自宅三国志#44 〜未来の私へ、同じようにもがいているあなたへ届きますように〜
ここは、国王(父)・国母(母)・女王(私)が暮らす自宅大陸。
認知症禍により、今日も何かが勃発しています。
今回は、誤算と確信の話。
どこまでも女王目線で綴った記録です。
※あくまで個人の見解です。
#44 女王の予言――当たる違和感、外れる判断
国母が滑って転んで病院へ。
腰のレントゲンを撮り、骨折していないということで帰ってきた。
折れてない。
そう言われたはずなんだが、どうにも様子がおかしい。
ケアマネ・ヤシロ嬢に今回の顛末を報告。
「折れてないって言われたんですけどね」
「そうなんですね。
折れていたら安静なんですけどね。
折れてないなら、逆に動かないと弱っちゃいますからね」
だから私も、国母にいつも通り動くように言っていた。
——そうなんだけど。
なんか今までと様子が違う。
動く時は、曇った表情で押し黙っている。
時々「……痛い」と呟く。
いつもの明るい国母ではない。
見ていても、大丈夫かな?と不安になる。
基本、痛み止めなどは飲ませたくないんだけど。
これはさすがに——飲ませた方がいいのか?
そう思ってしまうレベル。
「実は、肋骨あたり折れているんじゃない?」
私のぼやきを複雑な表情で聞くヤシロ嬢。
なんだかな、と思っていた二、三日後。
スマホに着信。
担当医からの留守電。
「折り返し電話ください」
——私、予言者かもしれない。
いや、予言者だろ。
そう確信しながら折り返す。
「やっぱり折れてましたか?」
開口一番のお告げに、担当医即答。
「はい、そうなんですよ」
——話が早くて助かるな、と言わんばかり。
流れるように説明が続く。
「今後のこともありますので、一度来ていただけますか」
後日、とりあえず一人で病院へ。
うやうやしく告げられる。
「あの後、放射線科のドクターが見つけましてね」
ほう。そんな専門医が見つけたとな。
どれどれ。
「こちらですね」
映し出される肋骨のレントゲン。
…………。
バッキリ、いってますね。
素人目にわかる、清々しいほどの折れっぷり。
放射線科の専門医がようやく見つけたとは、どれほど繊細なヒビかと思えば…。
——前振り、壮大すぎじゃね?
見逃したままにせず、よくぞ再確認して正直に報告してくれたものだ。
その誠実さに感心……している場合ではない。
「折れていたら安静」
養生の基本、ヤシロ嬢の言葉がよぎる。
——私、痛くても動くように言ってたんですけど。
肝が冷えた。
ごめん、国母。そりゃ痛いわ。バッキリだもの。
最後までお読みいただきありがとうございます。
ちなみに、予言者ではありません。
毎日わが子を見守る母親の勘が鋭いのと同じ。
ずっとそばにいるからこそ、見えてしまう。
ただの「観察の積み重ね」です。
