DAY146|心配性と、開き直りのあいだで


toi o matou|問いをまとう
販売は、感性を届ける表現行為。
揺らぎを手渡す毎日の記録。

「開き直るか、心配しているか」


その言葉が、今日はずっと頭の中に残っている。


糸井重里さんと宮沢りえさんの対談動画。
宮沢さんが50代を迎えた節目に語られた言葉と、
それに対して糸井さんが投げかけた、
とてもシンプルで、しかし鋭い問い。


人は、
だいたいこの二つのあいだを
行ったり来たりして生きている。


心配して、
考えて、
不安になって、
それでもどうにもならないことにぶつかる。


その先で、
「もう、しょうがない」と
開き直れるかどうか。


あるいは、
開き直った“つもり”で、
まだどこかで心配している自分がいるのか。


今の自分は、
まさにその狭間にいる。


たとえば、
立ち上がりに間に合わない商品がある、という事実。


理由はわかる。
生産現場の事情がある。
人手も、時間も、コストも、
すべてがギリギリの中で回っている。


きっと現場は大変だろう。と
そう想像することは、
もう習慣のようになっている。


でも、
それをいくら考えても、
自分が前に進めるわけじゃない。


「いま自分で考えて、前に進めないことを
 思ってもしょうがない」


この言葉は、
慰めでも、諦めでもない。


“立ち止まらないための整理”
そんなふうに聞こえた。

川久保さんが語った、

「ブラックホール」という言葉。

26~27年秋冬パリ・メンズファッションウィークで「コムデギャルソン・オムプリュス」のショーを終えた川久保さんが、ショールームで今回のコレクションの背景、現代の物作りについて語った。


社会のことが気になって、
気持ちが暗くなる。
自分には何もできない、
そう感じて落ち込む。


それでも、
作り続ける。



休んだらできない。
ビジネスがある。
作ることと、続けること。
その両立の中で、
バランスを取り続ける。

今回のコレクションについて、暗いイメージになるのかと心配したけれど黒にしました。歳を取ったせいか、社会のことが気になって気持ちが暗くなります。真っ黒なところに落ち込んでしまったイメージがあったので、「ブラックホール」をテーマにしました。何とかそこから抜け出したい気持ちです。アメリカの様子もそうだし、自分のこともあったので黒になりました。自分には何もできない。そう感じて落ち込みます。              

ーーフィナーレを白にしたのは希望ですか。            せめてそうしていかないとと思いました。自分に向かっての気持ちでもあります。生きているとそんなに素晴らしいこともないのかもしれない。ここのところ、明るいことをお話しできない状況にありました。ただ、作り続けることだけが取り柄です。休んだらできないし、ビジネスがあるから。作ることだけじゃないです。「コムデギャルソンシャツ」も黒ばかりでした。黒だらけだけれど、黒が2、3周続くこともない。また違う色になります。そういうテンションを自分で自分に作らないとと自分に鞭(むち)を打っています。黒も自分に鞭を打つことの一つです。
日本の若い方も頑張っていますが、ビジネスと作ることを上手にコントロールできる方は少ないですよね。作ることとビジネスはバランスなんです。コレクションでさえ、バランスをとって作っています。普段から店の状況を見て、コンタクトをとって一緒に悩みます。私の場合、いつも店とともにある。そうしないとバランスが分からない。いくら新しい物を作ってもビジネスができないといけない。

ーーコムデギャルソンも高くなりました。         生地も工賃も 20%近く上がっている状況です。全部ぎりぎりで作っています。いろんなことが回り始めたら、少しは良くなるのかもしれません。(価格を決める上で) コムデギャルソンのブランド力を計算していないです。生地、工賃を積み上げて、工場さんときれいに付き合っています。原価率10%なんかでできないです。その代わり、工場さんと誠実に付き合っていれば、いざという時に何とかやってくれます。
以前、名前のある方と一緒に限定商品を作った時に、自分の名前が入れば価格が高くなって当然だという考え方でした。そういうこともあって結局、その商品は発売するのをやめました。真面目過ぎてもだめですけれど。                                
一一日本の物作りを支えている人たちもいます。
今回、マスクは村上伸さんに作っていただきました。(帽子の) 日爪ノブキさん、(靴の)山本真太郎さんもそうですが、一緒に仕事をすると新鮮です。いつも一人で作るけれど、こういう時はやり取りの投げかけをしますから。

黒が続いても、

永遠には続かない。
また、違う色になる。



その言葉は、
強がりではなく、
現実を知っている人の言葉だった。



作ることと、
売ること。
理想と、現実。
情熱と、計算。



どちらかに寄りすぎたら、
続かない。



「真面目すぎても、だめ」



この一文にも、
長い時間の重みが滲んでいる。



誠実であること。
でも、潔癖になりすぎないこと。


工場と、
人と、
ちゃんと向き合い続けること。



その積み重ねが、
いざという時に
助け合える関係をつくる。



心配してもいい。
考えてもいい。


でも、
最後は「作り続ける」しかない。



不安が消えたから動くのではなく、
不安を抱えたままでも
手を止めない。



それは、
開き直りというより、
覚悟に近い。



今日の自分は、
心配性のままだ。



でも同時に、
少しずつ、
開き直る準備もしている。



全部をコントロールできなくてもいい。
全部をわかろうとしなくてもいい。



それでも、
店に立ち、
服に触れ、
人と話し、
考え続ける。


今日の問い。


「自分はいま、
 心配しているのか。
 それとも、
 覚悟して進もうとしているのか。」



答えは、
きっとどちらでもある。



その揺れごと抱えて、
また明日も
店に立ち続ける。

今朝のトレーニング🏋️ソング🎧

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