『セタプクサ号』で行く二風谷コタンの旅2025.8(2日目・サイクリングとヤントの夜)

14時過ぎ。
『セタプクサ号』を見送ったあと。
コタンの外れに、『沙流川歴史館』という施設があり、ここでは無料でレンタサイクルを貸してくれる。
ついでに荷物も預かってもらおう、と、図々しいお願いをしたら、快く了承してくださった。
ありがとうございます!

ついでといっちゃあアレだが、沙流川歴史館も見て行こうっと。

ぐるっと歴史館を見た後、ママチャリを借り、二風谷コタン周辺、沙流川付近をサイクリングすることにした。

「んじゃあ、沙流川沿いにサイクリングして、二風谷ダムの方まで行ってみましょう!」
と、意気揚々と自転車を漕ぎ出す、山猫少尉。
よーし、行くぞーー!

遊歩道沿いに進んでみると、行き止まりの表示が。
どうやら、川沿いの見晴らしの良さげなエリアは、現在護岸工事中で、入れないみたいだ。
「むむ、よーし、しゃーない。迂回だ!」
山猫少尉の自転車は、くるりと回頭。
私もあわててそれに続いて走る。

林の道をシャーっとサイクリングしてると、道沿いの木の柵の向こうで、お馬さんたちが、のんびりと草を食べている。

おおー!馬や。北海道やなあー。
そうか、ここも日高地方やもんね。
馬、近くにこんかなー、と自転車止めて、おいでおいでをしてみる。
馬たちは、コッチをじっと見てくれたが、ちっとも近寄ってきてくれなかった。残念。

林の道を抜けると、沙流川がよく見える。
おー、あれが『二風谷ダム』やな!


先に進んで橋を渡ろうとしたら、ここも行き止まりになっていた。
これも、護岸工事に関係してるのか。
「ああん、これじゃあ二風谷ダムへの楽しいサイクリングは諦めるしかないですねー。逆方向に転進だ!」
と、山猫少尉が言うので、元来た道を戻ることにした。

途中で、旧マンロー邸を通り過ぎて。
国道の向こう、山手の方に、『映画ゴールデンカムイ』のロケした場所があると聞き、自転車でうろうろ探索してみる。
でも、自転車で行けるような道は全然ないし、探すあてもないので、いったんコタンに戻り『北の工房つとむ』に入店。
名物店主・貝澤徹さんが、近所の方々と談笑しながら、立派なフクロウの彫刻を彫っておられた。
それとなく映画のロケ地を聞いてみるが、なんの情報も得られず。
うーむ・・・。ロケ地探索は諦めるしかなさそうだなー。
いったん、今夜の宿『ヤント』に、チェックインしに行こう。

チェックイン開始時刻の15時になるまで、あと5分ほど。
自転車をその辺に置いて、と。
待ってる間、切り株に腰を落ち着けて、向こうに歩いて行った猫の観察をする。
山猫少尉は、宿の裏手にある林へと、ロケ地探索に出かけていった。

ヤントでチェックインを済ませ、また自転車に乗って沙流川の方へ降りて行ってみた。
しかし、川沿いに進めるような道は、見当たらず。

自転車を降りて、土手から沙流川付近ををぼーっと見ている。

こうして改めて見ると、とんでもない秘境に来てるんやな、と思う。
対岸には、人家もなーんも見えない。
山と川と森だけが、一面に続いている。

たぶん、あの川向こうの山奥には、普通にクマの親子がルンルン♪と歩いてるんだろう。
サイクリングの目的地がなくなり、コタン内を放浪する。
『イオル文化交流センター』に入り込んでみたり、二風谷コタン手前にある小さな商店で、今晩のお酒とお菓子を買い込んだり。
「あ、いいこと思いついた!今夜の夕飯として、平取ハムを買いに行こう!」
と、急に思いついた山猫少尉は、迷うことなく、自転車をギャンギャン漕ぎはじめた。
ええーっ!?
この借りてる自転車、沙流川歴史館に16時30分までに返さないといかんねんで?
今、16時過ぎやで?どう考えても、間に合わないんやないの?
「急げば間に合う!それ、行くぞーー!」
と、自転車を加速する山猫少尉。

私は、さっき買った水やお茶、お酒などを全部担いでるので、荷物重たいし、運動不足の太羊だもんだから、そんなにスピード出るわけがなく、みるみる差をつけられる。
待ってくれい!
ねえ!?ねえってば!!
10分後。
どんどん遠ざかっていく山猫少尉を追うのを諦めて、ヒーヒー言いながらチャリを漕いでいたらば。
二風谷ダムの交差点辺りで、先行しまくっていた山猫少尉が、自転車を停めている。
あの辺に、平取ハムの販売店があるんだろう。
どんくさい私を待ってくれてるとは、なかなか優しいなあ。

弱虫ペダルの手嶋キャプテンかよ!
「・・・今、スマホで確認したら、道間違えてた!『びらとりハム』とは逆方向に激走してしまってた、ニャハハ!」
と、笑ってごまかし、クルリと元来た道を走り出す、山猫少尉。
コラーーー💢!!
手嶋ッ!おんどりゃーー!!
ハム屋への道を、逆走していたことが判明し、引き返してみたものの、自転車を返す時間(16時30分)になったので、沙流川歴史館に自転車返して。
預けてた荷物も受け取った。
キャリーケースをゴロゴロ引いて、夕方の二風谷コタンを歩く。
重いよう。早く今夜の宿『ヤント』に戻ろうよお。
さっきの無駄な往復のサイクリングで、身も心も疲れ果てたよお。
「ふーん(聞いてない)。・・・そうだ!良いこと思いついた!このまま歩いて平取ハムに行きましょ!ついでやし、どうせすぐそこやもん!(根拠なし)」

