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4-3|経験者ほど判断を誤る構造 ― 経験は「強み」ではなく「局地データ」である ― (3/4)

経営再建や組織改革の現場で、
私が一貫して感じてきたことがあります。
それは、

一番危ないのは経験者

ということです。
もちろん、能力が低いという意味ではありません。
むしろ逆です。

問題は、
経験は「市場全体」ではなく「局地」で成立している
という点にあります。


経験とは、どこで成立したものか

経験は、必ず次の条件の上に成り立っています。
• どの会社にいたか
• どの規模だったか
• どの役職だったか
• どの時代だったか
• どの商品だったか
• どんな競合環境だったか

つまり経験とは、
その人がいた “特定の場所と時間” でのみ有効だった判断の集合です。
にもかかわらず、私たちは無意識にこう扱います。

「経験者だから分かっているはずだ」
「前にそれで成功している」

ここに、最初の歪みが生まれます。


経験が判断を鈍らせる瞬間

経験者は、意思決定のときにこう考えがちです。
• 昔はこれでうまくいった
• この業界はこういうものだ
• それは現場を知らない机上の空論だ

これは判断の近道に見えますが、
実際には思考の省略です。

経験は、
「考えなくて済む」状態を作る代わりに、
考え直す機会を奪います。


なぜ属人化が進むのか

経験者中心の組織では、次のことが起きます。
• 判断が特定の人に集まる
• 「あの人に聞かないと分からない」
• 再現できない成功が正解扱いされる

これは自然な流れです。

なぜなら経験は、
言語化されていない個人の記憶だからです。

結果として、
• 判断が特定人物に集中し
• 業務は属人化し
• 標準化は進まず
• 組織は拡張できなくなります


経験と仕組みの決定的な違い

経験は「私はこうしてきた」
仕組みは「誰がやっても、こうなれば成果が出る」

この違いは決定的です。

経験は人に依存し、
仕組みは構造に依存します。

市場が変わった瞬間、
経験は簡単に無効化されますが、
仕組みは調整が可能です。


経験者を否定しない、ただし依存しない

重要なのは、
経験者を否定しないことです。

ただし、
経験をそのまま正解にしない。

私が現場で必ずやるのは、
• 経験を「仮説」に落とす
• 結果に繋がる原因を探す
• それを小さく試す
• 数字で検証する
• 再現できる形にする

これによって、
• 経験は「個人の武器」から
• 組織の資産に変わります。


経験者が活きる組織、腐る組織

結果を出せる経験者は、
• やり方を全員が踏襲しても
• 更にそこに結果を積み上げていく
• 新たな経験(原因)を開拓してくれる

逆に危ないのは、
• 経験を否定すること
• 経験者に仕組みを強制すること
• 経験者だけ管理対象から外すこと

です。
経験者を否定せず、全員のKPIを取ります。
経験者の弱さは「波」があることです。
受注が取れるときと、取れないときがあります。
しかし仕組み営業に波はありません。
従い、コンスタントに結果が出るようになれば
経験者も自分から仕組みを取り入れるようになります。


学び

• 経験は万能ではない
• 経験は市場ではなく、局地で成立する
• 経験をそのまま使うと属人化する
• 経験は分解し、仕組みに落として初めて価値になる

経営や組織で本当に必要なのは、
経験の多さではなく、
経験を疑い、経験者行動を分析し、構造に変える力です。


次の回では「仕組みを作れる人と作れない人の決定的な違い」
-黒字化を生んだ「森を見る視点」-
について説明します。

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