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忙しいのに退屈な大人が、左手を使ってみたら。

夕飯時は、U-NEXTで新旧さまざまなドラマを観る。
今、観ているのは「夢をかなえるゾウ」
なんと2008年のドラマ。
ゾウの姿の関西弁の神様・ガネーシャが、
主人公に「今日の課題」を出しながら、その人生を変えていく物語。
当時観ていた記憶はあるけど、内容はほぼ忘れているので
新鮮な気持ちで観ている。

その中で「左手を使う」という課題が出た。
これを見てすぐ、右利きの私と娘は箸を持ち替えてみた。
私は、箸をまともに持つことすらできない。
ところが娘は「実は私、できるねん」と
左手で器用に箸を扱っていて、びっくり!
聞けば、給食のときに左利きと右利きの話になり、
「何となく試してみたら、意外といけた」のだとか。
若い人って、やっぱり頭が柔軟なのかな?すごいわ。

食事では悲惨なことになるので、他のことで試してみることにした。
まず、サランラップを左手で切ろうとした。
が、切れない。
普段どうやって切っているんだっけ?と右に持ち替えて確認し、
また左でやってみたら、思いきり斜めに切れた。
というか、力尽くで破いた?

粉の洗濯用洗剤の箱のふたを開け、
左手でスプーンを持ってすくい、洗濯機の投入口に入れようとして……
はじめて気がついた。
まん丸いスプーンの、その注ぎ口が左側にあることに。

それまで、スプーンに注ぎ口がついていることすら、
全く意識していなかった。
これって大多数の人が右利きだから、
右利き向けに作られているということなんだ、と
何年も使っているのに、はじめて気づいた。
考えてみれば、駅の改札口のICカードのタッチの位置や、
自販機のコインの投入口……
右利きという「大多数側」だからと優先されていることが、
世の中にはたくさんあるのだと、ようやく思い至る。
左利きの人たちは、
自然と工夫をして、右利き優先の世界に順応していくのかな。
私は、はじめて気づくことだらけで、まだ工夫すらままならない。

ここまで大人になると、毎日同じことの繰り返しだな。
私はどこかでそう思っていた。
やることがたくさんあって忙しい。
その一方で、とても退屈だとも。
でも、そのいつもと同じ毎日の中に、
気づいていないものがきっとまだまだある。
気まぐれで、利き手と逆の手を使ってみた。
それだけで、目の前の世界は別に何も変わっていない。
ただ、自分のものの見え方が少し変わった。
それが、何だかおもしろいと思った。

「いつもと逆の手を使ってみることで、
 今まで知らんかった世界を見てみなさいっちゅーこっちゃ」
古田新太が演じるガネーシャは、そんな風に言っていた。
聞いているだけなら、そんなことで?とちょっと大袈裟な気もする。
でも、軽い気持ちでやってみたことで、
本当に知らなかった世界が、少し見えた。

次はスマホで文字を入力するときに、左手でやってみる?
皿洗いのスポンジを、左手で持ってみる?
いつもと逆の役割に、右手が皿を落としてしまいそうで、
ちょっとヒヤヒヤするかもしれないけれど。


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