ウチとソトとを分ける場所
「行くぞー」
と、父親から声がかかる。
自分が出勤するから、玄関までお見送りに来い(来て欲しい)という意味だ。
命令的ではなく、ちょっとふざけた様な、子供のような言い方。
寂しいのだ。
私と妹が玄関へ向かって「いってらっしゃい」と送り出す。
大学生になって、休日バイトへ向かう時は必ず父親が送り出してくれた。
たまに、調理中でお玉を持ったまま玄関に来たりする(笑)
実家の玄関は引き違い戸2枚分のスペースそのまましかないのに、靴箱も置いているから大人1人分しか通れない。
そして玄関の真横が台所だ。
その為母親は、声を出して見送ってくれる。
そんな実家だった。
生まれた子供が大きくなるにつれ、実家での習慣を思い出してお見送りをしたくなった。
朝、慌ただしく迎える「行ってきます」の時間。
どんなに忙しくても、必ず玄関まで行ってお見送りをする。
初めは高校生のお姉ちゃん。
末っ子くんとパパは日によって順番が違う。
「いってらっしゃ〜い。気ぃつけや」
「忘れもんないな?いってらっしゃい。車に気ぃつけて」
パジャマ姿でも、顔を洗ってなくても、玄関までついて行って、お見送りをする。
玄関の目の前は結構な交通量の道路で、通学の自転車も通るのだけれど気にしない。
そもそも向こうは一瞬しか通らないもの。
最初は、私だけがお見送りしていた。
いつからか、パパも一緒に玄関まで来て陰からこっそりと「いってらっしゃい」とお見送り。
けれど実は、中学生の次女には、ここ数年ほぼお見送りをしていない。
理由は単純。学校へ行かないからだ。
もとい、行くときは大体昼から行く。
朝、私が仕事に行くついでに送っていく事も。
車で送って行って、生徒玄関前まで車をつけて。助手席から降りる次女にこう声をかける。
「いってらっしゃいませ、お嬢様」
なんでwと言っていた次女も次第に
「行ってきますわ、お母様」
とノリノリで返してくれる様になっている。
この場合は、車のドアが玄関。
ウチとソトとの。
そう、平日の朝の玄関はウチからソトへとスイッチが変わる場所。
楽しい場所へ向かうお見送りだけではない。
戦場へ行くようなお見送りをすることもある。
そんな時
「いってらっしゃい」
と、願うように送り出す。
この間は夫と険悪な空気の中、玄関までお見送りをした。
「こんな時でもしてくれるんだな」
の言葉を聞こえないふりして「いってらっしゃい」と送り出した。
だって、険悪な空気が最後になったら嫌じゃん。
(993文字)
書いてみたくなったんです🤭
本田すのうさん考案・主催のマスクド★note。
第二弾のテーマは「玄関」
そして、私は第二弾の運営のお手伝いをさせて頂きました🎭️✨
マスターとして皆さんの正解発表の記事を巡っている最中ですが、書きたい内に書いておこうと思って😁
いいなと思ったら応援しよう!
サポートして頂いたら、とんでもなく舞い上がります。
「頑張ってるね」の気持ちを素直に嬉しく受け取る体験をしたのはnoteが初めてかもしれません。
あなたのサポートを糧に、他の誰かに「頑張ってるね✨」を届けたい✨
