孫子の兵法|第22話 奪いに行くな、奪わせよ ~主導権は "動かされた瞬間" に失われる~(軍争篇)
なぜ強い軍ほど動かないのか
多くの人は
競争とは
動くこと
だと考えている。
市場を攻める
顧客を奪う
先に仕掛ける
しかし孫子は
ここで驚くべきことを言う。
強い軍は自分から動かない
なぜか。
動いた瞬間
主導権が相手に渡るからだ。
軍争の本質
軍争とは
単なる戦いではない。
相手を動かす戦い
である。
孫子は言う。
故善戦者、致人而不致於人。
故に善く戦う者は
人を致して人に致されず。
上手く戦う者は
敵を動かすが、
自分は動かされない
これが軍争の核心だ。
戦場で重要なのは
強さではない。
主導権である
誘導の戦略
孫子はさらに言う。
能使敵人自至者,利之也
能使敵人不得至者,害之也。
能く敵人をして自ら至らしむる者は之に利を以てし
能く敵人をして至ることを得ざらしむる者は之に害を以てす。
現代訳すると、
敵を動かしたければ利益を見せ、
敵を動かしたくなければ損害を感じさせよ。
ということだ。
つまり
人は利益で動き
不利を避ける
これを利用するのが
軍争の技術である。
歴史の成功例:関ヶ原
この戦略を
完璧に使った人物がいる。
徳川家康だ。
1600年9月、関ヶ原の戦い。
当初形勢は
石田三成側が有利だった。
兵数でも
西軍が優勢だった。
しかし家康は戦場を
関ヶ原
に固定した。
そして
自分からは動かなかった。
代わりに家康がやったことは
敵を動かすことだった。
西軍内部に
調略を仕掛ける。
その中心が
小早川秀秋だった。
戦場で動いたのは
家康ではない。
西軍だった。
小早川軍が
裏切って動いた瞬間
西軍は崩れた。
家康は
軍を動かしていない。
人を動かした
これが
孫子の言う軍争である。
現代の活用方法(経営視点)
この構造はビジネスでも同じだ。
多くの企業は、
競争が始まるとすぐ動く。
・価格競争
・広告競争
・拡大競争
しかしこれは消耗戦を招く。
本当に強い企業は違う。
市場を動かす
例えば
・価格基準を作る
・業界ルールを作る
・顧客行動を変える
こうして
競争の場所そのものを決める
すると、競争相手は
その場所に来るしかなくなる。
これは
孫子の言葉そのものだ。
核心テーマ
強い者は
戦場で勝つのではない。
戦場を作る
そして敵を動かす。
自分は動かない。
まとめ
軍争の本質は
主導権である。
勝つ者は
戦う前に勝っている。
なぜなら
敵が自分の作った場所に
来てしまうからだ
最後に孫子の一句:
「勝つ者は戦わない。敵を動かす。」
次回予告
第23話 遠回りこそ、最短の道
~孫子最大の戦略思想「迂直の計」~
孫子の兵法シリーズ目次 ※最新記事までの全話が確認頂けます
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