孫子の兵法|第36話 勝敗は情報で決まる ~用間篇が教える情報戦~(用間篇)
勝敗は戦う前に決まる
戦争は戦場で決まる。
多くの人はそう考える。
しかし孫子は違う。
戦争は戦う前に決まる。
孫子は用間篇でこう述べている。
知彼知己,百戰不殆。
敵を知り、己を知れば、
百戦して危うからず。
この言葉は孫子の兵法の中でも
最も有名な言葉の一つである。
しかしここで孫子が言いたいのは
単なる知識ではない。
情報である。
なぜ情報が重要なのか
孫子は言う。
戦争の最大の問題は
不確実性である。
敵の兵力はどれくらいか。
どこから攻めてくるのか。
補給はどうなっているのか。
これらが分からなければ
戦略は立てられない。
つまり戦争とは
『情報不足との戦い』
でもある。
だから孫子は
軍事書の最後に
「情報戦」を置いたのである。
先知者,不可取於鬼神,
不可象於事,
不可驗於度,
必取於人,知敵之情者也。
先知は鬼神に取るべからず、
事に象(かたど)るべからず、
度に験(ため)すべからず。
必ず人に取りて敵の情を知るなり。
現代訳すると、
未来や敵情の予測は、
占いや勘、過去のパターン分析だけに頼ってはいけない。
必ず「人(=情報源・スパイ)」から直接情報を取って、
敵の実情を知ることが重要である。
孫子はこう述べている。
・勝つ軍は戦う前に勝っている
・その差は「情報量と質」
なんだと。
歴史に見る情報戦
歴史上、情報が戦争を決めた例は多い。
例えば
ミッドウェー海戦。
第二次世界大戦の太平洋戦争で
日本海軍は大きな敗北を喫する。
その理由の一つは
暗号解読
だった。
アメリカ海軍は
日本海軍の暗号を解読していた。
それにより
・攻撃日時
・作戦目標
・戦力配置
を事前に知っていた。
だから
待ち伏せ
が可能だった。
戦闘が始まる前に
勝敗の大半は決まっていたのである。
情報を持つ者が勝つ
孫子は言う。
戦争で最も重要なものは
兵力ではない。
情報である。
なぜなら
情報は未来を変える
からだ。
敵の行動が分かれば
戦いを避けることもできる。
逆に敵が無防備な場所を
攻撃することもできる。
つまり情報は
戦略そのもの
なのだ。
現代ビジネスへの応用
企業競争でも
情報は決定的な力を持つ。
例えば
・市場調査
・顧客データ
・競合分析
・技術情報
これらはすべて
企業の戦略を決める。
優れた企業は
競合より早く情報を得る。
そして
競合より早く動く。
つまり、
情報格差が競争力になる
のである。
核心テーマ
用間篇の核心は明確だ。
戦争は情報で決まる。
兵力ではない。
情報を持つ者が
戦争を支配する。
但し、
この情報とは
占いや精神論ではない。
過去のデータでは不十分だ。
数字や理屈だけでは限界がある。
本当に必要な情報とは、
生(現場・人)の情報である。
つまり、
意思決定の質は、情報の質で決まるのだ。
まとめ
用間篇は
情報戦の書である。
・戦争は不確実性との戦い
・情報が戦略を作る
・情報を持つ者が勝つ
・戦う前に勝敗は決まる
優れた将軍は
兵士を増やそうとしない。
情報を集める。
それが
孫子の戦略なのである。
次回予告
第37話 見えない戦争、スパイこそ戦略の中枢である
~用間篇が教える五つの間~
孫子の兵法シリーズ目次 ※最新記事までの全話が確認頂けます
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