Side-by-Side Extension
1. なぜ今「Side-by-Side Extension」が注目されているのか
企業がSAP S/4HANAを導入するとき、必ず直面する課題があります。
標準機能だけでは自社の強みを表現しきれない
しかし、SAP本体を改修しすぎるとアップグレードが止まる
DXを進めたいのに、システムが重くてスピードが出ない
この“ジレンマ”を解決するのが SAP Side-by-Side Extension です。
簡単に言えば、
SAP本体は極力触らず、独自の業務や差別化ポイントはSAPの外側(BTP)に作る
というアプローチです。
2. Side-by-Side Extensionを一言でいうと?
「SAPの外に“もう一つの拡張レイヤー”を持つ戦略」
SAP本体(S/4HANA)は標準のまま維持
独自業務・新規サービス・高速開発はBTP側で実装
APIでSAPと連携し、データはリアルタイムで同期
つまり、
“SAPは基幹の心臓、BTPは俊敏な手足”
という役割分担を作るイメージです。
3. メリットは何か?
① アップグレードが止まらない(技術負債ゼロ化)
SAP本体を改修しないため、 RISE with SAPの継続アップデートに完全対応。
保守コストが減る
将来のバージョンアップが楽
IT部門の負担が激減
これは経営にとって非常に大きなメリットです。
② 独自業務を“高速に”実現できる
Side-by-SideはBTP上で開発するため、
小さく作ってすぐ試す
失敗してもSAP本体に影響しない
新規サービスをスピーディに市場投入できる
まさに DXのスピード感 を実現できます。
③ SAPを汚さずに“競争力”を作れる
企業の強みは標準化できません。
独自の見積ロジック
特殊な在庫管理
顧客向けポータル
AIを使った需要予測
こうした“差別化ポイント”はSide-by-Sideで自由に作れます。
④ IT投資の透明性が上がる
SAP本体の改修が減るため、
どこにコストがかかっているか
何が標準で、何が独自なのか
どの拡張が利益に貢献しているか
が明確になります。
経営判断がしやすくなり、IT投資のROIが見える化されます。
4. 具体的にどんな場面で使われるのか?
● 顧客向けWebポータル
SAPの受注データをリアルタイムに参照しながら、 顧客が自分で注文・納期確認できる仕組みをBTPで構築。
● AI・機械学習の活用
需要予測、在庫最適化、異常検知など、 AIモデルはSAP本体ではなくBTP側で動かす。
● ワークフローの高度化
SAP標準のワークフローでは足りない場合、 BTP Workflowで柔軟に構築。
● モバイルアプリ
倉庫・現場・営業向けのアプリをBTPで開発し、 SAPとAPI連携。
5. Side-by-Side Extensionの構成イメージ
レイヤー: 役割
SAP S/4HANA(基幹): 標準業務、財務、在庫、購買、販売などの“心臓部”
SAP BTP(拡張): 独自業務、アプリ開発、AI、ワークフロー、API管理
外部サービス: 顧客ポータル、モバイル、AIサービス、外部SaaS
SAP本体は“変えない”。 変えるのは“外側”。 これがSide-by-Sideの本質です。
6. 押さえるべきポイント
① SAPは標準化、競争力はBTPで作る
この役割分担を明確にするだけで、 IT戦略が劇的にシンプルになります。
② IT部門の負担が減り、スピードが上がる
SAP本体を守ることで、 IT部門は“攻めの開発”に集中できます。
③ 将来のクラウド移行・RISE移行が楽になる
Side-by-Sideはクラウド前提のアーキテクチャ。 将来の移行コストが大幅に下がります。
7. まとめ:Side-by-Sideは「SAP時代の勝ちパターン」
SAP導入の成功企業は、例外なくこの戦略を取っています。
SAP本体は標準化
独自業務はBTPで高速開発
APIでつなぎ、データはリアルタイム
アップグレードは止めない
DXのスピードを最大化
Side-by-Side Extensionは、 “SAPを守りながら、企業の競争力を最大化する” 最も合理的なアプローチです。
2026年2月25日 Side-by-Side Extension 冨田 敏敬 作
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