活力が湧かない人は『ウィキッド ふたりの魔女』を観てほしい
3月7日(金)のレイトショーで、公開されたばかりの映画「ウィキッド ふたりの魔女」を観てきました。
先週は自分のメンタルの乱高下がひどく、家族に当たってしまうこともあり、とにかく鬱々としていたのですが、金曜日の夜にウィキッドを観たことでかなり心にエネルギーが補填されました。
私はまずは演者さんの歌声が聞きたいと思ったので字幕で観ましたが、吹き替えも観に行こうと思います。なんならもう一度字幕も観たいし、IMAXも観たい。
いまだにウィキッドの余韻で暮らしているくらいとにかく良かったので、感想をまとめたいと思います。
※一応ネタバレタグを付けているものの、物語の核心は触れていません。まったく情報なしで映画に行きたい方は観ないほうがいいかもです!
私の「ウィキッド」の事前の理解度
ウィキッドは児童文学「オズの魔法使い」から派生した前日譚で、善い魔女「グリンダ」と悪い魔女で緑色の肌をした「エルファバ」の学生時代を描いた作品、ということは知っていました。
ミュージカルの金字塔的な作品の1つで、日本では劇団四季が長年公演していることも知っています。劇団四季のウィキッドは10年前くらいに一度観た記憶があります。
ただ今回の映画は「オズの魔法使い」や「ウィキッド」のことをまったく知らない人でも楽しめるストーリー構成なので、もうただ「映画ウィキッド」の世界に没入するだけでOKだと思います。2時間半近くあるので必ずトイレを済ませ、ハンカチを携えて行けばよし。
まず冒頭でウィキッドの世界に没入できる
始まりはなんていったらいいんだろう。東京ディズニーシーの「ソアリン」に乗ったことがある人限定になってしまうのですが、そのイメージに近いかもしれない。
幕が開いて、客席が1つの乗り物になって、みんなでウィキッドの世界に飛び込んでいくような、そんな感じの始まりです。IMAXで観たらもっと没入できるんだろうなと思う始まりでした。私は通常の上映でしたが、それでもグッと引き込まれるような感覚になりました。いつの間にか観客はオズの国に降り立ち、そこで始まる物語を間近で観ていくことになります。
アリアナ・グランデの演技すげえです
アリアナ・グランデって歌手のイメージだった(実際そう)のですが、演技もダンスもできるんですね。ミュージカル俳優さんが普通のお芝居をすることはあっても、超人気歌姫が映画に演者として出ることってあまりないから新鮮でした。日本だったら宇多田ヒカルが世界的ミュージカル映画に出るようなものなのかなあ(違うか)。
彼女が演じる良い魔女・グリンダは、自尊心が高くて選民意識が強い、要するに「いけすかない」キャラです。恵まれた環境や容姿は強力な武器で、自分を特別な存在だと思って生きている。
でも、人を攻撃したり蹴落としたりしたいわけでなくて、優しさがあるから憎めない。アリアナ演じるグリンダはその塩梅が抜群に上手だったなと思います。これまで「自分最高!」で生きてきたグリンダが、大学でエルファバという才能に出会ったことで、葛藤も感じるようになっていってーー、という過程が手に取るようにわかりました。
音のない台詞もまるで歌っているような話し方、身のこなしの軽やかさと可愛らしさは、アリアナ・グランデが演じるからこそなせる技な気がします。劇中歌の「ポピュラー」は可愛いすぎました。
シンシア・エリヴォは目で語る演技がすげえ
エルファバを演じたシンシア・エリヴォは、歌の迫力はもちろんのこと、目線や手の爪の先まで感情が乗っているような感じで、こちらもまたすごかった。
仲の悪かったグリンダとエルファバが、距離を縮めるきっかけとなるダンスシーンがあるのですが、エルファバが抱える深い孤独に光が差していくときの、彼女の目に表れる感情の機微に引き込まれました。
途中でやたらセクシーな王子様が転校してきて、エルファバと2人きりになったときに、王子様の本心をついたエルファバのストレートな言葉に彼がハッとするシーンもよかったな。
歌と踊りでバチバチに決まっているときもいいけれど、そうじゃない静かなシーンにもきちんと意味があって、「歌と歌のつなぎ」感がないというか。
クライマックスの「Defying Gravity」は目と耳に力を入れて観よう
前編のクライマックスはなんといっても「Defying Gravity」の歌唱シーンです。
ずっと孤独の底で生きてきたエルファバに、グリンダという仲間ができ、ほかの生徒とも打ち解けられるようになって人生が一変しました。もう日の当たる場所を歩いていける。
だけれどある秘密を知ってしまい、それを無視して笑って生きていくことは、彼女にはできません。
自ら孤独を選び、戦うことを選んだエルファバの強い信念が込められた「Defying Gravity」は、もう目と耳に力を入れて踏ん張って追いかけないといけないくらい、迫力がありました。
重力に逆らって自由に生きることの喜びと苦しみ、善と悪を対立構造にしていがみ合わせる愚かさ、善悪の判断をする者の腐敗、いろんなメッセージが怒涛のように駆け巡り、最後、「To be continued」が表示されてようやく、私は映画館の座席に戻ってきました。長い旅にでも出ていたような不思議な感覚。
とにかく「何かすごいものを観た……」と放心しながら映画館を出ました。月曜になった今も、サウンドトラックを聞いて余韻にひたっています。次の続編が公開されるのは1年ほど先になるそうです。もうしばらくはウィキッドの余韻で暮らしていきます。吹替版も絶対に見る……!
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