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倒産事例|第一話 なぜ企業は倒産するのか ~「成功した構造」が企業を崩壊させる理由~

企業は「失敗」で倒産するとは限らない


企業は、
「失敗」で倒産するのではない。
「成功したやり方」で倒産する。

企業は突然倒産しない。
崩壊は、静かに進む。

そして多くの場合、その原因は
「成功し続けた構造への依存」による。


事例① レナウン

レナウン株式会社(アパレル企業)

1902年創業。百貨店向けブランドとして成長。
「アーノルドパーマー」などで知られ、
長年、百貨店を主力販路としてきた。

しかし時代は変化する。

・ユニクロなど低価格SPAの台頭
・EC市場の拡大
・百貨店の来客減少

それでもレナウンは、
百貨店中心の構造を変えられなかった。
販路を広げず、モデルも変えなかった。

結果、売上は減少し続け、
2020年、民事再生法を申請し事実上破綻した。


事例② スルガ銀行

スルガ銀行株式会社(地方銀行)

個人向け融資、とくに
不動産投資向け融資で急成長した。
しかしその裏では、

・特定業者への依存
・融資審査の形骸化
・書類改ざん問題

という歪みを抱えていた。

いわゆる「かぼちゃの馬車問題」により
ビジネスモデルは崩壊。
結果、業績は急激に悪化した。

※注釈
スルガ銀行は破綻はしていないが、
経営陣総退陣・金融庁の業務改善命令により
信用は大きく棄損した。


さて、ここで読者の方に質問します。

質問①

上記2社に共通する
「本当の崩壊トリガー」はどれでしょうか?

A. 売上の急減
B. 不祥事・規制強化
C. 依存していた前提の崩壊
D. 人材不足

直感で選んでください。


答え

「C」。
売上減少や不祥事は「結果」です。
本当のトリガーは
「それが続く前提」で経営していたこと。

・百貨店は残り続ける
・この融資モデルは回り続ける

この前提が崩れた瞬間、
すべてが一気に崩れたのです。


補足

「A」を選んだ方
→ 売上減少は最も分かりやすい「結果」です。
多くの人がここに注目します。
正しい視点ですが、しかし本質ではありません。

「B」を選んだ方
→ 不祥事や規制は確かに「引き金」に見えます。
しかしそれは、元々の歪みが表面化しただけです。

「D」を選んだ方
→ 確かに、人材不足は多くの企業で起きている問題です。
しかし今回の2社は「構造」が問題であり、人ではありませんでした。

どれも理由の一つです。
しかし「本当の崩壊トリガー」=本質はどれかが問いでした。
従い、「依存していた前提の崩壊」が回答になります。


崩壊の構造

この2社に共通するのは

・販路依存(レナウン)
・ビジネスモデル依存(スルガ銀行)

つまり
「1つに依存していた」ことです。

そしてもう一つ
代替手段を持っていなかった

これが致命傷になりました。


ここでひとつ考えてみてください。
もしあなたの会社で

・明日、最大の取引先が消えたら?
・主力商品が突然売れなくなったら?

それでも会社は安泰ですか?
代替手段が必要な理由がここにあります。


孫子の言葉

 勝兵先勝而後求戰,敗兵先戰而後求勝。
 勝つ者は、先に勝てる構造を作り、
 負ける者は、戦いながら勝とうとする。

レナウンもスルガ銀行も

・売上を優先
・拡大を優先

「勝てる構造」を作る前に戦っていました。
つまり、不敗の状態を作らずに戦っていた
ということです。


それではここで再度質問します。

質問②

この2社を最も的確に表す
孫子の言葉はどれでしょうか?

A. 知彼知己,百戰不殆
B. 勝兵先勝而後求戰
C. 兵貴拙速
D. 兵者,詭道也

これも直感で選んでみてください。


答え

「B」勝兵先勝而後求戰

本来やるべきは

・依存しない販路構造
・崩れないビジネスモデル

つまり、「勝てる状態」を先に作ることでした。
しかし実際は

・売上を追った
・拡大を優先した

順番が逆だったのです。


補足

「A」を選んだ方
→ 分析としては正しいですが、この2社は「構造」の問題でした。

「C」を選んだ方
→ スピードは本当に重要です。
しかし今回は速さではなく「順番」が問題でした。

「D」を選んだ方
→ 戦略としては本質的ですが、
今回のケースは「戦う前の準備」がなかったことが問題でした。

だから「B」が今回の回答になります。


最後に

依存は、成長を加速させます。
しかし同時に、
崩壊のスイッチにもなります。

厄介なのは
うまくいっている間は
誰もそれに気づかないことです。

企業は外部要因で倒産するよりも、

構造が弱いから、
外部変化に耐えられないから
その結果、倒産することの方が遥かに多いのです。


次回予告

倒産事例|第二話 なぜ企業は倒産するのか
~正しい判断でも企業は崩壊する~

判断ミスで崩壊した企業を扱います。

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