【エッセイ】行動しなければ得られなかった紅まどんな【坊ちゃん文学賞感想文】
土曜日、お馴染みの配達員さんがやってきて、小さな荷物を届けてくれた。私宛であった。
最近ネットで購入したものはないし、私に何かが届くという心当たりはない。不思議に思いつつも取り敢えず受け取り、改めて差出人を確認した。
『坊ちゃん文学賞事務局』
毎年挑戦するか迷って、一度も応募したことのない文学賞である。そもそも冗長とした私の文章で、ショートショートの作品を募る『坊ちゃん文学賞』は相性が合わない。
伝票の品名を見ると「紅まどんなタルト8個入り」とある。
そこでハッと思い出した。文学賞そのものには挑戦出来ないが、偶然目にした「感想文の募集」には挑戦出来ると思い、応募した作品に対する賞品ではないかと気が付いたのだ。
文学賞で入選した作品に対しての感想文を募集するという企画で、規定は300字程度まで。応募された感想文は入選者に送られるという、面白い公募だった。
ただ、私はその当時かなり荒んでいて、どうせ私の書いたものなんて誰にも響かないんだとやさぐれていた。だからというか、なんというか。300字程度までという規定を無視して、500字程の感想文を最優秀賞のフカミエミコさん作『読書完走文』という作品に宛てて応募した。
文字数を完全にオーバーしている時点でアウトであるが、こちらはやさぐれているので知ったことではない。失格しようがどうしようが、最優秀賞の作品の面白さを好き勝手に書いて送りつけた。
はた迷惑な話である。
明らかに規定違反の応募であるにも関わらずに賞品が届くのはおかしい。慌てて事務局のHPを確認してみた。
そこには、はっきりとこう書かれていた。
応募された方の中から抽選で、30名の方にまつやま農林水産物ブランドの紅まどんなを使用したスイーツセットを贈ります。
抽選かーっい!
内容ではなく、応募したから抽選に掛けられて、規定違反にも関わらず当選してしまったと。
私の文章が評価された訳じゃなかったのか、とがっかりしたが、そもそもが対象外になるはずだったのだから棚ぼたといえなくもない。
虹夫さんにも経緯を話してみると、確かに評価がされた訳では無いのは残念だけど、「書いて応募した結果」得たお菓子なのだから、それは結果を出したということだと言ってもらえた。
ものは言いようである。
事の次第を把握できたので、納得の上で開封してみた。
箱を開けて、ふたりでビックリ。
オレンジタルトやん!
正確には「紅まどんな」という柑橘を使用したタルトであったのだが、「紅」とか「紫」とついたお菓子と言えば「芋」しか思い浮かばない九州人の悪い癖。てっきり紅いもタルトが出てくるものと思っていたので、その意外性に度肝を抜かれた。
冷静に考えれば、『坊ちゃん文学賞』は愛媛県で行なわれている公募だ。愛媛と言えばみかん。オレンジタルトが届いても、何も驚くことはなかった。
公募活動でほぼ初めて獲得した景品。じっくり味わおうと虹夫さんとふたりで一緒に噛み締めた。
美味しい。
輪切りにされた紅まどんなの皮も、殆ど苦みを感じない。甘くてしっとりとして、とても美味しい。
単純に紅まどんなが美味しいのもあるのだろうけれど、それとは違った味わいがあった。
なんだか嬉しくなって、8個もあるのだからと虹夫さんにお願いして、翌日義実家にも半分をお裾分けとして届けてもらった。
義両親は虹夫さんと同じく本は読まないけれど、私が執筆活動をしているのはご存知だし、応援してくれている。だからその御礼も兼ねてのことだ。
お義母さんからは「良かったですね。いただきます」とLINEが届いた。
入選じゃなくて、抽選ですけどね……。まぁ、そこはいいか。
前述したように、ショートショートは私の手には合わない。でも読むのは大好きだ。
大体ショートショートには大どんでん返しや、想像の斜め上な出来事が当たり前として存在する。その発想力に、創造性が貧困な私はいつでも感動させられる。
今回私が読んだ『読書完走文』もまた、有り得なさそうで、なんだか実現出来そうでなんとも不思議な感覚に惹き込まれる素晴らしい作品だった。
文学賞のHPから入選作品を読むことも出来るようなので、是非気になられた方はご一読していただけると私も嬉しい。
余談だが、抽選で30名という当選者に私が含まれていたということは、そもそもの応募者が少なかったのではあるまいか?
いや、それは知らぬが花か?
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