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三十六計|第6話 声東撃西 ~注意を逸らし本命を通す~

人は事実を基に判断していると思っている。
しかし実際には、
「見せられたもの」で判断している。


多くの人は「正面突破」が最も分かりやすいと考える。
しかし戦略においては、正面から攻めるほど不利になる。

なぜ見せる方向と攻める方向を分けると勝てるのか。
その答えが、この第六計にある。


【三十六計 第六計の意味】

 声東撃西(せいとうげきせい)
 東に声して西を撃つ

注意を別に向けさせ、本命を通す戦略。

本質は「フェイント」ではない。
重要なのは、相手の認識・意識を操作することにある。

・相手に注目させる
・相手に判断させる
・相手に誤認させる

その結果として、
本来守るべき場所が空く。

これが「声東撃西」の本質である。


【現代語訳】

人は見ているものを信じる。

・目立つ情報に反応する
・強調されたものを重要だと思う
・自分の判断を正しいと信じる

これに対し、

・見せる情報を設計し
・注目をコントロールし
・本命を通す

この差が、そのまま結果になる。

・正面から攻めない
・見せ方を作る
・認識をずらす

これが声東撃西である。
そして多くの場合、

・本人は誘導されていることに気づかない
・自分の判断だと信じている
・間違いに気づいた時には手遅れになる

これが認識を操作されるということだ。


【歴史の事例】

中国・三国時代。

魏の軍は正面の動きに注意を向けさせられ、
別方向からの攻撃に対応が遅れた。

・主力が別方向に引きつけられ
・防御が分散し
・本命への対応が遅れる

結果として、

・突破を許し
・戦局が一気に崩れた

ここで重要なのは、

力で破ったのではなく、
認識をずらしたことで勝った点にある。


【戦国時代の事例】

武田信玄もこの戦略を用いている。

・正面で圧力をかけつつ
・別働隊を動かし
・隙を突く

相手は

・正面の脅威に集中し
・対応が固定され
・柔軟性を失う

その結果、

・守りの薄い地点が生まれ
・一気に崩される

「どこを攻めたか」ではなく、
どこを見せたかが勝敗を分ける。


【経営応用事例】

① 商品戦略

新商品の一部機能を強く打ち出すことで、

・市場の関心を集め
・競合の対応を誘導する

その裏で、

・本命の価値や構造で差をつける

競合は見えている部分に対応し、
見えていない部分で差が広がる。

② 価格戦略

一部商品で価格訴求を行うことで、
・「価格勝負の会社」という認識を作る

その結果、
・競合が値下げ対応に走る

しかし実際には、
・利益の出る商品で収益を確保している

認識をずらすことで、
相手に誤った対応をさせる。

③ 交渉戦略

交渉の場で、

・あえて別の条件を強調し
・相手の関心をそちらに向ける

その間に、

・本当に重要な条件を通す

人はすべてを同時に判断できない。
だからこそ、焦点を操作する。


【経営での活用法】

この戦略を機能させるには設計が必要である。

① 見せるポイントを決める
相手に注目させる要素を設計する

② 本命を定義する
本当に通したい部分を明確にする

③ 認識の流れを作る
どこに注意が向くかをコントロールする

④ タイミングを合わせる
注目が集まっている間に実行する

⑤ 一気に通す
迷わせず決着させる


【核心メッセージ】

戦いは見えている場所で起きていない。
だから

・見せられている側
・誘導されている側
・注意を奪われている側

が負ける。

戦略とは力のぶつかり合いではない。
認識の設計である。

孫子で言えば

「形を示して之を惑わす」

形を見せて、相手を惑わせよ、という意味だ。


【まとめ】

声東撃西は小手先の技ではない。
本質的な戦略である。

・見せる方向を作る
・本命を隠す
・認識をずらす

重要なのは

・どこを攻めるかではなく
・どこを見せるかである

正面突破は消耗する。
認識を操作すれば抵抗は消える。

これが

「注意を逸らし本命を通す」
ということである。


次回予告


三十六計|第7話
無中生有 ~存在しないものを現実にする~

第7話のポイント
実体がなくても、人はそれを現実だと信じる。
・情報、評価、ブランド、空気
・「存在しないもの」が意思決定を支配する

現代においては、
事実よりも「認識」のほうが価値を持つ場面がある。

➡「三十六計」は36の勝ち方の「型」を説いています。
ぜひ次作もご覧ください。


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