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リビングには、何かいる(番外編研究ノート)

○月☓日

すごく疲れた日だった。


仕事を終え、帰宅する。


ご飯を食べる。

お風呂に入る。

歯を磨く。


ここまでは覚えている。


……。


そして、
その先の記憶がない。


気がつくと、


リビングで寝ている。

「あれ?」

「なんでここ?」


寝ぼけながら時計を見る。


夜中である。


これを一度や二度ではない。


何度か繰り返してしまう。


そのたびに妻から言われる。

「またリビングで寝てたの?」

「子どもたちに言えなくなるよ」


ごもっともである。


でも、
不思議なのである。


寝室までは、
あと数メートル。


……


いや、
我が家はそんなに広くない。


歩けば数秒で着く。


なのに、
その数秒が越えられない。



きっと、
リビングには何かいる。


例えば、
夜になると現れる妖精。

「今日はお疲れさま」

そう言って、
そっと眠らせているのかもしれない。


あるいは、

どこからともなく振り子が現れ、

「あなたは眠くなる〜」

と催眠術を
かけているのかもしれない。


いや、

羊かもしれない。

一匹。

二匹。

三匹。

気づけば、
数える刑に処されているのだろう。


さらに考えてみた。


もしかすると、

夜になるとリビングだけ
重力が強くなるのではないだろうか。


ソファに座った瞬間、
身体が持ち上がらない。


立とうとしても、

重力が勝つ。


……。


そんな言い訳を考える前に、
寝室へ行け。


という話である。


ちなみに、
夜中に目が覚めると、
忍者のように気配を消し、

そーっと寝室へ向かう。


「今日はバレていない」


そう思って布団に入る。


翌朝。


妻が一言。

「昨日もリビングで寝てたでしょ」


……。


どうやら、
忍術の修行が足りないらしい。


たぶん。



以上、研究ノートより

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