抜けた前歯と、朝の笑顔
冬のとある朝、まだ眠気の残る僕を呼び起こしたのは、
娘の弾んだ声だった。
「パパ、見て!下の前歯、抜けたよ!」

そこには、ここ一週間ずっとグラグラしていた歯を掌に乗せて、
誇らしげに笑う娘の姿があった。
ようやく抜けたか、という安堵と、
小さな成長への喜びが僕の胸を包み込む。今までは前歯が気になって、
大好きな食べ物も思い切り噛むことができず、
どこか不自由そうに食べていたから。
「これでやっと、しっかり食べられるなぁ」
そう微笑みながらも、僕の脳裏には「最初の1本目」の壮絶な記憶がよぎっていた。
あの時は、本当に大変だった・・・💦
なかなか抜けない歯を気にして、ご飯が思うように食べられないストレスからか、娘のわがままは爆発。 泣くわ、わめくわ……😰
挙句の果てには「学校に行きたくない!」と言い出す始末。
(また出た、いつもの病気だ……)と苦笑いしつつも、
結局あの時は葛藤の末に学校を休ませることにした。親として、甘やかしすぎだろうか、これでいいのだろうかと悩み抜いた選択だった。
けれど、今回の娘は違った。
痛さや不自由さを抱えながらも、静かにその時を待つことができたのだ!

手のひらの上の小さな白い歯と、抜けた跡の可愛らしい隙間。
それは、彼女がただ大きくなっただけでなく、自分の体と向き合い、
心の波を乗り越えた証拠。
鏡を見てニヤリと笑う彼女の顔は、
あの日泣きじゃくっていた時よりも、ずっと頼もしく見えた。
子供の成長というのは、こうしてある日突然、目に見える形で「朝」と一緒にやってくる。 かつての苦労さえも、今の喜びを深めるためのスパイスだったのかもしれない。
そんな日々の変化の積み重ねが、僕にはたまらなく愛おしいと感じる。
