バースデイきっぷ+αで四国一周
四国を一周しようと思う。半周であれば、10年以上前にしたことがあった。岡山から高知まで特急で行き、翌日は18きっぷの時期でもないのに何故か鈍行で松山まで行っている。3日目は松山を巡ったあと今治まで行き、高速バスに乗って本州側に戻るという行程であった。あの下灘駅を通ったことをその時は知らず、2年後再訪したりしている。それからは何となく四国は高松を除いて行き先候補から外していた。とある旅行記でバースデイきっぷの存在を知り、四国旅を計画するきっかけに。本来であれば2年前に達成する予定であったが、別の場所から移動している最中に台風が直撃する見込みとなり、四国入りは断念することになった。その翌年は東北を巡ったが、やはり台風の影響を受けている。夏旅は年々日程が組みづらくなっている気がする。昨年、ようやく行けそうなタイミングが巡ってきた。

こちらはJR四国の路線図になるが、一周となると右下と左下がどうにも頼りない。そこで、このエリアは路線バスも利用することにした。
その日の昼頃は近畿から移動して、岡山にいた。普段はチェーン店しか行かない私が、名店と評判の珈琲店に入っていた。「好みのお味は?」「こ、濃いめで…」タイミングを見て聞くと出された珈琲はブラジルの樹上完熟というらしい。最近は豆がなかなか入ってこなくて苦労していると伺った。そこでの一時は、出された珈琲のように濃厚な時間であるように思えた。
四国に入るマリンライナーは大体混雑しているので、岡山駅に戻り早めにホームに並ぶ。窓側の席に着く。しかし、慣れないコーヒーを飲んだせいだろうか、体調が悪くなる。やむを得ず途中下車することにする。ドア前に陣取るが次の駅までが長く感じる。幸い、降りたのは大きめの駅で事なきを得た。途中乗車ではまず座れないであろうということで、指定のグリーン席を追課金した。思わぬアクシデントに見舞われたが、無事に四国入りする。高松駅の窓口でバースデイきっぷを買う。この高松駅あたりは数年ごとに来ているが、オルネという商業施設ができていた。屋上で空が少し橙色に染まりつつあるのが見えたので、海側に行くことにした。アリーナを抜けてプロムナードに出る。旅先で見る夕焼けは何度見てもいいものだ。明日からの四国旅に期待が膨らむ。




朝。高松駅のお顔は相変わらずご機嫌だが、私は体調面でやや不安が残る。まずは「うずしお」で徳島に行く。切符拝見時に誕生月を祝っていただく。別に期待はしてないが、言われると嬉しいものだ。徳島駅は今となっては貴重な有人改札の主要駅。次の列車まで時間があるので少し周辺を巡りたいが、朝からこの暑さではどうしようもない。ポッポ街商店街を少し歩く程度に留めた。次の牟岐線は特急が走っていない。ローカル列車は地元客やら学生やらでそこそこに賑わっていた。阿南からは乗客が少なくなり、途中車窓に日和佐城を眺めたりしながら阿波海南に着いた。ここからはDMVに乗るのが王道かもしれないが、路線バスの旅になる。時間があるので海岸まで歩き、和奈佐意富曽神社を参拝。駅前のコインロッカーで荷物を預けたのにも関わらず、往復で汗だくになってしまった。ここではレンタサイクルを利用したほうがよかったかもしれない。








海部高校前で待っていると、小さめのバスがやってきた。中は少しの乗客。バスは道の駅東洋町に着いた。ここで少し休憩をと思っていたが、海水浴場がすぐ側にあり、荷物を背負っている私は完全に浮いていた。仕方なくバス停で次のバスを待つ。外国人2人組も一緒に待っていた。彼らも行き先は同じだろうか、そう思ったが割とすぐのバス停で降りて行った。これでこのバスは私一人の貸切になってしまった。このエリアは昔鉄道を建設しようとして断念したらしいが、このバスの利用状況では致し方ないであろう。東洋町付近では複雑な経路を走っていたバスも、55号線を快調に南下する。ジオパークセンターに着いた。ここでもう一度乗り換えである。この日最後のバスは、私一人を乗せて室戸岬を経由して奈半利に着いた。ここからはごめん・なはり線に乗り、空が少し暗くなり始めた頃、12年ぶりの高知に降り立った。チェックインして荷物を軽くし、ひろめ市場に行く。中に入ると凄まじい熱気と人であった。席はまず空いていないが、雰囲気に押されて有名店であろう店に並ぶ。購入できたのはいいが、やはり席は空く気配がない。仕方なく立食である。確かに高知の鰹たたきは一味違ったが、急いで食べる感じになってしまったのが勿体ない。そして、高知は白米も美味いことを知った。






