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6-3|事業が伸びる瞬間に起きていること  -実は「たった一つ」しか変わっていない- (3/4)

第6章(6-1、6-2)では、
良い事業・良いサービスでありながら、
「判断の設計」を誤ったことで止まってしまった例を見てきました。

ここで一度、問いを整理します。

事業が伸びないとき、
人は何が足りないと考えるでしょうか。

・商品の魅力
・価格競争力
・広告量
・営業力
・努力
・熱意

私の経験上、
事業が伸び始める瞬間に起きている変化は、ほぼ一つです。


判断が「軽くなった」瞬間、人は動き出す

事業が動き出すとき、
次のような現象が同時に起きます。

・顧客が迷わなくなる
・現場が説明に詰まらなくなる
・意思決定のスピードが上がる
・「相談」が「行動」に変わる

これは、
能力が上がったからでも、
気合が入ったからでもありません。

判断が軽くなったからです。


判断が重い状態とは何か

判断が重い状態とは、

・比較できない
・想像できない
・失敗したときの責任が重い
・正解が見えない

こうした要素が重なると、
「選ばない」という選択が最も安全な状態になります。

6-1での「通り名」
6-2での「和室」や「過剰な選択肢」

これらはすべて、
顧客や現場を “判断できない状態” に置いていた例です。


人は「納得」ではなく「判断できた」ときに動く

よく、

「顧客に納得してもらう」
「現場を説得する」

という言葉が使われます。

しかし実際には、
人は完全に納得していなくても動きます。

逆に、
どれだけ納得していても、
判断できなければ動きません。

人を動かしているのは、
感情や論理以前に、

判断できるかどうか

です。


判断が軽くなる設計とは何か

判断が軽くなるとき、
必ず次の条件が整っています。

・比較軸が明確
・イメージできる
・選択肢が絞られている
・失敗しても致命傷にならない

これは偶然ではなく、
設計によって作るものです。

・名前を変える
・見せ方を変える
・順序を変える
・体験させる

これらはすべて、
判断を軽くするための技術です。


組織でも、同じことが起きている

この構造は、
顧客だけでなく、組織でも同じです。

・現場が動かない
・会議が長い
・決定が先延ばしになる

こうした組織では、
多くの場合

・何を基準に判断すればいいかわからない
・失敗したときの責任が重すぎる
・正解が一つだと思い込んでいる

結果として、
動かないことが最適解になります。

生産性が上がらない組織で、よく聞く言葉があります。

・それ、やってもいいんですか?
・教わってないからできません
・誰からも指示はありませんでした

これらに共通しているのは、
すべてが「受動的」だということです。

しかし、
目的が共有され、判断が軽くなると、どうなるでしょうか。

これらの言葉は、
組織から自然と消えていきます。


経営や責任者の役割は「答えを出すこと」ではない

多くの責任者は、

・正しい答えを出そう
・完璧な判断をしよう

とします。
しかし、本当に必要なのは、

判断できる状態を作ること

です。

判断の基準
情報の粒度
失敗しても許される範囲

これらを整えるだけで、
人は自ら動き始めます。


事業が伸びる瞬間に起きていること

事業が伸びる瞬間に起きているのは、

・天才的なアイデア
・奇跡的な営業
・劇的な改革

ではありません。

『判断が軽くなった』

それだけです。


私が今もやっている仕事

私は今も、

・戦略
・営業
・組織
・事業設計

すべてにおいて、
同じ問いを使っています。

「これは、人が判断できる状態か?」

答えが「NO」なら、
どれだけ正しくても、設計を疑います。

判断が整えば、
人は自然に動き出す。

第6章で書いてきたのは、
その一貫した実体験です。


次は、
経営者の判断が重くなる理由
-事業拡大を「構造」で考え直す-
について説明します。


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