目標設定が苦手な経営者へ。それでいいと思う、本当の理由
経営者向けのセミナーやコンサルティングの現場で、必ずと言っていいほど聞かれることがあります。「目標設定、得意ですか?」という質問です。
はっきりと数値目標を語れる経営者もいれば、聞かれるたびに言葉に詰まってしまう経営者もいます。私自身、27年間この仕事を続けてきて、後者のタイプの方に数え切れないほど出会ってきました。そして実は、私自身もそうです。
この記事では、目標設定が苦手な経営者に向けて、それでもなぜ27年間事業を続けてこられたのか、そして数値目標の代わりに何を大切にしてきたのかをお伝えします。読み終える頃には、「目標を立てられない自分」への引け目が、少し軽くなっているはずです。
あなたに向けて書いています
目標設定が、どうしても苦手だ。そう感じたことはありませんか。
「今年の目標は?」「今期の数値目標は?」
そう聞かれるたびに、なんとなく答えに詰まってしまう。
周りの経営者仲間が「今年は売上◯◯円を目指します」と自信満々に語る中、自分だけうまく言葉にできない。
そんな感覚を持ったことはありませんか。
この記事は、目標設定が苦手で、それを少し引け目に感じている経営者・個人事業主の方に向けて書いています。
その気持ち、よくわかります
私自身、目標設定がものすごく苦手です。
サラリーマン時代、年頭になると「今年の抱負を言ってください」と聞かれる機会がよくありました。
周りは「あれがしたい」「今年はこれを目標にします」と次々に答えていきます。
でも私は、一切答えられませんでした。まったくイメージができなかったからです。その場を取り繕うようなことしか言えず、それがずっと違和感でした。
独立してからも、この苦手意識は変わりませんでした。「今年の予算はこれくらい」「今年はこうするぞ」という目標を、立てたことがありません。立てたことがないというより、立てることができないのだと思います。
「目標を立てろ」「目標を達成しよう」という風潮の中で生きていると、こういう自分に引け目を感じてしまう。その気持ち、よくわかります。
実は「目標が苦手」は致命的ではない
ここで、少し立ち止まって考えてみてください。
海外のある調査では、新年に目標を立てた人の目標達成率は1割に満たない、というデータもあるそうです。
つまり、目標を立てたところで、ほとんどの人は続けられていない。
目標に向かって突き進むのが得意な人もいれば、目標を立てること自体が非常に難しい人もいます。それは能力の差ではなく、性格や特性の違いです。
私は独立して27年目、会社を設立して8年目になりますが、目標が立てられないからといって、事業がダメになったことはありませんでした。
自慢したいわけではないのですが、毎回ではないにせよ、飛行機ではビジネスクラスに、新幹線ではグリーン車に乗らせていただくこともできていますし、車も好きなブランドのものを15年以上にわたって、ずっと8台乗り続けてきました。
数値目標を一度も立てたことがなくても、自分が思い描いた通りの状態は、それなりに実現できてきたということです。
これは偶然ではなく、もう一つ意識してきたことがあります。それは「自分を取り巻く環境を、あえて変えていく」ということです。
まだ全然稼げていなかった頃から、あえてグリーン車に乗るようにしていました。目的地に着く時間は普通車と変わりません。それでも高いお金を払っていたのは、そこにいる人たちが明らかに違うからです。思考が違う人たちが集まる空間に、自分の身を置く価値があると考えていました。飛行機のビジネスクラスも同じ理由です。
今も乗り続けている車も、手に入れた当時は自分の年商と同じくらいの金額でした。普通に考えれば「絶対に無理だろう」という買い物です。それでも、まだ若かったこともあり、「ダメだったら売ればいい」という軽い気持ちで、無理をしてでも手に入れました。
これは誰にでもお勧めできるやり方ではありません。無理な背伸びは、状況によっては経営を圧迫するリスクにもなります。ただ、自分が身を置く環境を数値目標の代わりに変えていくという発想は、目標が苦手な経営者にとって一つの選択肢になると思っています。
大切なのは「目標を立てられるかどうか」ではなく、「立てられなくても前に進む方法を持っているかどうか」だと思います。
でも、目標がないと迷走しませんか
「片岡さんの言いたいことはわかった。でも、目標がないと会社の方向性がぶれませんか?」
そう思った方もいるでしょう。
その懸念はもっともです。ただ、私の場合、目標を立てる代わりに「強くイメージを持つ」ようにしています。
「こうなったらいいな」「こういう風にしよう」という具体的な予想やイメージを、数値目標にする代わりに、ものすごく強く頭の中で描く。それを何度も何度も反芻する。
数値やスケジュールで縛るのではなく、実現したい状態を解像度高くイメージし続ける。これが、私にとっての「目標設定」の代わりになっています。
仲間の中には、乗りたい車の写真を机に貼って「これに乗るぞ」と強い目標を掲げている人もいます。それも一つのやり方です。ただ、私にはそのやり方は合いませんでした。
大切なのは、目標という「形式」ではなく、進みたい方向を見失わない「仕組み」を、自分に合ったやり方で持っておくことです。
実際にあった話
数値目標を立てずにここまで来た結果、何が変わったのか。
正直、派手な成功譚ではありません。ただ、目標が立てられないからといって焦らなくなった分、目の前のお客さんとの仕事に集中できるようになりました。
無理に「今年は売上◯◯円」と数字を掲げて、達成できなかった自分を責める。そういうサイクルから抜けたことで、精神的な消耗がなくなったというのが、一番の変化です。
冒頭の調査データが示す通り、目標を立てても9割の人が挫折しています。目標を立てて挫折感を積み重ねるくらいなら、最初から自分に合った方法を探した方がいい。私はそう考えています。
まとめ:今日からできること
目標設定が苦手なのは、能力ではなく特性の違い
目標を立てても、多くの人は続けられていない
数値目標の代わりに「強いイメージ」を持つという選択肢もある
もし今、「目標を立てなければ」というプレッシャーだけで疲れてしまっているなら、一度その前提を疑ってみてください。
片岡 守(株式会社イレブンワン)
マーケティングコンサルタント|チラシ×Web「ハイブリッド集客」考案者