四国旅の2日目。朝は路面電車に乗り、上町あたりを散策する。桂浜行きのバスに乗るため、南はりまや橋のバス停で待つ。12年前にも同じルートを辿っているが、ここでタクシーの運転手に絡まれた思い出がある。今回はそのようなこともなく、懐かしの桂浜に着いた。バス停付近は今風になっていたが、海はあの日と変わらない。高知駅に戻り、喫茶店で少し休む。岡山・高松方面は少しダイヤが乱れているらしい。






「あしずり」に乗り中村まで行く。切符拝見時に特に何もなく。別に期待はしてないが、言われないと少し淋しい。中村からはくろしおラインで夏らしい田園風景を眺めながら宿毛に着く。予定より1本早いバスに乗れそうなので、忙しなく乗り込んだ。バスは川沿いを走り、県界というまんまなバス停付近で愛媛県に入った。しばらく走ると、愛南町に着き、女子学生のグループが乗り込んできた。宇和島まで遊びに行くのだろうか。町を抜けるとバスはしばらく海沿いを走り、車窓からは可愛らしい3つの島が並んで見える。約2時間走るこのバスは、やがて内陸に入っていき、乗客たちもうとうとし始め、のんびりした時間が流れる。女子グループは駅の少し前のバス停で降りていき、やがて宇和島駅前に着いた。チェックインを済ませ、近くのほづみ亭に入り早めの夕食。鯛めしやじゃこ天をいただく。昨日は立ち食いだったので、天国のようであった。その後は、ほろ酔いで町を散策する。宇和島城の前まで行くが閉門していた。駅前に戻る頃には、空は赤く染まっていた。






3日目。朝の町を歩くが、城まで登ることは断念した。3本目の特急「宇和海」に乗る。途中、八幡浜駅で乗客が少し増え、10年ぶりの松山に着いた。駅舎は新しく生まれ変わり、旧駅舎は取り壊しの最中であった。駅内の商業施設で休憩した後、路面電車に乗って道後温泉に向かった。温泉は待つことも覚悟していたが、夏だからかすんなり入れた。入浴後は道後ビール片手に商店街をぶらつく。時間が余ったので松山市駅まで行き、地下街や銀天街を歩いた。昔立ち寄った老舗とんかつ屋が今でも営業しており、嬉しい。JR側の駅に戻るが、ここは地下通路を経由しなければならないのでやや面倒だ。10年前にも思ったが、年配の方にはきついのではないだろうか。







「しおかぜ」に乗る。きっぷを見せると後で記念ステッカーをいただいた。香川に近づくにつれ日が傾いてきた。宇多津(多度津と紛らわしい)で乗り換え。ここからは普通列車でも良かったが、対面に停車していた「いしづち」に乗る。PM7時、出発の高松駅に戻ってきた。うどんを食したり、タワーに登ったりして、再び駅に。最後はサンライズ瀬戸に乗って帰る。一時期よく乗ったこの寝台列車も3年ぶりに乗車する。PM9時前、車両は駅に入線してきた。一度改札外に出てコンビニで買い出しし、乗り込む。瀬戸大橋を超えて児島の駅看板が見え、行きの出来事を思い出す。缶ビール片手に眺める夜の風景は飽きることがない。大阪駅を過ぎるまで起きていた。朝起きると列車は島田駅で停車していた。寝起きで状況がよくわからないが、1時間ほど遅れているらしい。外は雨が降りしきり、昨日までの夏の日々を洗い流していくようであった。








この旅の装備
X-T3
XF23mmF1.4 R LM WR
iphone16
