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10-3|現代の経営者は何をすべきか -人は「正解」ではなく「判断」を預けている- (3/3)

戦国武将のような覚悟を、
現代の経営者はどう再現すればいいのでしょうか。

答えは、意外なほどシンプルです。

判断の置き方です。

現代の経営者に求められるものは、
カリスマでも、斬新なアイデアでもありません。
人が「この人に従おう」と腹を括れる判断構造を
どう設計しているかです。


1. 判断を「合議」に逃がさない

強い組織ほど、会議は短い。
なぜなら、役割が明確だからです。

・情報は集める
・議論は尽くす
判断は一人が下す

この分業が崩れた瞬間、
判断は重くなり、誰も本気になれなくなります。

決定権と結果責任は、
必ず一人に紐づける

これだけで、
現場のスピードと覚悟は一変します。


2. 現場を見ていない人を、判断に入れない

結果責任を負わない人が
判断に参加した瞬間、判断は歪みます。

・評論だけする人
・常識論を唱える人
・安全な立場から反対する人
・失敗しても痛まない人
・本気で勝利を追求していない人

こうした人が混ざるほど、
判断は無難になり、戦わない選択が増えていきます。

判断の場に座るのは、
責任を引き取る人だけ。

権限と責任は、必ずイコールでなければならない。


3. 大敗は許すが、失敗は許さない

本気で考え、
やり尽くし、
それでも負けた。

それは、評価されるべき判断です。

大敗とは、覚悟を持って選び切った結果。
失敗とは、選ぶことから逃げた結果です。


一方で、
・前例踏襲
・保身
・誰かの顔色を見た判断(忖度)

これは最も評価されない。

失敗を恐れる組織は、
挑戦をやめ、静かに衰退していきます。


社風は社長の姿勢が創る

私に経営を教えてくれた、ある経営者の話です。

彼は仕事に厳しく、
徹底して「勝つこと」に拘る人でした。

社訓には、こうありました。

井戸掘りとは
水が出るまで掘る穴掘りのことだ
夜中になろうが
水が出るまで止めるな

百戦九十九勝一敗なら
大勝利だと思う者はアマチュアである
その一敗こそが許せぬと思う者こそ
プロなのだ

毎月の営業責任者会議では、
成績が悪かった責任者が発表します。

何ができていなかったのか
何が勝利を逃した原因だったのか
叱咤激励を込めて、全員で洗い出す。

しかし、

・考えられることはやり尽くした
・与えられた条件下で最善を尽くした
・覚悟を持って判断した

その結果としての大敗であれば、
社長は大笑いして、

「まぁ、そういう時もある。
いい経験をしたな」

と言い、
一言も責めませんでした。

だから現場は、
思い切り勝負ができた。

この社長は、
判断の扱い方で社風を作っていたのです。


4. 大将は一番楽な場所にいない

優れた大将は、
常に次の場所に立ちます。

・一番しんどい判断
・一番批判を受ける立場
・一番責任の重い位置

トップがどこに立つかで、
組織の文化は決まります。


5. 人は「言葉」ではなく「判断の順番」を見ている

人は、
何を言ったかではなく、
何を先に守ったかを見ています。

・数字が悪いとき、最初に守ったのは誰か
・トラブルが起きたとき、真っ先に頭を下げたのは誰か
・責任追及の前に、何を引き取ったか

その積み重ねが、
大将としての信用になります。


第10章のまとめ

大将とは、

・正解を当て続ける人ではない
・全員を満足させる人でもない

判断を背負い続ける人です。

本気で腹を決めて戦う。
だから人は付いてくる。
だから組織は動くのです。


次章予告

第11章
判断を任せても、人が離れない組織の作り方


・なぜ権限委譲すると組織が壊れるのか
・任せてはいけない判断、任せるべき判断
・判断を渡しても、人が逃げない設計

について説明します。


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