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くどい?大事?消費税0%討論のカラクリ、整理してみた

今回の衆議院選挙の公示前、各党首による討論が何度も行われました。その中で、毎回話題に上がっていたのが「食料品の消費税を0にするか」というテーマです。

特に国民民主党の玉木代表は、この議論の中で「非課税取引ですか?それとも免税取引ですか?」と問いかけ、視聴者を少し混乱させる場面もありました。

玉木代表に好意的な人は、「よくわからなくても、正しいことを言っているのだろう」と感じたかもしれません。一方であまり支持していない人には、「細かい議論に時間を使うな」と思った人もいたでしょう。

そもそも、このテーマを公約として掲げる政党の党首たちが、明確に答えられていなかったことも事実です。そこで今回は、この「非課税/免税」の議論が本当に必要だったのかを、シミュレーションを通して整理してみました。


非課税と免税のおさらい

  • 非課税

    • 取引時の消費税:かからない(請求書に税なし)

    • 仕入税額控除:できない → 仕入や経費にかかった消費税は丸ごとコスト

    • メリット:手続き不要、簡単

    • デメリット:事業者のコストが高くなりやすい

  • 免税(0%課税)

    • 取引時の消費税:請求額は0円(消費者負担なし)

    • 仕入税額控除:可能(後で還付される) → 仕入や経費にかかった消費税は回収できる

    • メリット:事業者のコストが抑えられ、利益を確保しやすい

    • デメリット:インボイス発行や申告など手続きが面倒

💡 一言でいうと
非課税 = コスト増える、手続き不要
免税 = コスト減る、手続き必要





前提条件の設定


まず、前提条件を仮定します。
単純化のため、農家から直接仕入れて料理を提供するケースで考えます。

消費税率:10%
農家の仕入
・肥料・燃料など:110万円(消費税10万円)

小売・飲食店の経費
・輸送・光熱・設備など:110万円(消費税10万円)

農家の出荷価格
・非課税:210万円(仕入税10万円を価格転嫁)
・免税(0%):200万円(転嫁なし)

販売価格
・小売の販売価格:330万円(非課税 or 0%)
・飲食店の販売価格(税込):330万円
 → 税抜売上:300万円
 → 預かり消費税:30万円

※農家は同じ90万円の利益を確保するように設定、経費は小売・飲食店共通
※農家は肥料や燃料などに消費税10万円を支払っているため、この金額が非課税か免税かで、後の小売・飲食店の利益や消費者価格に大きく影響します。


それでは、各ケースについてシミュレーションしていきます。


① 農家 → 小売 → 消費者

A. 非課税の場合

【取引時】
・農家 → 小売:210万円(非課税)
・小売 → 消費者:330万円(非課税)

【申告後】
・農家:
 仕入消費税10万円 → 控除不可

・小売:
 経費消費税10万円 → 控除不可
 預かり消費税なし

【最終損益】
・農家:
 210 − 110 = 100
 → 税10万円が原価化
 → 実質利益:90万円

・小売:
 330 − 210 − 110 = 10
 → 経費税10万円が原価化
 → 最終利益:0万円

B. 免税(0%課税)の場合

【取引時】
・農家 → 小売:200万円(0%)
・小売 → 消費者:330万円(0%)

【申告後】
・農家:
 仕入消費税10万円 → 還付

・小売:
 経費消費税10万円 → 還付

【最終損益】
・農家:
 200 − 110 = 90
 → 実質利益:90万円

・小売:
 330 − 200 − 110 = 20
 → 最終利益:20万円

② 農家 → 飲食店 → 消費者

A. 非課税の場合

【取引時】
・農家 → 飲食店:210万円(非課税)
・飲食店 → 消費者:330万円(税込)

【申告後】
・農家:
 仕入消費税10万円 → 控除不可

・飲食店:
 預かり消費税:30万円
 支払消費税:10万円
 → 納税:20万円

【最終損益(飲食店)】
税抜売上:300
− 仕入:210
− 経費:110
= −20

さらに
− 納税:20

最終利益:▲40万円

B. 免税(0%課税)の場合

【取引時】
・農家 → 飲食店:200万円(0%)
・飲食店 → 消費者:330万円(税込)

