三十六計|特別回第5話 見えている「勝負」は本物か ~攻戦の計・実例篇~
ここまでの第三套では、
「こちらから攻める局面」での型を扱ってきた。
しかし現実では、
・強く攻めている側
・主導権を握っている側
これらが一致していないことが多い。
表では攻勢に見える。
しかし裏では、別の場所で勝負が決まっている。
見えている世界と戦いの現実は
異なっていることが多い。
【事例①】
ある企業が、新市場で一気に攻勢をしかけた。
・テレビCMを大量投下
・値引きキャンペーンを連発
・新商品を短期間に続々投入
・SNS広告も広く展開
誰が見ても勢いがあった。
競合各社も慌てて追随し、
・価格を下げる
・広告費を増やす
・対抗商品を急いで出す
市場全体が騒がしくなった。
しかし数か月後、最初に攻めた企業が失速し始めた。
在庫が増え、
利益が減り、
新商品の話題も続かない。
一方競合他社は、
・大きな値下げはしない
・既存顧客対応を強化
・高利益率の主力商品を守る
・必要な場面だけ静かに販促
結果として最後に残ったのは競合企業だった。
ではなぜ、最も攻めた企業は真っ先に倒れたのか?
ゲームメーカーだった筈が、倒れたのはなぜか?
【事例②】
別のケースでは、
ある会社で同じ問題が何度も再発していた。
・納期遅延
・担当者同士の押し付け合い
・顧客クレーム
・現場の残業増加
その度に会社は、
・責任者に改善勧告
・会議を開催
・チェック表を導入
・応援人材を投入
することで対処した。
しかし数週間は落ち着くが、また問題が再発する。
そこで責任者を替え
対処法を抜本的に変えさせた。
・部署毎に別れていた工程を見直し総覧化
・責任範囲を明確化
・情報共有の流れを整理し一本化
・無理な受注基準を是正
すると騒ぎは落ち着き再発しなくなった。
叱責も増員もしていない。
残業時間も減った。
それでも問題は発生しなくなった。
なぜ、同一部門なのに責任者が変わったことで再発しなくなったのか?
【事例③】
さらに別のケース。
業界首位企業に対し、
後発企業は規模も知名度も劣る。
従い、
・広告費では勝てない
・販売網も小さい
・価格勝負も不利
正面から戦えば必敗の状況だった。
そこで後発企業は、
・大手が重視しない小規模顧客に集中
・サポート対応を徹底
・使いやすさに特化した商品を設計
・導入し易い料金体系に変更
地味だが確実に指示を集めて行った。
やがて、
・この企業の口コミが広がり
・使いやすさが評価され
・新規顧客が増え始める
首位企業が気づいた時には
市場の評価基準そのものが変わっていた。
なぜ、弱かった企業は逆転できたのか?
【分解】
これらに共通していることは、
・強く見える側が勝っていない
・正面衝突で決着していない
・結果は見えないところで決まっている
つまり、
「攻めている場所」と
「勝敗が決まる場所」が違う。
この違いに気づけるかどうかで、
見える世界が変わる。
【問い】
これらの構造は、どの型に当てはまるか。
・第19話
・第20話
・第21話
あるいは、複数の組み合わせか。
重要なのは正解ではない。
「相手のどこを見るか」
「何を崩せば流れが変わるか」
そこに気づけるかどうかだ。
一度この視点を持つと、
・派手な攻勢が弱く見え
・静かな一手が強く見える
ようになる。
【まとめ】
攻める局面ほど、
・勢いに目が向く
・大きな動きに引き込まれる
しかし実際には、
・消耗を誘った側
・原因を断った側
・土俵を変えた側
が結果を握ることがある。
見えている攻勢が、
そのまま勝敗の理由とは限らない。
戦いでは、
見えている場所は作られた場所かもしれない。
これは戦国時代も、経済戦争でも、事業競争でも同じだ。
相手に誤認させ、本命を通す。
それが「勝ち方」の王道である。
解答は、「第20話」とともに投稿します。
そちらで答え合わせをしてみてください。
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