世界の偉人シリーズ|第35話 ウォルト・ディズニー ディズニー創業者・夢を産業に変えた男
世の中には、
商品を作る人がいる。
会社を作る人がいる。
技術を発明する人がいる。
しかし、
「夢そのものを仕組みに変えた人」
は少ない。
映画は終わる。
キャラクターも流行がある。
ヒット作品もいつか忘れられる。
しかし彼は違った。
物語を作ったのではない。
夢が永遠に増殖する仕組みを作った。
ミッキーマウス
白雪姫
ディズニーランド
そして現在の巨大エンターテインメント帝国。
多くの人はディズニーをアニメ会社だと思っている。
しかし違う。
彼が本当に作ったのは、
「現実を忘れさせる仕組み」
だったのである。
ウォルト・ディズニー
ミッキーマウスの生みの親。
ディズニー創業者。
1901-1966|起業家・プロデューサー。
【貧しい少年は夢を買えなかった】
1901年、アメリカ・シカゴに生まれる。
裕福な家庭ではなかった。
父は厳格だった。
幼い頃から新聞配達をさせられる。
朝暗いうちから働く。
学校へ行く。
また働く。
遊ぶ時間は少なかった。
しかし彼には一つだけ好きなものがあった。
絵だった。
ノートに描く。
壁に描く。
紙がなければ何にでも描く。
後のディズニー帝国は、
実は一人の少年の落書きから始まっている。
そして彼は幼い頃から思っていた。
現実は楽しくない。
だから自分で楽しい世界を作ればいい。
【最初の会社はあっさり潰れる】
若い頃のウォルトはアニメ制作へ挑戦する。
しかし最初の会社は失敗する。
資金が尽きる。
社員へ給料も払えない。
会社は倒産。
現在なら完全な失敗である。
しかし彼は諦めなかった。
なぜなら、
彼が好きだったのは会社経営ではない。
物語を作ることだったからである。
【最大の裏切り】
やがてウォルトは、
オズワルド・ザ・ラッキー・ラビット
というキャラクターで成功する。
しかしここで事件が起きる。
契約先との交渉で、
キャラクターの権利を失う。
社員も引き抜かれる。
作品も失う。
事業の土台が消える。
現在の言葉で言えば、
IPを奪われたのである。
普通なら終わりだった。
会社を失う。
キャラクターを失う。
仲間を失う。
成功そのものを失ったのである。
帰りの列車、
普通の人なら絶望する。
しかしウォルトは違った。
失ったオズワルドを考えなかった。
次に生まれるキャラクターを考えていた。
未来しか見ていなかったのである。
ここがウォルト・ディズニーだった。
そしてその列車の中で生まれたのが、
後のミッキーマウスだった。
【なぜネズミだったのか】
ここが面白い。
ミッキーは最初から計算されたスターではない。
むしろ追い詰められた末の再出発だった。
ネズミは小さい。
弱い。
どこにでもいる。
しかしウォルトはそこに価値を見た。
強いヒーローは限られた人しか共感できない。
しかし弱い存在なら誰でも応援できる。
つまりミッキーは、
ウォルト自身だったのである。
倒産した。
裏切られた。
それでも前へ進む。
だから世界中の人が感情移入できた。
【ミッキーはキャラクターではなかった】
1928年、蒸気船ウィリー公開。
ここでミッキーマウスが世界へ登場する。
しかし本当の革新はネズミではない。
音だった。
当時のアニメは無声映画だった。
しかしウォルトは、
映像と音を完全同期させた。
観客は驚いた。
ミッキーが生きているように見えたからである。
ここからアニメは子どもの娯楽ではなくなる。
映画になる。
文化になる。
【利益は夢の燃料だった】
ウォルトには有名な経営思想がある。
利益のために作品を作るのではない。
作品を作り続けるために利益が必要なのだ。
ここが重要である。
ロックフェラーは利益を最大化した。
サンダースは味を標準化した。
ウォルトは違う。
夢を作り続ける仕組みを作った。
映画で利益を出す。
次の映画を作る。
キャラクターを育てる。
さらに大きな作品を作る。
つまり利益は目的ではなく、
創造の燃料だったのである。
【白雪姫という狂気】
1937年、世界初の長編カラーアニメ映画。
白雪姫。
周囲は反対した。
アニメで90分?
