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【DAY4:生キャラメル】その人がテレビから消えたら、行列も消えました

その人がテレビから消えたら、行列も消えました。 生キャラメルの話です。

そしてこれは、誰かの影響力を借りて伸びる発信の話でもあります。

かつて、あの白い箱は行列の代名詞でした。 気づけば、街から静かに姿を消していました。

消えるブームと、残るブーム。 その境目を、今日は生キャラメルが教えてくれます。

新千歳空港から始まった、あの行列があります

2007年6月、北海道の花畑牧場が新千歳空港で生キャラメルを売り始めました。 作ったのは、タレントの田中義剛さんです。

2008年から2009年にかけて、テレビでの露出が一気に増えました。 田中さんがメディアに出るたびに、生キャラメルの名前が広がりました。

テレビをつければ、どこかの番組で紹介されていた時期でした。 はじめは空港でしか買えないという特別感も、行列をさらに長くしました。

全国から人が集まり、東京にも店舗が次々とオープンしました。 竹下通り、渋谷、青山、銀座と、一等地に看板が並びました。

正直、僕もあの頃は名前だけで信用していました。 有名な人が作っているなら、外れるわけがないと感じたからです。

味を確かめる前に、まず作り手の顔で安心していました。 注目の入口は、商品ではなく人のほうにありました。

露出が一巡した年に、店が次々と閉じました

2009年、流れが変わりました。

テレビでの露出が一巡すると、行列は静かに短くなっていきました。 同じ年の8月には、札幌工場が一時閉鎖されました。

秋には、竹下通り店や渋谷店、青山店、銀座店が相次いで閉店しました。 翌2010年の1月には、釧路の店舗も閉じました。

連日取り上げられた時期は、何もしなくても人が来ました。 でも、テレビから姿が減った途端に、人の足も止まりました。

ある日ふと、あの箱を見かけなくなったことに気づきました。 あれだけ探して並んだ売り場に、もう行列はありませんでした。 熱が引いた後の棚は、驚くほど静かでした。

商品が変わったわけではありません。 生キャラメルの味は、あの頃と同じだったはずです。 変わったのは、テレビに映る回数だけでした。

借りた注目は、貸し主がいなくなれば一緒に消えていきます。

借りた力で伸びた発信は、力が消えれば元に戻ります

ここで、冒頭の話に戻ります。

正直に言います。 僕自身が、まさにこれをやっていました。

Xを始めて10日目のことです。 フォロー返しを中心にした戦略で、フォロワーが1,000人に届きました。 数字だけを見れば、順調そのものでした。

当時の僕は、とにかく早く伸ばしたい気持ちでいっぱいでした。 周りのアカウントが数字を伸ばしていくのを見て、焦っていたのだと思います。

フォロー返しなら、確実に数字が積み上がります。 実際、毎日きれいに増えていきました。

フォローされた通知が、一日に何度も鳴りました。 その通知だけを見ていると、確かに前へ進んでいる気がしました。

でも、何かが違いました。 フォロワーは増えているのに、反応がまるで伴いません。 コメントも、ほとんど来ませんでした。

「あれ、数字は増えてるのに何も起きてない」

そう気づいた瞬間、手が止まりました。 これは、自分の言葉に共感して増えた数字ではありませんでした。 フォロー返しという仕組みを借りて、見かけだけ膨らませた数字でした。

生キャラメルと、同じ構造です。 テレビの露出で行列が伸びたように、仕組みを借りて数字が伸びただけでした。

1,000人を自分から手放すのは、正直こわかったです。 それでも、この数字を抱えたまま続けても同じことの繰り返しだと感じました。

借りた力を止めた瞬間、残るのは反応のない数字だけです。 意味がないと判断して、僕はその手法から撤退しました。

フォロー返しをやめてから、数字の伸びは一気に遅くなりました。 それでも、たまに届くコメントの手応えは、前とはまるで違いました。

数は少なくても、僕の言葉に反応してくれた一人でした。 遠回りに見えても、こっちのほうが続けられると感じました。

それでも、花畑牧場は消えていません

ここからが、今日の核です。

生キャラメルのブームは消えました。 行列も、店舗も消えました。

でも、花畑牧場そのものは消えていません。

ブームの後、花畑牧場はチーズなどへ商品を広げました。 テレビに頼らず、メディアに出なくても売れる商品へ舵を切りました。

人の知名度で集めた注目は、その人のものです。 自分の商品が、自分の力で稼いだ注目ではありません。

作り手が話題の中心にいる間だけ、光が当たり続けます。 中心から外れた瞬間、集めていた光もいっしょに引いていきます。

借りた足場は、貸し主の都合で外れます。 自分で組んだ足場は、時間はかかっても簡単には崩れません。

花畑牧場は、土台を人から商品そのものへ移し替えたのだと思います。 借りた注目に依存した部分は消え、依存を断ち切った部分が残りました。

テレビの露出は、いつか必ず一巡します。 でも、商品そのものの良さは、露出が終わっても残ります。 今も花畑牧場の名前が残っているのは、そこに軸を移したからだと思います。

これは、一枚のコインの裏表です。 消えた側と残った側が、同じ会社の中に同時にありました。

だから僕は、この一社の歩みを軽くは見られません。

依存を切ったものだけが、静かに残ります

認識を、一つ書き換えます。 強い誰かに乗れば、自分も伸びると思っていました。

でも、借りた注目は貸し主とともに去ります。 生キャラメルの行列も、僕のフォロワー数も、構造は同じでした。

残るのは、自分の手で稼いだもののほうです。 派手ではないけれど、貸し主の都合では消えません。

借りた力に乗り続ける限り、その力が消えれば自分も消えます。 とはいえ、乗ること自体が悪いわけではありません。 乗った先で、自分の中身を見せられるかどうかの話です。

僕もフォロー返しを捨てた後は、毎日自分の言葉で書くことを選びました。 速くはありません。 でも、自分の足で立つ限り、誰かの露出が終わっても消えません。

偉そうに言いつつ、正直、僕もまだ大きな力を借りたくなる日があります。

明日は、高級食パンの話です。 どの街にもできた専門店が、なぜ静かに減っていったのかを話します。

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