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転職初日、専門用語が宇宙語に聞こえた僕が、それでも営業として生き残れた理由

2017年5月。
僕は、デジタルマーケティングの世界に飛び込んだ。

当時の僕は、正直ちょっと調子に乗っていた。

「営業経験もあるし、まあ何とかなるでしょ」
「新しい会社でも、すぐ結果出せるでしょ」
「むしろ、ここから一気にキャリアアップでしょ」

……はい。
数日後の僕に言ってあげたい。

お前、だいぶ甘いぞ。


転職初日、会議の内容がほぼ呪文だった

新しい職場では、IT、Web広告、デジタルマーケティング、DX、CRM、CV、CPA、LTV……。

会議では、知らない言葉がものすごいスピードで飛び交っていた。

周りの人たちは、当たり前のように専門用語を使いこなし、顧客の課題を整理し、提案の方向性を話している。

一方の僕はというと、

「今のアルファベット、何の略?」
「CVってコンバージョン? いや、そもそもコンバージョンって何?」
「DXって、結局何をどうすること?」

みたいな状態だった。

もちろん、表情だけは真剣にしていた。
でも頭の中は、ほぼフリーズ。

たぶん、会議室に座っている僕の中身だけ、Wi-Fiが切れていた。

「営業なら何とかなる」と思っていた自分が恥ずかしくなった

前職でも営業をしていた。
だから、営業としての基本はあると思っていた。

お客様の話を聞く。
課題を整理する。
提案する。
関係性を作る。

その流れ自体は変わらない。

でも、デジタルマーケティングの営業は、そんなに甘くなかった。

お客様の課題を理解するには、広告、サイト、データ、システム、運用、制作、分析など、いろんな知識が必要だった。

知識がないと、会話の土台にすら立てない。

お客様が何に困っているのか分からない。
社内の専門メンバーが何を話しているのか分からない。
提案書を見ても、良し悪しが分からない。

営業なのに、営業として戦うための武器を持っていない。

この感覚は、かなりきつかった。

気づけば、毎日終電だった

成果も出ない。
知識も足りない。
でも案件は動いている。

気づけば、毎日終電近くまで働くようになっていた。

日中は顧客対応。
夕方から社内調整。
夜に提案書や資料作成。
帰ってからも分からない用語を調べる。

そんな日々が続いた。

正直、何度も思った。

「転職、失敗したかもしれない」
「自分はこの業界に向いてないんじゃないか」
「周りに比べて、自分だけレベルが低すぎる」

今思えば、かなり追い込まれていたと思う。

でも当時は、立ち止まる余裕もなかった。
とにかく目の前の仕事に食らいつくしかなかった。

そんな僕に舞い込んだ、SNS広告の相談

ある日、お客様から相談があった。

「SNS広告を強化したい」

当時の僕にとっては、かなり難易度の高いテーマだった。

しかも、その案件には競合他社も絡んでいた。
メインで入っている代理店もあった。

普通に考えたら、僕が入り込む余地はかなり少ない。

でも、その時の僕には失うものがあまりなかった。

知識も経験も足りない。
実績もない。
だったらせめて、誰よりも早く動こうと思った。

お客様の話を聞き、分からないことは調べ、社内にも相談し、SNS広告の提案を必死で作った。

完璧な提案だったかと言われると、たぶん違う。

でも、当時の僕なりに、できる限りの準備をした。

決め手は「すごい提案」ではなく「ちゃんと見てくれたこと」だった

結果的に、その提案はお客様に選んでもらえた。

正直、めちゃくちゃ驚いた。

メイン代理店が本腰を入れていなかったこともある。
でも、それ以上にお客様が評価してくれたのは、提案の派手さではなかった。

「ちゃんと見てくれた」
「すぐに反応してくれた」
「こちらの課題に向き合ってくれた」

そう感じてもらえたことが大きかった。

この時、僕はようやく少し分かった。

営業に必要なのは、知識だけじゃない。
もちろん知識は必要。
でも、それ以上に大事なのは、相手の困りごとをちゃんと見ようとする姿勢なんだと。

この小さな成功が、僕にとって大きな転機になった。

小さな成功が、自分を少しだけ信じさせてくれた

その案件をきっかけに、少しずつ流れが変わっていった。

お客様との会話にも、以前より自信を持てるようになった。
社内の専門メンバーにも、前より質問できるようになった。
提案書の意図も、少しずつ理解できるようになった。

もちろん、急に何でもできる営業になったわけではない。

相変わらず分からないことは多かったし、失敗もした。
でも、「自分でも何かできるかもしれない」と思えるようになった。

これが大きかった。

人って、いきなり大きな自信を持てるわけじゃない。
小さな成功をひとつ拾って、
それを何度も思い出しながら、
少しずつ前に進むしかないんだと思う。

営業で大事なのは、結局「信頼の積み上げ」だった

この経験から学んだことは、今でも僕の中に残っている。

営業で大事なのは、特別なトーク力だけじゃない。
かっこいい提案資料だけでもない。
業界知識だけでもない。

もちろん全部大事。
でも、それ以上に大事なのは、

相手の課題をちゃんと見て、ちゃんと返すこと。

早く返す。
分からないことを曖昧にしない。
小さな約束を守る。
相手が気にしていることを先回りして考える。
派手じゃなくても、丁寧に積み上げる。

信頼って、たぶん一発逆転では作れない。

毎日の小さな対応の積み重ねで、気づいたら少しずつできているものなんだと思う。

あの頃のしんどさは、今の自分の土台になっている

今振り返ると、あの時期は本当にしんどかった。

毎日終電。
専門用語だらけ。
成果も出ない。
周りとの差に落ち込む。
自分の無力さに嫌になる。

でも、あの時期がなかったら、今の自分はなかったと思う。

分からないことを認めること。
それでも食らいつくこと。
小さな成功を大事にすること。
信頼は、派手な一撃ではなく地味な積み重ねで作ること。

全部、あの頃に学んだ。

今の僕は、次のステップとして起業も考えている。
まだ偉そうに語れるほど何かを成し遂げたわけじゃない。

でも、あの頃の自分にひとつだけ言えるなら、こう言いたい。

大丈夫。今は何も分からなくても、ちゃんと積み上がっていく。

焦ってもいい。
不安でもいい。
自信がなくてもいい。

それでも、目の前の小さな仕事にちゃんと向き合っていれば、いつか振り返った時に、それが自分の土台になっている。

僕はそう思っている。

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