母になるまでの選択④ | 体外受精の選択
体外受精で産まれる子どもは、年々増えていました。
でも当時の私にとっては、それはどこか遠い世界の話でした。人工授精すれば授かれる、そう思っていた私は、自分が体外受精を選ぶ日がくるなんて、想像もしていませんでした。
できるだけ自然な形で授かりたい、そんな気持ちもありました。先生はその気持ちを尊重してくれ、自然周期での採卵を勧めてくれました。
採卵は、人工授精より圧倒的に準備も時間もかかりました。痛みもありました。だから、痛みが引くまで安静にして、それから結果をききました。
「卵は確認できませんでした。空砲でした。」採卵はしたものの、卵子が入っていなかったのです。
事前にその可能性があることも、採卵できなかった場合は人工授精を行うことも説明を受けていました。でも私は、人工授精を受けている間、泣くことを我慢するので精一杯でした。
2つめの「✕」をもらった気持ちになっていました。その日はもう何も考えないようにしました。
そこから数日は、仕事のことで頭をいっぱいにしました。そうしたら、一週間くらいたったある日、ふと「たった一度の空砲で諦めるのは、まだ早いのかもしれない」と思うようになりました。治療を通じて「時間が薬になる」感覚を何度も経験しました。
生理がきたタイミングで、クリニックを受診しました。先生と相談し、次も空砲で終わってしまう可能性を少しでも減らすため、排卵誘発剤を使う方法を選ぶことにしました。できるだけ自然に、という気持ちが変わったわけではありませんでした。でも、もう一度「✕」をもらった気持ちになることが、怖かったのです。
高刺激法での採卵は、治療のすべての過程の中で一番大変だったと今でも思います。決まった時間に自己注射をする、決まった日時に通院する。なるべく激しい運動はしない。少しですが、食事制限もありました。注射の影響で頭痛や吐き気がして、採卵が近くなると、早く終わってほしい、と思いました。
そうして迎えた採卵当日。9つの卵子がとれました。
嬉しかったのは間違いありません。でも中間試験を一つクリアしたような、不思議な気持ちになったことを今でも覚えています。
