5-3|なぜこの会社は負けたのか -「正面突破」を選んだ瞬間に勝負は決まっていた- (3/4)
橋頭保営業の重要性は、
成功事例だけでなく失敗事例を見るとより鮮明になります。
私は1999年、
「再就職支援事業」のCOOに就任しました。
当時は、日系企業、とりわけ製造業が
工場の統廃合や海外移転を急速に進めていた時代です。
工場閉鎖に伴い、
退職を余儀なくされる従業員の方々に対する
再就職支援ニーズは定期的に発生していました。
そこで私は「需要は明確だ」と思い、
地方工場を持つ大手日系企業に軒並み営業をかけさせました。
しかし――
3か月経っても、半年経っても、
一社も契約が取れませんでした。
失敗の原因を構造で見る
ここで、感覚ではなく構造で原因を整理しました。
当社は、
• 国内人材大手企業
• 英国上場・再就職支援企業
• 世界第2位・人材サービス企業
の三社合弁でした。
資本やバックグラウンドは申し分ありません。
しかし、
設立直後で「受注実績」がゼロでした。
日系企業が見ていたのは、
• 再就職率
• サービス内容
ではなく、
• どの会社が使っているか
• 何社の実績があるか
という取引実績でした。
つまり私は、
実績ゼロの弱者が
最も実績重視の市場に
正面から突っ込んでいた
という、
ランチェスター的に最悪の戦い方をしていたのです。
戦場を変えた瞬間、結果が動き出した
そこで戦略を全面的に切り替えました。
着目したのは、
• 取引実績を重視しない
• サービス力、品質重視
• 従業員が自分で選ぶ
• 合理性を優先する
外資系企業です。
受託規模は小さくても構わない。
まずは「実績」を作る。
営業先を外資系企業にシフトすることで、
契約を一つずつ積み上げました。
その後、
実績を持って再び日系企業に営業を再開すると、
反応は明らかに変わりました。
これが、
橋頭保を作った瞬間に戦況が変わった体験です。
この失敗が教えてくれたこと
• 市場に需要があっても勝てるとは限らない
• 正しい商品でも戦場を間違えれば負ける
• 弱者は「どこで戦うか」を決めなければならない
橋頭保とは、
勇気ではなく設計の問題なのです。
次回は、
弱者が営業で勝つための設計図 -4話のまとめ-
を説明します。
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