一枚岩三宗教
アウランガーバードでバスを降りたのは朝7時。バスターミナルでも駅でも大きな施設でも何でもない道路。
荷物を置かせてもらうため、とりあえずホステルに向かってみる。徒歩20分。「Tuk-tuk?どこ行くの?」とドライバーに並走されていると看板が見えてきた。
バックパッカーも多そうな小洒落た宿で一安心。チェックインまでロビーで待たせてもらう。
ムンバイの北東350kmに位置するアウランガーバード。観光の目玉は、二つの石窟寺院群「アジャンター石窟群」と「エローラ石窟群」だ。ともに世界遺産に登録されている。
フロントに、エローラへのタクシーサービスの案内があったので、今日いけるか聞いてみるとすんなりOK。
ロビーで座っていると、イングランド出身の、フレンドリーで愛嬌花丸な青年が話しかけてきてくれて和んだ。彼もエローラに行くと言うので、笑い方が可愛いその彼と相乗りで向かうことになった。
彼はブルックという名で、「日本の漫画に同じ名前のキャラクターが出てくるよ」と教えてあげると、検索して嬉しそうにしていた。
ゼブラ柄が彼のイメージカラーならぬイメージパターンらしく、私が着ていた、ハノイで買ったゼブラ柄のパンツを褒めてくれた。
私の履いていたkeenの虹色のサンダルを、インドで見た中で一番素敵な靴だなんて絶賛してくれて、サンダル焼けの模様を見せると「しまうまみたい!」ところころ笑っていた。


エローラの入口付近には屋台が並び賑わっている。
ブルックがバナナとココナッツを買ってくれた。
入場料を支払って、トークンを受け取る。
帰りまで失くさないようにしないと。



5世紀から10世紀にかけて造られたエローラ石窟寺院群は、1〜12番の仏教窟、13〜29番のヒンドゥー教窟、30〜34番のジャイナ教窟の、34の石窟から成る。番号が大きくなるほど、造られた年代も新しくなっていく。
入ってまず行き当たるのが、第16窟「カイラーサナータ寺院」だ。
20ルピー紙幣にも描かれており、エローラの顔と言えよう。














これを一枚の岩から人力で掘り(彫り)出したというのか...信じ難い規模だ。
この16窟だけでも100年掛かったとか。
16番を出て、年代を遡る方向に見学していく。
ブルックがトイレに行くと言うので(場所が少し離れている)、ここからは互いのペースで見て回ることに。



仏教窟の見所は第10窟。




静かでひんやりとした洞の中で、男性の祈りの歌のような経が響く。私の体の表面は、振動する声に覆われる。

沈み込んでいた反響から顔を出して、眩しく暑い外に一歩。さらに昔へ。




最も古い第1窟まで到達。折り返す。
広い。とにかく広い。
DMはあまり見ていない旨がご丁寧に自己紹介欄に記載されたブルックのInstagramに念のためDMを入れておいたものの、宣言通り?そりゃ既読は付かない。果たして合流できるのだろうか。
ヒンドゥー教の第17窟から29窟まで、飛ばし飛ばしざっと見ていった。
ここから30番目以降のジャイナ教窟までは、また1kmほど距離がある...遠い...








宗教学の素養のない私には、ジャイナ教寺院の構造や装飾が他の2宗教とどのように異なるのかは分からなかったが(そして何よりくたびれていた)、兎にも角にも、3つの宗教の寺院が一堂に会するというエローラの特異性を目撃することはできた。
ジャイナ教寺院から引き返して入口まで戻っている途中、「君を探して色んな人に『Japanese girlを見かけなかったか?』って聞いてきたんだよ!」と物売りの男性に話し掛けられた。
彼は日本人女性が大好きらしく、彼の売り物である石のブレスレットとネックレスを貢がれてしまった。「明日食事に行こう」「一緒に旅行しよう」との熱烈なアプローチを「予定が分からない」の一点張りでのらりくらりはぐらかしているうちに、入口に到着。
最後にLINEを交換しようと言われて断れなかったのだが、ゲートを出て少ししてから掛かってきた彼からのLINE通話に応じると、「これからジャイナ教エリアを見てから出るよ♪」と何故かブルックの声。恐らく最初に私がブルックと歩いているところを見ていた物売りの彼が、私と別れた後ブルックを見つけて声を掛けたのだろう。
ブルックと連絡がついて一安心。彼とLINEを交換しておいて良かったと思った。

出てすぐのライムソーダ屋さんで、一先ず1杯ひっかけよう。
この暑さと疲れに、こんな爽やかそうなドリンク、飲まずにいられない。生搾りだよ?

手際良く絞ってくれる
入ってから出るまで、飛ばし飛ばしでもたっぷり4時間掛かった。もう13時半だ。
これからジャイナ教窟ということは、ブルックはまだしばらく出てこなさそうなので、お先にお昼としようかな。