と、また思いつきで、ハム屋にめがけて国道沿いを歩き出す、山猫少尉。
ウソやろ?こんな重たい荷物持って、今からハム買いに行くん?一回、宿に荷物置いてからでええやん!
ねえ!?ねえってば!
「いーや、一回宿に戻ったら、もう外出したないもん。ついでや、ついで!」
地平線まで続いてるかのような、まーっすぐな車道脇の歩道を、ハム屋に向かって、ごろごろとキャリーケースを引いて歩いて行く、山猫少尉と羊好大尉。
横を通り過ぎていくドライバーさんたちから見れば、さぞかし異様な光景だったに違いない。
あの人たち、こんな夕方に、歩いて荷物引いて、いったいどこに向かってるの・・・???と。

『びらとりハム』に到着した。
やっと着いたあ。し、しんどーー。

キャリーケースとかの重たい荷物は、その辺の道に置いておく。
どーせ、誰も通りかからんような山の中やし。
「すいませーん!夕飯にハム食べたいんですけど、なにがええですか?」
と、店のひとと山猫少尉がやりとりしてるのをよそに、さっき注文して出てきたソフトクリームを、ペロペロ食べる私。
もう、ここにたどり着くまでに、全ての体力気力も使い果たしたので、疲れますた。
あー、ソフトクリームが美味い・・・疲れ切った身体に、アイスがしみるぜ。

お買い物を済ませた山猫少尉は、トマトのミックスソフトを食べていた。
平取町の名物、『びらとりトマト』をソフトクリームにしてるのだとか。
はー、珍し。
それじゃ、また歩いて二風谷コタン方面に戻ろうか。あー、重たい・・・。

今夜のお宿、『ゲストハウス二風谷ヤント』は、男女別、相部屋式(ドミトリー)の宿。

共用のキッチンと、共用リビング、共用シャワールームとトイレが備わっている。

この日は、男子4人部屋には、私ともう1人の大学生。
女子部屋も、山猫少尉ともう1人が、宿泊していたみたい。
貸切部屋は、外国人家族が宿泊していたもよう。
17時過ぎにヤントに戻り、荷物を置いてすぐにシャワーで汗を流した後、小1時間ほどぶっ倒れるように仮眠した。
疲れてたのだ。
19時頃。
ムクリと起きだし、共用リビングのソファに座り込んで、冷たいお茶を飲んでたら、山猫少尉が、キッチンでソーセージを焼き出した。

「さっきの、平取ハムで買ってきたソーセージですよー。美味しそう!」
おお、良いにおいがしてくるねえ。

冷蔵庫で冷やしておいた、ビールとレモンサワーを出してきて、商店で買ったポテチ、イカぴー等を皿にあけて。
『ご自由にどうぞ』と書いてあった共有リビングの箱から、どん兵衛カレーうどんをいただき、お湯を注いで5分。
「今日はお疲れさまでしたー!かんぱいー!」
と、山猫少尉と共用リビングに座り込んで、酒を飲む。
アテをつまんで、ソーセージをつっつく。
これが、今晩の夕食だ。
ソーセージ、うまっ!
サイコーかよ!
酒を飲みながら、山猫少尉とだらだら雑談してたら、共有リビングにいた札幌在住の大学生が話に加わって、3人で楽しくあれこれ話する。

『びらとり温泉ゆから』と、二風谷コタンを結ぶ経路は、この辺のクマの徘徊ルートなのだと、大学生は話してくれた。

さっき我々が歩いてた、『びらとりハム』の、もうちょっと行ったすぐそこやないか。その先も、夕方〜夜に歩く予定もあった。
知らないって恐ろしいのう。
札幌の大学生くんから、白菜の浅漬けをわけてもらい、飲みながらいろんな話をする。
就職は決まってるけど、日本のどこに勤務になるのか決まってないとか。
ゴールデンカムイは、前半部分で読むのを挫折したのだとか。
私の、京都のみやこびとの底意地の悪さの話とか、仕事のしょーもない話も、笑いながら聞いてくれたり。

感じの良い、大学生だったなー。
こうやって、旅先で出会った人たちと、話したり笑ったりする。
これが、ドミトリー式ホステルの楽しみ方らしい。
なかなかホッコリして、良かったですよ!

21時頃に、山猫少尉と夜のお散歩にでかけてみる。
ヤントの玄関を一歩でたら、外はマジの真っ暗闇。
スマホの電灯モードで足元を照らしながら、恐る恐る歩く。
街灯を目当てに、コタンの方に歩いていく。

なにげに見上げてみれば、満天の星空がすごい。
わああーーー。

そのまま、道に出て、二風谷コタンの中心部に夜散歩する。

二風谷コタンでは、明後日に開催される『チプサンケ』祭りと、その前夜祭の準備で、夜もなんやかやと作業してるみたい。

そんな中、星空が1番見える場所はどこかと、コタン内をうろうろする、羊好大尉と山猫少尉。(怪しい)
入り口に近いベンチが良いかと、2人して仰向けに寝っ転がり、星空を眺めている。
改めて、満天の星空を見ていると、吸い込まれていきそうだ。
うあーー。(放心)
黙って、夜空を見続ける。
そんな、旅の1日の終わりなのでした。
【つづく】
