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三十六計|第20話 混水摸魚 ~混乱した時、静かに得する者がいる~

人は、
安定した状況で動きたがる。

情報が揃い、
リスクが見え、
判断しやすいからだ。

しかし現実には、大きな機会は
「秩序が崩れた瞬間」に生まれる。

混乱で周囲が止まる時、静かに取る。
それが混水摸魚である。


【三十六計 第二十計の意味】

 混水摸魚(こんすいぼぎょ)
 水を濁らせ、その中で魚を捕える

混乱した状況の中で、
相手の隙や価値を取る戦略。

重要なのは「混乱を起こすこと」ではない。
すでに起きた混乱を利用すること
である。


【現代語訳】

市場でも組織でも、
混乱が起きる瞬間がある。

・景気悪化
・制度変更
・競合トラブル
・組織再編
・責任者交代

この時、多くの人は止まる。

・様子を見る
・投資を止める
・判断を先送りする

不確実性を嫌うからだ。
しかし一部の人は違う。
混乱の中で、

・割安資産を買う
・優秀な人材を確保する
・競合顧客へ提案する
・新しい市場に先に入る

平時では取れないものを取る。
つまり、

他人が動けない時間が、
最大の機会になる

ということだ。


【歴史の事例】

中国・春秋時代、
呉と越が争っていた時代。

越王・勾践 は、呉王・夫差が北方遠征に意識を向け、
国内統治が緩んだ隙を見逃さなかった。
呉は対外戦争で疲弊し、

・国力が低下し
・国内統制が弱まり
・警戒が薄れていた

越は正面衝突を避けながら
機会を待ち続けた。

そして呉国内が混乱した瞬間に攻勢へ転じ、
最終的に呉を滅ぼした。

これは正面から勝った戦いではない。

相手が濁った時に動き、
機会を取った戦いである。


【経営事例】

ある投資会社は、
業界不況時に積極的な買収を行った。
市場全体が悪化し、

・企業価値が下落
・資金調達が困難
・経営者心理が弱気

になっていた。
多くの企業は、

・投資停止
・採用停止
・守りの経営

に入った。
しかしこの企業は違った。

・優良企業を安値で買収
・優秀人材を採用
・競合が止めた投資を継続

した。
景気回復後、

・買収資産は大きく値上がりし
・市場シェアは拡大し
・利益率も改善した

この企業は、
好況時に戦ったのではない。

他社が止まった瞬間に動いた

のである。


【解説】

この企業経営者はこう考えた。

① 混乱時は市場価格が歪む

本来高い価値を持つものでも、
短期的な不安で安く売られる。
そこに機会が生まれる。

② 人は不安になると判断が遅くなる

混乱時、多くの企業は

・稟議停止
・投資停止
・意思決定停止

に陥る。
その間に動ける企業が優位に立つ。

③ 強者にも隙が生まれる

普段は強い企業でも、

・内部混乱
・資金悪化
・組織疲弊

が起きれば守りが薄くなる。
そこが狙い目になる。

④ 混乱時ほど冷静さが必要

焦って動けば、

・不良資産を掴む
・誤判断する
・信用を失う

リスクもある。
重要なのは、速さより、冷静さである。

周囲が濁る中で、
自分まで濁らないことが重要だ。


【経営応用事例】

① 投資戦略

暴落時に、
優良資産を取得する

② 採用戦略

競合混乱時に、
優秀人材を採用する

③ 営業戦略

競合トラブル時に、
顧客へ提案する

④ 組織戦略

社内混乱時に、
空いた役割を取る


【核心メッセージ】

混乱は、
全員にとっての危機ではない。

見えている者にとっては、
大きな機会になる。


【まとめ】

混水摸魚とは、
混乱に便乗することではない。

混乱で生まれた隙を見抜き、
静かに取る技術

である。

・混乱で止まらない
・感情で動かない
・価値の歪みを見る

周囲が慌てる時ほど、
差は大きく開く。

水が澄んでいる時は、
誰でも魚を見つけられる。
しかし本当に差がつくのは、

水が濁った時に
魚の位置を見抜けるか

で決まる。
それが、混水摸魚である。


次回予告


三十六計|第21話
金蝉脱殻 ~姿を残し、実体だけを移す~


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