お母さんは、のび太君
「お母さん、ドラえもんの劇をしよう。わたしが、ドラえもんするから、お母さんはのび太君ね」
「えー、はーい。
眠たいなー。昼寝でもしよっと」
「のび太君、そんな寝てばかりいたら、ロクな大人にならないからね」
ははは、言われちゃったなあ。
*
寸劇に飽きた娘とふたりで、ドラえもんの道具で好きなものを出し合ってみた。
娘
タケコプター
身軽に空を飛びたいから。
エレベート•ボタン
飛ぶのもいいけど、空を歩きたい。
ガリバートンネル
洗面器がプールになったり、お菓子をたくさん食べれたりするから。
きせかえカメラ
色んなデザインの服を着たいから。
はいりこみライト
テレビや漫画や本の世界に憧れているから。
その世界に入りたい。
母
お座敷水族館(スモールライト)
部屋の中に、海を持ってこれるなんて最高。
一日中、寝転んで眺める。
タケコプター
空を飛びたい。でも、頭につけていてバランスが悪くないのかいつも心配になる。
水の中みたいな感覚になるのだろうか。
お尻にもタケコプターつけないと、ちょっと心配。
魔法の絨毯
魔界大冒険に出てくる、みやこさんの魔法の絨毯。絨毯の中に部屋があり、宇宙まで行ける優れもの。
植物改造エキス
植物に注射して、いろんなご飯ができる。カレーやラーメンなど。
身をふたつに割って、その中にご飯が入っているという展開が好きすぎる。
かべがみハウス
壁に扉を貼り付けて、その先に店や別な部屋が出来る。秘密基地みたいでワクワクする。
*
ふたりが出した道具をAIに、それぞれの性格を分析してもらう。
ついでに、親子関係もみてもらう。
まず、娘の選んだ道具たち。
タケコプター、エレベートボタン、ガリバートンネル、きせかえカメラ、はいりこみライト。
こうして並べてみると、ある共通点がある。
それは、「世界を体験したい」という気持ちの強さ。
空を飛ぶ、空を歩く。
大きさを変えて世界の見え方を変える。
服を変えて自分自身を変化させる。
そして、物語の中に入り込む。
どれも、「外の世界へ出ていく」だけでなく、
その世界の中に自分が入り、変化しながら楽しむという性質を持っている。
娘は、ただ眺めるだけでは足りないのだね。
自分自身がその一部になってこそ、世界を味わえる人。
ステキ。それがいい。これからを生きていくのだから。
体験型で、没入型。
そんな、強い想像力のかたちが見えてくるのだそう。
一方で、私が選んだ道具。
お座敷水族館、タケコプター、魔法の絨毯、植物改造エキス、壁紙ハウス。
こちらにも、やはり共通点があった。
それは、「世界を自分の側に引き寄せる」という感覚である。
海を部屋の中に持ち込み、寝転びながら眺める。
空を飛ぶにしても、その構造や感覚に思いを巡らせる。
移動するための道具にも、居心地のよさを求める。
壁の向こうに別の空間をつくり、内側を広げていく。
外へ飛び出すというよりも、
世界を自分の中に取り込み、じっくり味わうような選び方らしい。
ロマンに惹かれながらも、どこか現実的で、観察する視点もある。
内側の世界を豊かにしていくことに、安心や喜びを感じるタイプとのこと。
なるほど。年齢的なものかしら。
こうして並べてみると、私たち親子は少し対照的。
娘は、外へ、体験へ、変化へ向かう。
私は、内へ、鑑賞へ、構築へ向かう。
けれど、その方向は違っていても、
どちらにも共通しているのは、「想像力」だった。
現実だけにとどまらず、別の世界を思い描き、楽しむ力。
娘はその世界に入り込み、
私はその世界を手元に引き寄せる。
方法は違うけれど、同じように、空想の中で呼吸をしている。
*
そうだなあ。
どうやら、お母さんは、やはりのび太君タイプだな。ロクな大人になっていないよ。
それでも、娘ちゃんもいるし、まあまあな人生だと思う。
いや、最高ですよ。
昼寝でもしながら、空想しとくかな。
もちろん、娘ちゃんの冒険を応援しながらね。
……ぐう。
お母さんは、のび太君だからさ。
