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Warning: 「猫は知っていた」。真実がシステムに届くまでのラグを消す

FactSort Lab. | System Architect です。

トラブルの渦中にいるときに苦しいのは、出来事そのものはもちろん、「分かってもらえない時間」が続くことです。
体は痛い、心は削れる、生活も崩れる、なのに窓口や相手は平然とこう言ってきやがります。
「気のせいでは?」「偶然でしょう」「因果関係が分かりません」「同意があったのでは?」。はぁっ?!と思って当然です。
…ここで人は二度目のダメージを受けることになります。
「被害」そのものとは別に、「現実が現実として扱われない」という種類の新たな痛みが乗ってくるのです。

この噛み合わなさは、繰り返しですが、相手の人格の問題というより仕様の問題です。
冷たい話に聞こえるかもしれませんが、仕様だと分かると、少しだけ手が打てるかもしれません。


1. レシートを捨てた瞬間に返品したくなる、あの現象

人間の生活には、妙に意地悪なイベントが埋め込まれています(マーフィーの法則的な)。
代表例が「レシートを捨てた瞬間に限って、買った物が不良に気づく」というやつです。
箱も捨てた。タグも捨てちゃった。
店員さんに説明するときだけ、記憶が曖昧になる。
店側は悪びれずに「レシートはありますか」と聞いてくる。わかってるくせに。

あなたは、たぶん正しいことを言います。

「買いました。確かに買いました。昨日ここで買いました」。
でも、店のシステムはこう返します。
 「証明できますか」
すると、あなたの“確かにあった”が弱くなってしまい、あなたの現実が薄くなってしまう。
薄くなるというより、これは「処理対象にならない」のです。

この感じ、どこかで見たことがあると思います。
そうです。トラブル相談の入口と同じです。

「被害を受けました」「辛いです」「耐えてきました」。
全部本当でも、受付側はだいたい「いつですか」「どこですか」「何がありましたか」「それは何で確認できますか」と聞いてきます。不躾に。
店員さんが「レシートは?」と言うのと、構造は同じ。
あなたの現実が足りないのではなく、システムが読める形式になっていない。
これが“認定までのラグ”の正体です。


2. パスワードを忘れた瞬間、人間はなぜか100%の確信をもっていたとしても間違えてしまう

もう一つ、嫌な例があります。パスワードです。

人間は、パスワードを忘れた瞬間、自分の記憶に絶対の信頼を置きます。
「これだ。間違いない」、そして入力する。
弾かれる。
もう一回入力する。
弾かれる。
三回目も弾かれてアカウントが凍る。
ここで初めて気づくのです。「自分の確信は、証拠にならないんだな」と。

そう、システムは、あなたの確信を読んでくれないのです。
読まないのではなく、読めない。
読むと壊れるからです(ここは大切ですよ!)。

「本人は確信している」という情報は、人間関係では重要です。
でもコンピュータはそれでログインさせるようなことをしていると破綻してしまいます。
だから、そんなことは捨て去って、ハッシュと一致したときだけ通す。

冷たいけど堅牢。
司法・行政の入口も、だいたい同じ思想で動いています。
あなたの“強い確信”は、入力としては弱い(というより読み込む気がない)。
設計の問題なのです。


3. それでも人は言う:「明らかでしょう」。そして相手は言う:「再現できますか」

サポートデスクの世界も同じ。

スマホがフリーズする、アプリが落ちる、Wi-Fiが切れる。
ユーザーは当然イライラして、「ほら、今も落ちた!」といいますが、でもサポートは「再現しますか」「スクショありますか」「ログ取れますか」などと繰り返してきます。

このときユーザーが追加してインプットするのは、怒りなどの感情です。

けれど、サポートが欲しいのは怒りの熱量ではなく、時刻と状況と再現条件なのです。ログがなければ修正できないし、ログがあれば原因に近づける。

司法・行政も、結局はこれに近い。
あなたの話を「聞かない」のではなく、処理するためのログ形式になっていないと「動けない」。
そして、ここで生じるラグが、人をさらに傷つけてしまう。


