れる。
いずれ見抜かれてしまう。


勝敗を決めるのは「順番」

兵勢篇が語るのは、
正と奇の順番だ。

まず正で形を作る
相手を固定する
動きを制限する

その上で、
奇が入る。

奇は、
単独では意味を持たない。
正があるからこそ、効くのだ。


小さな差が生まれる場所

差が生まれるのは、
派手な場面ではない。

・相手が動けなくなった瞬間
・選択肢が減った瞬間
・判断が遅れた瞬間

このとき、
ほんの小さな奇が入る。

すると、
差は一気に広がる。


なぜ逆転は起きにくいのか

差が開いた後、
逆転はほとんど起きない。

それは、
力の差ではなく、
位置の差になっているからである。

高い所から低い所へ。
流れは、もう戻らない。


努力しても届かなくなる理由

差が開いた後、
人は努力で埋めようとする。

行動量を増やす
時間を削る
無理をする

しかしそれは、
勢に逆らう行為だ。

だから、
努力しても苦しいだけになる。


兵勢篇が示す現実

兵勢篇は、
残酷な現実を示している。

・差は後から埋められない
・勝敗は途中で決まる
・努力は万能ではない

だからこそ孫子は、
差が小さいうちに、
勝敗を決めに行く。


現代に置き換えると

現代で言えば、

・競合が身動きできない
・顧客が他を選べない
・選択肢が一つに絞られている

このとき、
ほんの小さな差別化が、
決定打になる。


核心メッセージ

勝敗を分けるのは、
大きな力ではない。

小さな差が、
正しい順番で入ったとき、
それは取り返しのつかない差になる。

正で固め、
奇で決める。

これが、
兵勢篇の核心だ。


次回予告


次回は、
さらに踏み込みます。
第17話|なぜ「同じ戦略」でも、結果が変わるのか
~兵勢篇が最後に残す「人」の問題~

形も勢も整っている。
それでも勝てない場合がある。

最後に残るのは、「人」の問題です。
兵勢篇は、そこへ入っていきます。

孫子の兵法シリーズ目次 ※最新記事までの全話が確認頂けます

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