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孫子の兵法|第35話 戦争は自然さえ武器にする ~火攻篇が教える破壊の戦略~(火攻篇まとめ)

戦争というと、多くの人は
兵士の勇気や武器の強さを想像する。

しかし、古代の戦争では
それ以上に重要な要素があった。

それは

自然

である。

風、乾燥、地形、季節。
これらは時として軍隊以上の破壊力を持つ。

孫子はそれを利用する戦法として
火攻を解説している。

孫子はこう言う。

 火攻有五: 
 一曰火人,
 二曰火積,
 三曰火輜,
 四曰火庫,
 五曰火隊。


火攻は五あり。
火攻には五つの方法がある。

・火人
・火積
・火輜
・火庫
・火隊

これはそれぞれ

・兵士を焼く
・補給物資を焼く
・輸送物資を焼く
・倉庫を焼く
・陣営を焼く

という意味である。

つまり火攻とは
単なる放火ではない。

敵の戦争能力そのものを破壊する戦略

なのである。


火攻の本質

孫子は火攻について
もう一つ重要なことを言っている。

 以火佐攻者明

火を以て攻むる者は明なり。

現代訳すると、
火攻を使える将軍は
状況を理解している将軍

となる。

なぜなら火攻は
単純な戦術ではないからだ。

火攻を成功させるには

・天候
・風向き
・湿度
・地形

すべてを理解していなければならない。
つまり火攻とは

環境を味方にする戦争

なのだ。


歴史に見る火攻

歴史上、火攻で有名な戦いはいくつもある。

その代表例が
「赤壁の戦い」である。

208年、中国三国時代。
大軍を率いた曹操は、

南方の連合軍

・孫権
・劉備

と対峙していた。

曹操軍は20万以上の大軍。
連合軍はその半分以下。

正面から戦えば
勝敗は明らかだった。

そこで連合軍は火攻を計画する。

曹操軍の船は
揺れを防ぐため鎖で繋がれていた。

そこへ火船を突入させる。

さらに強い南風が吹いた。
炎は一瞬で艦隊を飲み込み、
曹操軍は壊滅する。

この戦いは

自然を利用した戦略

の典型例である。


火攻の条件

しかし孫子は
火攻を万能とは言っていない。
むしろ慎重である。

孫子は言う。

 非利不動,非得不用,非危不戦。

利に非ざれば動かず、得るに非ざれば用いず、危に非ざれば戦わず。

つまり、天時を得ざれば動くことなかれ。
条件が揃わなければ
火攻を行ってはならない。

火攻には

・乾燥
・風向き
・タイミング

といった条件が必要である。

条件が揃わなければ
逆に自軍が燃える可能性もある。

つまり火攻とは

リスクの高い戦略

なのである。


火攻が意味するもの

ここで重要なのは
火そのものではない。

孫子が言いたかったのは

環境を利用せよ

ということである。

戦争では
敵だけを見ていては勝てない。

重要なのは

・天候
・地形
・状況
・時代

すべてを含めた戦場である。

戦場は
敵と自分だけでできているのではない。

環境もまた戦力

なのである。


現代経営への応用

この考え方は
現代のビジネスにも当てはまる。

企業の成功は
必ずしも能力だけで決まらない。

多くの場合、

時代の流れ

が重要である。

例えば

・インターネットの普及
・スマートフォンの登場
・AIの発展

こうした環境変化は
巨大な市場を生む。

この流れを掴んだ企業は
急成長する。

逆に
環境を無視した企業は衰退する。
つまり現代経営における火攻とは

環境を読む戦略

なのである。


核心メッセージ

火攻篇が教えるのは
火の使い方ではない。

それは

環境を戦略に取り込むこと

である。

優れた将軍は
敵と戦う前に

・天候
・地形
・時代

を見ている。

戦場のすべてを利用する。

これが
孫子の戦略なのである。


まとめ

火攻篇は
一見すると特殊な戦術の章に見える。
しかし本質は違う。

孫子が言いたかったのは

戦争は環境によって決まる

ということだ。

強い軍が勝つとは限らない。
環境を利用した軍が勝つ。

これは戦国時代でも
現代のビジネスでも同じである。

市場もまた戦場である。

だからこそリーダーは
常に環境を観察しなければならない。
それが

勝つためではなく
負けないための戦略

なのである。


次回予告


第36話 勝敗は情報で決まる
~用間篇が教える情報戦~(用間篇)


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