【申告後】
・農家:
 仕入消費税10万円 → 還付

・飲食店:
 預かり消費税:30万円
 支払消費税:10万円
 → 納税:20万円

【最終損益(飲食店)】
税抜売上:300
− 仕入:200
− 経費:110
= −10

さらに
− 納税:20

最終利益:▲30万円


比較

まず、利益額を単純に比べると下記になります。

農家
・非課税:90万円
・0%  :90万円(※価格転嫁で相殺)
小売
・非課税:0万円
・0%  :20万円
飲食店
・非課税:▲40万円
・0%  :▲30万円

やはり、飲食店が厳しいことがわかります。
実際には赤字になることがわかっていて事業をする人はいないので、結果的には消費者に届く価格に反映されることになります。

また、同じものを商品として提供する場合、単純化のために共通とした経費は飲食店の方がかかるのは考えられるので、もっと厳しいことになる。

全体的な利益を考えると、免税取引にすべきというのはわかる。
つまり、免税取引ですと即答できなかった方は本気で考えていたのか?という疑問は持たれるべきだろう。

中道改革連合の野田共同代表が1日で非課税から免税に変わってしまった時は流石に笑ってしまった。

さらに、免税取引にした場合の問題もある。

まず1つ目は、還付を受けるまでの間に運転資金がショートする可能性があるということである。

また2つ目は、農家が還付を受ける前提で販売価格を設定してくれるかどうかという点である。
例えば、農家→飲食店→消費者(免税取引)の場合で、
農家がインボイスや還付の請求などの煩わしさや運転資金の確保のために、仕入れ金額の消費税を価格転嫁した場合、

【取引時】
・農家 → 飲食店:210万円(0%)
(※ 農家が仕入消費税10万円分を価格転嫁)
・飲食店 → 消費者:330万円(税込)

【申告後】
・農家:
 仕入消費税:10万円 → 還付:10万円
(※ 価格転嫁しても、0%課税なので還付は受けことができる)
(※ これを請求するかしないかは農家の自由)

・飲食店:
 預かり消費税:30万円
 支払消費税:10万円
 → 納税:20万円

【最終損益(飲食店)】
税抜売上:300
− 仕入:210
− 経費:110
−20
さらに
− 納税:20

最終利益:▲40万円

のようになり、赤字額は30万円から40万円に拡大する。
これは、農家の実情を考えたら、十分考えられる対応だとも思われる。


まとめ


今回の議論は、個人的には必要なものだったと思います。消費税0%を実現するなら、非課税にするか免税にするかで、事業者や経済に与える影響はかなり変わってきます。だからこそ、党首として正しく理解しておくことは大事ですよね。

ただ、他の党首は理解が追いついていなかったのか、それほど真剣に考えていなかったのか、議論の本質から少し外れてしまう場面も目立ちました。

そんな中で玉木代表は、この複雑なテーマを取り上げることで自分の見識と、他党首の本気度の差を見せることはできたと思います。ただ、国民民主党の中心政策は消費税ではないので、2回目以降は「議論に引きずられるより、自分の政策を言ってくれ」と思ったことも事実です。

結局、この議論は必要だったけれど、政治的な立ち回りやタイミング次第では、せっかくの政策アピールの機会が逃げてしまうこともある、そんな例になったと思います。

あと、国民民主党に好意的でない人にはあまり響かなかったかもしれません。僕も今回の整理でやっと理解できたという感覚であるので、あの番組を見ていた人の中で完全な理解ができた人は、いなかったんじゃないかと思う。

それでも、選挙戦に入って各党首がこの政策の話をトーンダウンさせたのは、何か考えるところがあったのだろうな、と想像しています。






また、解散総選挙があるということで僕が各政党に対して最近考えたことと他に気になった記事をまとめてます。


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