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XII.「宙吊り」 逆転の発想

今日はXII.「宙吊り」のカードを取り上げようと思います。このカードでは若い男性が片足を縄で縛られ、木の枠の中に宙吊りにされています。

拷問を受けたり、何かの罰を与えられているのでしょうか?男性の顔をみると、むしろリラックスしたような表情をしています。手は後ろ手に組んでいるので、何かを後ろに隠し持っているのかもしれません。

大沼忠弘先生によればここに吊るされている若い男は「その体は宇宙大の大きさを持っており、インドのヴィシュヌ神と同じように、宇宙に浮かんで心静かに瞑想にふけっている原初の人間(アダム・カドモーン)」なのだそうです。(『タロットの光』大沼忠弘著 ISIS)

アダム・カドモンについてネットで調べると「ユダヤ教のカバラ思想における『原初の人間』や『宇宙の根源的構造』を意味する言葉です。具体的には、創造以前の神の中に存在した純粋な可能性としての光(神の光)であり、それが天地創造の過程で10のセフィロト(生命の樹)として顕現した根源的な人間形態とされます。」と書かれていました。

ユダヤ教のカバラ思想における「生命(いのち)の木」とタロット・カードについてはいつかまたあらためてお話したいと思います。

いずれにしろ、彼は深い瞑想状態にあり、課題について瞑想しているのです。逆さになっているのは、通常とは違う視点でモノゴトを見ているからです。いわば「逆転の発想」をしているのです。

彼の周りは木の枠で囲われており、一見、出口はないように見えますが、下の方は開いています。

三方を塞がれ、答えを求めても行き詰ってしまっているように見えても、視点を変えてモノゴトを眺め、逆転の発想をすれば「出口は下の方にある」ということが示されています。

「出口が下にある」というのは、つまり、答えは外に求めるのではなく、自分の内面に降りて行けばそこで見つかる、ということだと思います。答えは自分の内側にあるのです。

松村潔さんは、このカードに関連してジョン・C・リリーの考案したアイソレーションタンクについて書いています。アイソレーションタンクというのは、「大きな器があり、この中に硫酸マグネシウムの溶液をいれる。人はそこに横たわると、液体の比重が高いので、浮くことになる。そしてこのタンクの周囲は密閉され、音が入らず、光もなく、身体が浮くので、無重力のような体験になり、つまり外界の刺激をすべてシャットアウトして、一時間とか二時間じっとしているのだ。」(『タロットの神秘と解釈』松村潔著 説話社)と述べています。

松村さんは、アイソレーションタンクに入っていると、通常とは意識状態が変わり、まさに「12吊られた男」=XII.「宙吊り」の体験そのものになる、と言っています。

私たちは、日々の日常生活で様々な課題や困難に直面し、右往左往しています。しかしながら、時にはそうした日常を逃れてリトリートすることも必要ではないでしょうか。日常の喧騒から離れて引きこもり、静かに自分の内面を見つめ、通常とは違う意識で問題を俯瞰できれば、答えは自分の中に見つけることができるでしょう。

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