応援したい気持ちと、投票行動が一致しない選挙
先日、高市早苗総理がニコニコ動画の番組に出演し、高校生の質問に答える場面があった。その中で、「高市総理を応援するなら、あえて他の党に投票した方がいいのではないか」という趣旨の質問が投げかけられた。
一見すると奇抜に聞こえるが、この問いは決して突飛なものではない。特定の政治家や政策を支持していても、どこに票を投じればその意図が最も反映されるのか分からない——そんな不安を、多くの有権者が抱いているからだ。
政党政治や党内力学、連立の行方を前にすると、「応援したい気持ち」と「実際の投票行動」が一致しない場面は珍しくない。今回のやり取りは、そうした現代の選挙に特有の迷いを象徴する出来事だったように思う。
こうした有権者の迷いや戦略的な投票行動自体は、これまでも存在していたはずだ。ただ、それがSNSを通じて可視化され、共有されるようになったことで、よりはっきりと意識されるようになった面はあるだろう。
さらに今回の解散の経緯や、それに呼応する形で現れた中道改革連合の動きが、こうした迷いを一層強めた側面も否定できない。本稿では、その構図を整理してみたい。
高市総理が仕掛けた政局選挙
こうした見出しに抵抗を覚える人もいるかもしれない。
ただ、高市総理が解散理由として語った
「私が内閣総理大臣で良いのかどうかを問う」という発言は、
個人としての支持率が高い一方で、自民党全体の支持率が伸び悩んでいる状況を踏まえると、
選挙の焦点を各候補者への信任から、政権そのものの是非へと意図的に引き上げた側面は否定できない。
では、なぜこのタイミングで解散に踏み切ったのか。
この点については、下記の記事で、多党制の下で政権基盤を維持すること自体が大きなストレスになっていた可能性を一因として挙げた。
また、二大政党制に生き残りをかける立憲民主党が、公明党との合流によって「中道改革連合」という新たな枠組みを生んだのではないか、という点についても触れている。
この構造によって、思想や立場の異なる候補者が、自民党と中道改革連合という二つの大きな陣営に内包される形となり、今回の選挙は候補者選択というよりも、政権選択を前面に押し出した政局選挙として性格づけられることになった。
そして、ここで有権者の迷いが生まれる。
冒頭の高校生の質問に象徴されるように、「高市政権は支持したいが、自民党には躊躇がある」という視点だ。この点からも、高市政権の発足以降、多党化した国会の中で、政党を越えた政策実現や柔軟な政治運営に期待していた有権者が一定数存在していたことがうかがえる。
ここからは、そうした前提を踏まえた上で、各陣営ごとに有権者がどのような迷いを抱えているのかを整理していく。
政局化が生んだ、有権者の迷い
※ここでは是非や政策評価ではなく、「有権者が迷うかどうか」という観点で整理する。
自民党(高市総理含む)
高市政権自体は支持したいが、自民党には躊躇がある、という層は少なくないだろう。
加えて、今回は公明党の票が逆陣営に流れる可能性が指摘されており、その危機感から「やはり自民に入れるべきか」という迷いも生じている。
一方で、前回の参院選で自民党から離れていた保守層が戻ってくる可能性もある。
ただし、高市総理支持者の中にも、今回の解散理由については苦しい説明に見えている人がいるかもしれない。
立憲民主党(元立憲支持)
公明党との合流によって学会票がどこまで見込めるのかは不透明だ。
また、その過程で従来掲げてきた政策を大きく修正している点を、これまでの支持者がどう受け止めるのかという迷いも残る。
公明党(元公明支持)
公明党は小選挙区に候補者を立てず、比例に集中したことで、比例票については迷いなく投じやすい。
一方で、小選挙区ではこれまでと全く逆の陣営に属する形となり、どう行動するのかは読みにくい。
地方議会では引き続き自民党と協力関係にある地域も多く、そのねじれが判断を難しくしている。
日本維新の会
社会保障を巡るスキャンダルや、大阪都構想への強引な姿勢が目につく中で、どう評価するか迷う有権者は多いだろう。
与党陣営に入ったことで、これまでの政策の見え方も変わってくる。
仮に自民党が単独過半数を達成すれば、連立合意文書の意味合い自体が大きく変わる点も判断を難しくする。
また、大阪の情勢と、それ以外の地域から国会に来る「全国政党としての候補者」との間に温度差があり、そこも迷いの要因となっている。
(追)高市さんを応援したいけど、自民党が信用できない方は維新にと藤田さんが言っているのを目にした、確かにそういう見方をする人もいるかと思う…が、元々の支持者はどう感じるのだろうか。
国民民主党
従来の支持者にとっては、党の姿勢が大きくブレているとは感じにくく、投票行動に迷いは少ない。一方で、報道や政局中心の見え方では「立場が分かりにくい」「ブレているように映る」可能性はある。
また、高市政権支持層からは「協力してくれなかった党」という印象を持たれやすく、政局報道が前面に出るほど、政策面での評価や成果が伝わりにくくなる。
(追)高市政権を支持する層に対して、国民民主党もアプローチを行っている。昨年までの国会で一定の成果を上げられた背景として、高市政権であったこと、そして自民党が過半数割れする多党化状況があったことを挙げている。
元々の支持者にとっては、党の存在意義を示すために不可欠な説明である一方、高市政権寄りの有権者から見れば「それなら連立していればよかったのでは」という迷いを生みかねない主張でもある。
参政党
勢いのある政党として、コアな支持者はそのまま支持すればよい。
ただし、前回の参院選で自民党から離れた保守層の一部が流れていたと考えられるため、その周辺層の票がどう動くのかは不透明だ。
(追)高市さんを応援している層に参政党もアプローチしている、『高市さんの足を引っ張ろうとする自民議員はいない方がいい』とかなりストレートな言葉を使っている、前回の参院選のことを考えてもこの層を取りたいのは当然かと思う。
れいわ新選組
山本太郎不在の状況では、影響力の見通しが立ちにくく、支持層にも混乱が生じている。
社民党・共産党
これまで立憲民主党に投票していた層にどこまで訴求できるか。
勢力回復につながるのかどうかが焦点となる。
日本保守党
支援者は比較的固定化しており、投票行動における迷いは少ない。
チームみらい
他党に比べ、政局から距離を取りつつ、安全で先進的に映るため、支持者にとっては迷いの要素が少ない政党だと言える。
所感
今回はここで、分析結果を受けてこう考えた方がいいという結論は見いだせない。それほど、複雑でどうなるかわからない構造が出来上がってしまっている。
という意味で、まとめや総括ではなく所感ということで感想を置いて締めたいと思います。
昨年の参議院選挙の際より、テレビはもとよりネットメディアも政策よりも政局の報道が増えてしまったように思う。しかし、今回ばかりはメディア批判をする気にもならない、それほど政局が面白くなってしまったのが今回選挙の構図だからだ。
そういう意味では、今回は政局を観察してみようという楽しみを感じてみようと思う一方で、そんなことで良いのかなとも思う。
また、メディア批判をする気にもならないというのも本音だが、ここで政策に焦点を当てた番組づくりができれば一目置かれる存在になれるのにとも思う。
そして、最後は自分の投票行動についてそうするかの選択が迫られることになる。しかし、今回政局を整理したことにより、もうわからないという結論に至ってしまった。
その結果、逆説的に原点に戻るしかないと感じている。
候補者一人一人を見て評価する。
その判断以外に後悔しない方法論が思いつかなかった。ということである。
また、解散総選挙があるということで僕が各政党に対して最近考えたことと他に気になった記事をまとめてます。
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