誰も見ない。
必ず失敗する。
業界では、
「ディズニーの愚行」と呼ばれた。
しかし結果は大成功。
ここでウォルトは証明する。
人はアニメを見ているのではない。
物語を見ているのだと。
【映画の中へ人間を入れる】
やがてウォルトはさらに大きな夢を見る。
映画館では足りない。
スクリーンでは足りない。
人間を物語の中へ入れたい。
そこで生まれたのが、
ディズニーランドだった。
1955年開園。
しかし当時の遊園地は荒れていた。
汚い。
危険。
大人は退屈。
ウォルトは考える。
ならば自分で作ればいい。
【ディズニーランドの本当の発明】
多くの人は、ディズニーランドを
夢を見せる場所だと思っている。
しかし違う。
ウォルトが本当に発明したのは、
現実を排除する仕組み
だった。
政治を見せない。
宗教を見せない。
生活感を見せない。
裏側を見せない。
ゴミ箱は30秒以内。
キャストは従業員ではない。
演者である。
客は顧客ではない。
ゲストである。
全てはショー。
全ては物語。
キャラクターは正体を明かさない。
裏方の通路は隠される。
夢を作ったのではない。
現実を思い出させる要素を
徹底的に消したのである。
だから人々は驚いた。
遊園地に来たのではない。
物語の中へ入った感覚になったからである。
ウォルトが作ったのはテーマパークではない。
現実を忘れさせる巨大装置だったのである。
【夢想家と呼ばれた男】
ウォルトは何度も批判された。
夢ばかり見ている。
金にならない。
理想論だ。
しかし面白いことに、
彼は夢だけの人間ではなかった。
夢を見る。
仕組みを作る。
利益を出す。
さらに大きな夢を作る。
その繰り返しだった。
だから夢想家でありながら、
巨大企業を作れたのである。
しかし彼は決して優しい夢の人ではなかった。
理想のためなら妥協しない。
気に入らなければ描き直す。
周囲が無理だと言っても進める。
時には社員と衝突し、
時には経営陣とも対立した。
なぜなら彼が守りたかったのは、
作品ではない。
理想だったからである。
だから周囲は彼を夢想家と呼んだ。
しかし後から振り返れば違う。
夢想家ではなく、
現実を作り変えた人だったのである。
【最後の夢】
晩年のウォルトはさらに先を見る。
EPCOT構想。
多くの人は現在、
テーマパークだと思っている。
しかし本来のEPCOTは違う。
Experimental Prototype Community Of Tomorrow
未来都市計画だった。
映画ではない。
テーマパークでもない。
本当に人が暮らす街。
交通。
住宅。
商業施設。
教育。
テクノロジー。
未来社会そのものを設計しようとしていたのである。
ここが面白い。
ウォルトは最後、
アニメ会社の経営者ではなくなっていた。
テーマパーク経営者でもない。
都市設計者になろうとしていたのである。
しかし完成を見ることなく、
1966年に死去。
65歳だった。
最後まで彼は、
次の夢を見ていた。
【戦っていた相手】
ウォルトが戦っていたのは、
他の映画会社ではない。
本当に戦っていたのは、
・退屈な現実
・創造性への無理解
・資金不足
・権利喪失
・倒産
・夢は金にならないという常識
・妥協
・人々の諦め
だった。
彼は映画を作りたかったのではない。
人々へ夢を見る場所を作りたかったのである。
【これは戦略だったのか】
結果だけ見れば、
世界最大級のエンターテインメント企業の成功譚。
しかし彼の行動には一貫した型がある。
絵を描く
↓
物語を作る
↓
アニメを作る
↓
失敗する
↓
新しいキャラクターを作る
↓
世界的人気になる
↓
利益を得る
↓
次の作品へ投資する
↓
世界観を広げる
↓
テーマパークを作る
↓
体験へ変える
↓
ブランドになる
↓
文化になる
さらに、
キャラクターを作る
↓
物語が生まれる
↓
感情移入が起きる
↓
商品になる
↓
映画になる
↓
テーマパークになる
↓
体験になる
↓
世代を超えて受け継がれる
つまりウォルトは、
アニメを作っていたのではない。
夢が増殖する仕組みを設計していたのである。
【まとめ】
ウォルト・ディズニーはアニメーターではない。
夢の設計者だった。
ミッキーマウスを作った。
白雪姫を作った。
ディズニーランドを作った。
しかし本当に残したものは別にある。
夢を見ることは現実逃避ではない。
夢を形にすることは事業になる。
そして事業は文化になる。
彼はそれを証明した。
多くの人はディズニーを見る。
しかしウォルトが見ていたのは、
その先にいる子どもたちだった。
映画を見て笑う子ども。
キャラクターに会って喜ぶ子ども。
現実を忘れて夢を見る人々。
ウォルト・ディズニーとは、
世界で初めて
「夢を産業に変えた男」
だったのである。
次回予告
世界の偉人シリーズ|第36話 蒲生氏郷
戦国武将・会津藩祖
こちらが投稿記事インデックスです。
ご関心がある記事があれば是非ご覧ください。
投稿記事インデックス ★こちらで関心ある記事をお探し頂けます
投稿記事インデックス#2 ★シリーズ毎の閲覧メリットを説明しています
孫子の兵法シリーズ目次 ※全42話が確認頂けます
三十六計シリーズ目次
世界の偉人シリーズ|インデックス
いいなと思ったら応援しよう!
もしよろしければ応援をお願いいたします。いただいたチップはクリエイター活動費に使わせていただきます!ありがとうございます。