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7-3|失敗した企業の分岐点 -何が足りなかったのではなく、何を見誤ったのか-

前回は、
社名・商品・市場の定義を変えることで生き残った企業を見てきました。

今回は逆です。

技術も人材も資本もあったのに、
判断を変えられなかったために失速した企業の分岐点を見ていきます。

ここにこそ、学びがあります。


■ 分岐点①

コダック

「技術はあったが、判断が止まった」

コダックは、
世界で最初にデジタルカメラを発明した会社です。

しかし当時の判断はこうでした。
• デジタルが普及するとフィルムが売れなくなる
• 自社の主力事業を壊すことはできない

結果、
デジタル技術は「研究止まり」になりました。

市場がフィルムからデジタルへ移ったとき、
コダックは
次の池が見えていたのに、飛び込めなかった。

失敗の原因は技術ではなく、
「過去の成功モデルへの執着」でした。


■ 分岐点②

ノキア

「シェアを見て、未来を見なかった」

2000年代初頭、
ノキアは世界携帯電話市場で圧倒的シェアを誇っていました。
• 製品品質は高い
• ブランド力も強い
• 流通も盤石

しかし判断基準は、
「今の市場シェア」。

スマートフォンという
体験価値の変化を軽視しました。

結果、
• ハード中心の発想
• OSとUXへの対応遅れ

により、
市場の主導権を一気に失います。

ノキアは負けていたのではなく、
勝っている前提で判断を止めたのです。


■ 分岐点③

ブロックバスター

「顧客の不満を、収益源と誤認した」

ブロックバスターは、
全米最大のビデオレンタルチェーンでした。
• 店舗数
• 認知
• 交渉力

すべて揃っていました。

しかし、
延滞料は大きな利益源。

そこに、
「郵送+定額制」のモデルを持つ Netflix
が登場します。

ブロックバスターはこれを
「小さなニッチ」と判断。

結果、
顧客は静かに移動しました。

顧客の不満を
我慢して払ってくれている需要と誤解したことが、
致命傷になりました。


■ 分岐点④

マイスペース

「ユーザー数を追い、体験を設計しなかった」

MySpaceは、
かつて世界最大のSNSでした。
• ユーザー数は急増
• 広告収益も好調

しかし、
• 画面は煩雑
• カスタマイズ性が高すぎて重い

一方、Facebookは、
• シンプル
• 実名
• 交流体験に集中

という真逆の設計。

MySpaceは
「今の数字」を見続け、
Facebookは
「これからの行動」を見ていました。


失敗企業に共通する一点

これらの企業に共通するのは、
• 技術不足でも
• 努力不足でも
• 情報不足でもない

という点です。

共通しているのは、

判断の基準が、過去の成功に固定されていた

ということ。
• 今、儲かっているか
• 今、シェアがあるか
• 今、怒られていないか ※1

この「今」が、
判断を鈍らせました。

※1: ※1: 責任を問われていないか、問題にならないか、指摘されないか、上から否定されないか という意味


成功企業との決定的な違い

成功した企業は、
こう問いを立てています。

• この市場は、いつまで続くのか
• 顧客は、次に何を当たり前と思うか
• 今の強みは、次の市場で武器になるか

失敗した企業は、
問いを立てる前に答えを固定してしまった。

ライフサイクル・企業寿命

ビジネスの世界では
「産業ライフサイクルは約30年」
「企業の平均寿命は約30年」
と言います。

もちろんこれは、産業(商品)により寿命が異なりますが、
技術革新、規制、消費者行動、グローバル競争などにより
必ず次の世代へと受け継がれます。

今回挙げた企業は気づいていたのに変えなかった。
それが敗退に繋がりました。


第7章のまとめとして

第7章で伝えたいのは、
成功例でも失敗例でもありません。

分岐点は、いつも静かに訪れる
という事実です。

売上が落ちてからでは遅い。
危機感を感じてからでは遅い。

判断が必要なのは、
まだうまくいっているとき。

次章では、
「判断を歪ませないための設計原則」
について説明します。


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