【ちょっとひと息✨】今日の小説タイム(50)│#短編小説「卒業」=最終回(ライトノベル)
■前回まで

5分後、白のニット姿の洋子を発見した。
彼女は、誰かと話しながら、こちらへ向かって歩いてくる。
(今日は、二人だけのはずでは...? 誰だろう?)
人混みで、なかなか相手の姿が見えない。
と、その時。洋子たちの前にいた集団が、急に進行方向を変えたのだ。
「あ、れ?」
洋子の隣には、美咲ちゃんが立っていた。
「美咲ぃ!」
僕は、無意識のうちに大声をあげて駆け出していた。
しかも、呼び捨てで。
その声に気がついた美咲ちゃんは、僕に大きく手を振ってきた。
そして、「翔太ぁ!私、もう一回、大学受けることにしたー!」と言って、彼女もこちらに向かって駆け出した。
■短編小説「卒業」(42)
僕は、彼女の体をしっかりと受け止めて、ぎゅっと抱きしめた。
そばで見ていた洋子は、「今度こそは幸せにしろよな」と、小さく口を動かしながら微笑んだ。
心の中で、春の風が吹いた気がした。
(完)
