【三題噺】料理教室にて
「いやー、外から来たからさ、ウチのやつ、郷土料理も作れないんだよ」
お酒の席だからって言い訳、ないからな。
私は死ぬまで覚えてるぞ。
夫に“謙遜のネタ”にされたのが悔しくて、地元の料理を教える料理教室へと行くことにした。
いつもゴミ当番の時におしゃべりしてくるおばさま、笹原さんからの勧誘でもあった。
私はお試しで、普通の住宅で教えているその料理教室へと足を踏み入れた……
「さ〜ぁ今日は、竹コースの料理を作りますね〜ぇ♪」
割烹着を着た“ザ・料理教室の先生”が普通の家庭の台所にいる。
そして、“竹コース”とは???
「あの……」
隣にいる笹原さんに聞くと、どうもひとつの食材、牛肉ならば、松竹梅で肉のランクや部位を決めて料理を作るらしい。
肉のランクによって料理が変わるのは確かに分かるし、お客さんが来た時の“家庭料理”も覚えていて損はない。
納得しながら、私はこの料理教室に通おうかと思っていた。
「さ〜ぁ、お料理も出来たし、皆さんで頂きましょうね〜ぇ♪」
先生が楽しそうに宣言すると、生徒のおばさま方から一斉に拍手と歓声が上がった。
「ショウちゃーん💕」
と叫んでいる人もいる。
………なに?
「あら高野さん、早いわよ。でもその気持ちもわかるわ〜ぁ♪さて、では呼びましょうかね〜ぇ♪せーのっ」
「「「ショウちゃーん」」」
私以外の料理教室全体から謎の呼び込みコールが起こった。
と、玄関側の台所のドアから1人のおじさん……おじいさん……おじさん?が入ってきた。
おでこが大分広い髪の毛を後ろに撫でつけた髪型、光沢のある青色の胸ボタンが下がっているシャツに、白のパンツ。
手にはハーモニカ。
呆気に取られている私を置いて、料理教室で作った料理を食べながらのおじさんのハーモニカワンマンライブが始まった。
《今週の三題噺》
1.ハーモニカ
2.料理教室
3.松竹梅
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