#62 俺、家族に留学の話をする パパ、いんせーになる
○月×日
短期留学の話が、
少しずつ現実味を帯びてきた。
単位の関係で、
英語のオンライン科目を取って、
英語で発表するか、
短期留学に行く必要があるらしい。
そして自分は、
少し迷った結果…
台湾に行こうとしていた。
まずは、
妻に話してみることにした。
なんとなくだけど、
この感じ。
少し前の、
大学院受験の時と似ている気がした。
「あのさぁ」
「んー?」
「単位の関係で、
英語のオンライン科目を取って、
英語で発表するか、
短期留学に行かなきゃなんだけど……」
「うん」
「台湾に留学、
行っちゃおうかなって思うんだけど……」
「補助もあるっぽくて……」
すると妻は、
少し笑いながら言った。
「あー、
英語できないもんね〜」
……その通りである。
妻は、
大学時代の同級生。
自分の英語力を、
よく知っている。
そして、
そのまま続けた。
「まぁ、
行っちゃえば?」
またしても、
あっさりしている。
「どのくらい?」
「2週間くらい」
少し沈黙。
そして妻は言った。
「まぁ、いつもいないから、
変わらないか」
……なんか、
軽く傷つくような、
安心するような。
でも、
たぶんこれが
うちの夫婦の距離感なんだと思う。
妻とは、
約束していることがある。
2人で、
全都道府県に行くこと。
ただ、
子どもが生まれてからは、
なかなか行けていない。
全国制覇までは、
まだまだ遠い。
でも今回は、
自分だけ先に
台湾へ行くことになる。
すると妻は言った。
「まぁ、
台湾は都道府県に入らないからね」
その理論でいいのかは、
よく分からない。
でも、
また今回も、
あっさり承諾してくれた。
この人の決断力には、
本当に脱帽する。
そのあと、
子どもたちにも話してみた。
「パパ、
台湾行くらしいよ」
すると、
最初の一言は…
「ずるい」
だった。
続けて次女が聞く。
「飛行機?」
「あぁ、飛行機」
「あれ?船?」
「いや、飛行機」
「いいな〜」
どうやら、
留学よりも
飛行機の方が気になるらしい。
そしてそのあと、
すぐに話題は変わる。
「お土産、何にしようかな」
切り替えが早い。
長女はというと、
いつも通りだった。
少しだけこちらを見て、
「まぁ、がんばれ」
……通常運転である。
しかも、
どうやら2人とも
あまり寂しくはないらしい。
……それはそれで、
少し複雑である。
とりあえず、
短期留学の方向性は決まった。
ただ
ここで、
ふと思う。
待て。
台湾って…
英語じゃなくて、
中国語じゃね?
台湾華語?
やばい…
(たぶん、つづく)
