「国家可行性」という言葉が心に残った「経済と平和のひみつ」
昨日は、筑波大学で博士号を取得し、数学で戦争を防ぐ研究をしている菊地英宏博士をお招きして、「経済と平和のひみつ」を開催しました。
ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。
今回も講義中から活発な議論が続き、参加者の皆さんが次々に質問や意見を出してくださいました。講師と参加者が一緒になって考える、fermi cafeらしい時間になったと思います。
菊地博士は以前からfermi cafeで繰り返し講義をしてくださっています。その中でよく語られるのが、
「技術レベルが近ければ、人口=国力である」
という考え方です。
今回の講義で私が特に印象に残ったのは、「国家可行性」という言葉でした。
菊地博士は、国家可行性を「国がどこまで行けるのか」「この条件のもとで、その国があと何年存続できるのか」を考える視点として説明されました。
そして、国を成り立たせているのは国民であり、国を維持していくのは次世代の国民である子どもたちであるという話につながりました。
講義では、国内を回り続けているお金こそが、若者の技術習得や次世代育成に役立っていることが説明されました。一方で、富裕層が使わずに蓄積しているお金は、そのままでは新たな価値を生み出さないという指摘もありました。
特に印象的だったのは、国債についての話です。
「国債は国の借金だから、将来世代のためになくすべきだ」という主張があります。しかし菊地博士は、それは大きな誤りだと説明されました。
もし国債を減らすために国内を回るお金を減らしてしまえば、若者の技術習得の機会が失われます。結婚や子育てに必要な経済的余裕も失われます。
その結果、次世代を担う人材が育たなくなり、かえって国家可行性を損なうことになるというのです。
また菊地博士は以前から、余裕のない若者や子育て世代に負担を求める消費税は廃止すべきであり、税制は富裕層による過剰な資産の蓄積を防ぐためのものであるべきだと主張されています。
今回の講義では、富裕層からより多く負担を求める累進所得税を重視すべきであること、その考え方は菊地博士自身のシミュレーション研究によっても検討されていることが紹介されました。
また、ハイパーインフレには十分注意しながらも、数学的な計算に基づいて国家運営を考えることの重要性についても語られました。
経済や税制の話になると難しく感じますが、今回の講義は「国を維持するとはどういうことか」「未来の国民を育てるとはどういうことか」を考える機会になったと思います。
また今回は、Radiotalk「きなさのおやすみ前の読み聞かせ」で生中継も行いました。
アーカイブを残してありますので、参加できなかった方や、もう一度内容を振り返りたい方は、ぜひお聞きください。
次回、fermi cafeでの菊地英宏博士の講義は、8月16日(日)の「太平洋戦争を数学的に」です。
これは菊地博士の研究の原点となったテーマです。私も今から楽しみにしています。
ご興味のある方は、ぜひお早めにお申し込みください。

