#19 「小泉セツの生涯」
【内容】
怪談話「耳なし芳一」や「雪女」の著者、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)。それらの物語の原案は、妻である小泉セツの語りによるものだった。本書では、そんなセツの生涯についてまとめた。
急速な西洋化が進む明治時代の日本で、2人がいかにして出会い、結婚し、物語を生み出すまでになったのか。それぞれの幼少期や青年期はどんなものだったのか。セツが語る物語や怪談のルーツはどこなのか。
朝の連続テレビ小説『ばけばけ』の主人公モデルにもなった、セツの生涯を丁寧に描く。
序章:セツとハーンが生きた明治という時代と近代化
1章:小泉セツの幼少からハーンとの出会い
2章:ラフカディオ・ハーンの幼少からセツとの出会い
3章:セツが話す不思議な物語とハーンが愛した風
4章:世界で一番良きママさん
5章:夢の国へ旅立つハーンの見送りとその後
****************
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)
日本に帰化した「怪談」を書いた人
そこまでの知識しかなかったので、セツさんという奥様がいて、4人のお子さんがいて、東京帝国大学に勤めた、などなど、新しく知ることばかり。
(因みに、ハーンの後任は夏目漱石です)
そして、セツさんが武家の娘で、ハーンさんのパートナーであると共に、アシスタントでもあり、気難しく繊細なハーンさんの最良の理解者としていつも側で支えていたことを知ると、彼の著作は奥様との「共著」でもあると言えそうだ。
幕末から明治へと時代が急変する中で、急速に近代国家を目指し突き進む日本の変化に失望するハーンさんを、元気付け、守り、育てようと奔走するセツさんの直向きさ。
自己犠牲を厭わず、真っ直ぐに生きるセツさんの姿に「日本」をみたハーンさん…生涯、セツさんを「小さいママさん」「最高のママさん」と熱愛する。
(セツさんは決して小さいわけではありません。長年の機織りで筋肉がついた、がっしりした体型に太く逞しい指をしています。荒れた手を恥ずかしく思っていたセツさんですが、ハーンさんはその手を「正直者の、働き者の手」と、褒めるのです。そのことをセツさんは生涯、自慢したそうです。)


ハーンさんの写真は全て横顔。
事故で怪我をし失明した傷のある方の目を隠すためだとか。でも、どの写真にも家族愛が溢れます。
****************
自分の好きなこと、興味のあることを突き詰めて、没頭して生きることの、濃度に感動しました。
今は情報が多すぎて、逆に、何がしたいのか、何に興味があるのか、わからなくなっているのかもしれません。
彼のようにはっきりとした「好き」と「嫌い」をもっているのは、生きづらいけれど幸せな人生だと思います。
その生きづらさを思いやり、傷つかないように守り、育んだセツさんという存在が無ければ、もしかしたら小泉八雲という日本人は居なかったとも言えます。
彼の怪談には、情念が溢れています。
それがなぜなのか、、、この本を読むと背景がわかって、より八雲の物語りを読んでみたいと思うようになりました。
2人の夫婦愛、家族愛が素敵です。
13年と少しの結婚生活だったそうですが、4人のお子さんに恵まれて、子供さんに、セツさんに、仕事に…何より「不思議で怖いおはなし」に…沢山の愛を注ぐ、ラフカディオ・ハーンの生涯が光って見えました。
セツさんの逞しく、優しい生涯を通して、ハーンの人生や人柄が伝わる、少し元気を頂ける素敵な本でした。

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?

