見出し画像

【Day6】その発信、ただ並べただけになっていませんか

一汁三菜という、和食の基本の形があります。

ご飯があって、汁があって、おかずが三つ。

ただ、これは品数の決まりではありません。

それぞれが違う役割を持って、ご飯を一番おいしくするために並んでいます。

並びが、全体の味を決めます。

文章にも、同じことが起きます。

AIは、章立ても項目も、きれいに並べてくれます。

でも、その並びに必然性は出せません。

今日はその「並び」と、発信の話をします。

手がかりにするのは、心理学の「ゲシュタルト」を一つだけです。

読み終えるころには、品数を足す前にやることが、手に入ります。

並べただけの発信は、品数が多くても薄いです

Day1から順に、出汁、旬、引き算、余白、発酵と書いてきました。

今日はその続きです。

AIは、型を組むのがめちゃくちゃ得意です。

章立ても、見出しも、項目も、きれいに揃えてくれます。

導入があって、本題があって、まとめがある。

抜けがなくて、整っています。

でも、その並びに「なぜこの順なのか」がありません。

ただ、項目が置いてあるだけです。

正直に言います。

僕も、AIが組んだきれいな骨格を、そのまま使っていました。

導入、展開、まとめ。

型としては、満点でした。

でも、翌朝に読み返すと、自分で自分の記事に飽きていました。

全部そろっているのに、何も残らないんです。

理由は、後で分かりました。

並びに、必然性がなかったからです。

今日の結論はひとつです。

発信は、項目を足す前に「なぜこの並びか」を決めます。

同じオーダーでも、出す順で店は変わります

カウンターで焼いていると、いろんな情景が見えてきます。

楽しそうに会話しているカップル。

出張で来たのであろうサラリーマン。

同じタイミングでオーダーが入っても、相手を見ながら出す順を変えます。

カップルの会話が弾んでいるなら、料理を少し遅らせます。

逆に途切れているなら、先に出して、そこから会話を弾ませてもらいます。

サラリーマンには、まず飲みたいのか、お腹が減っているのか。

ドリンクの減り具合を見ながら、出すものを変えます。

もし、オーダーの順番どおりに、機械的に出していたら、どうなるか。

カップルの会話は途切れ、サラリーマンはメインを頼まずに帰っていたかもしれません。

同じオーダーでも、出す順ひとつで、店の空気は別ものになります。

それがうまくはまったとき、店内は活気にあふれています。

この「出す順を変える」が、そのまま発信の話でした。

ご飯も汁もおかずも、同じ皿が並んでいても、出す順で全体が変わります。

発信も、同じ素材なのに、並べる順で残り方が変わるんです。

なぜ、並びで全体が変わるのか

ここで心理学を、一つだけ持ち込みます。

名前は「ゲシュタルト」です。

人の脳は、目の前のものを、ばらばらの寄せ集めとしては見ていません。

勝手に、ひとつのまとまりとして捉えます。

100年以上前、ヴェルトハイマーという心理学者が示しました。

二つの光を、少しずらして交互に点滅させます。

光そのものは動いていないのに、人の目には「動いて見える」のです。

要素そのものより、その並びと関係が、見え方を決めます。

これがゲシュタルトです。

ここで、よく言われる言葉があります。

「全体は、部分の足し算以上だ」というものです。

実は、前回の終わりに、僕もそう予告しました。

でも、正確には、少し違います。

心理学者のコフカは、こう言い直しています。

「全体は、部分の総和とは別ものだ」と。

多いか少ないか、という量の話ではありません。

別のものになる、という質の話です。

だから、項目を足すほど良くなるわけではありません。

並べ方が、全体の意味を決めます。

ただし、ひとつ正直に書いておきます。

まとまればいい、という単純な話でもありません。

きれいに整いすぎると、それはそれで予定調和になります。

そして予定調和は、また「AIっぽさ」に逆戻りします。

少し崩しを残すくらいが、ちょうどいいです。

帰宅後15分でできる、並びの作り方

帰宅後の15分でできることを、三つに絞ります。

①結論を、ご飯(土台)の位置に置きます

一番伝えたい結論を、まん中の土台に据えます。

ほかの話は、その結論を引き立てる役に回します。

主役を二つ作ると、どちらもぼやけます。

②似た話は近くにまとめて、流れを一方向にします

同じ種類の話は、近くに固めて置きます。

話があちこち飛ぶと、読む人はまとまりを見失います。

視線が一方向に流れるように、順番を組みます。

③全部のせをやめて、一番効く一品を決めます

書きたいことを全部入れると、味がぼやけます。

一番効く一品を主菜に決めて、残りは補う役と、口直しの役に絞ります。

これが、一汁三菜の考え方です。

ただし、ひとつ注意があります。

並びを意識するのと、こねくり回すのは、違います。

凝りすぎて時間をかけても、読む人には伝わりません。

昔の僕がそうで、並べ替えに何時間もかけて、結局おかしくしていました。

とはいえ、今日いきなり全部はできません。

1投稿に1つ、並びを決めるところから始めれば、それで十分です。

並びは「決める」技術です。

でも、決めるには、そもそも「並べる素材」が要ります。

ここで、ひとつ種明かしをします。

並びを決める前に、本当は、もう一段手前の作業があります。

その日の現場で感じたことを、ひとかけらだけ書き留めておくことです。

それがあるだけで、翌日の並べ替えが、一気に楽になります。

とはいえ、本業があると、その時間がなかなか取れません。

正直、僕も帰宅後はくたくたで、机に向かう気力もありませんでした。

そこで、自分の手を動かすのは15分だけにして、あとはAIに任せる型を作りました。

その15分で素材を仕込む手順を、「帰宅後15分AI文章仕込み術」にまとめてあります。

気になる人は、そちらに置いてあります。

並びを決められるのは、書き手だけです

発信の価値は、品数ではなく、並びで決まります。

AIは、項目を並べられます。

でも、なぜその順なのかは、書き手にしか決められません。

何を入れるかと同じくらい、どう並べるかが、その人の発信になります。

僕も、書く前にいつも確かめます。

これはただ並べただけか、それとも、並びに意味があるか。

最後に、ひとつだけ問いかけて終わります。

その発信、ただ並べただけ=シーズニング(AI)任せに、なっていませんか。

次回Day7は「おもてなし」の話をします。

誰にでも向けた発信は、結局、誰にも届きません。

特定の一人に向ける心理と、発信を「あなた宛」にする話を書きます。

このシリーズでは、調理師歴15年の経験をもとに「和食の技法」と「AIっぽさの正体」を重ねて書いています。

更新を追いたい方は、noteのフォローで通知が届きます。

いいなと思ったら応援しよう!

ミカヅキ🥐|読みたくなるnoteの「レシピ」 「いつも温かい応援をありがとうございます。皆様からの『スキ』やサポートが、創作を続ける大きな支えになっています。形にしていただいたお気持ちに応えられるよう、これからも自分らしい言葉を綴り続けていきたいと思います。」