4. 「猫は知っていた」:原因が分かるまで待っていたら、人間が先に壊れる

水俣病の話をしましょう。

病気が発生した当時、すでに、現地では「猫が狂って死ぬ」という異常が起きていました。何かが起きてるぞ、と。
でも、猫は化学式を知りません。
因果関係の説明もできません。

猫じゃなくたって、人間だって原因は正確にわからなくても、体調や生活が崩れていく。
なにかがあるはず、川の水がおかしいのでは?そう思って当然です。
ところがシステム(国や排出企業)は、こう言うのです。
「原因物質が特定されていない」「メカニズムが証明されていない」「因果関係が分からない」などと。

で、判明するまでの“待ち”が長いとどうなるか。
おそろしい被害が積み上がります。

そして、被害が積み上がった後になって、「あのときのログがあれば…」という話になります。
猫が最初に異常を教えてくれていたのに、ログが整わないまま時間が過ぎた結果、真実が認定に追いつくまでの距離がどんどん伸びるのです(なんと、水俣病の事例では12年も!!)。

現代の日常に置き換えてみるとどうでしょう?

  • 上司の言い方が毎回きつくて、帰宅後に胃が痛くなる

  • 配偶者の行動が不安定で、睡眠が壊れる

  • 学校のことを聞くと子が固まり、家の空気が毎日悪くなる

  • 周囲は「気にしすぎ」と言い、当事者は「気にしてないとやっていけない」と思う

あなたの中の“猫”は知っています。もう傷が表面にまで出ている。
でもシステムは「認定できる形で出して」と言う。ここがラグ発生の源です。


5. じゃあ何をすればいいか:大げさに言うと「個人の疫学調査」、要するに「観測ログ」

解決策は派手ではありません。
いつも地味です。

「A(出来事)」と「B(反応)」を、時系列で並べる。
立派な文章にする必要はありません。あくまで必要なのは、タイムスタンプと観測です。

たとえば、こんな粒度で十分です。

  • 1/12 21:40 上司からチャット「今すぐ返せ」→ 動悸、就寝できず

  • 1/14 07:10 配偶者が無断で外泊 → 食欲低下、仕事に遅刻

  • 1/18 16:05 会議で名指しで叱責 → 胃痛、帰宅後に服薬

  • 1/20 23:30 非通知着信が連続 → 不安で外出できず

  • 1/23 08:15 「昨日の件、誰にも言うな」→ 体が重く、出社できず

「原因となる理屈」や「相手の意図」をがんばって書く必要はありません。もちろん、書きたければ書いてもいいですが、何より必要なのは観測とログ付けです。

今やるべきことは「論破」ではなく「計測」です。
計測できていれば、あとから線(推論)を引くことができます。
一方で、計測とログ付けができていないと、真実でも“気のせい”なんて言葉に吸収されてしまいます。

この作業がつらいのは分かります。
だって、ログを取るという行為は、起きたことをもう一回触りにいくことだから。
でも、だからこそ、最低限の形で、機械的にやるのがいい。
感情を削るためではなく、感情を守るために淡々とする。


6. FactSort:観測ログを「システムが読める形式」に変換する、生活用のコンパイラ

ここで FactSort です。
本日公開した FactSort(Beta)は、この「観測ログ」を、後で参照できる形にまとめるためのツールです。
難しい法律用語はまったく不要です(アプリを使っても法律的な解決にはたどりつきません。でも、「大きな声」で助けを呼ぶことができる)。
そして、入力に必要なのは、さっきの四点だけ。

  • いつ(分かる範囲で)

  • どこで(場所でも媒体でも)

  • 何があったか(短く)

  • 何が起きたか(体調・生活の反応でも可)

  • 可能なら、スクショ・メモ・録音など(点)

アプリはそれを決定論的に整形します。

盛りませんし、推測しません。勝手に脚色なんてしたりしません(弁護士や行政官、裁判官と言ったプロフェッショナルどもは”脚色”をなぜか本当に嫌います。本当に、異常なほど嫌います。)。
代わりに、このアプリは、時系列を整え、参照を付け、落ちてしまった事実(孤児)を拾いにいきます。

“上手く語れる人が得するゲーム”を、少しだけ終わらせるための道具になればいいな、と思って開発しています。
現実を正しく言語化できないのは決して能力不足ではなく、渦中で当然に起こってしまう状態なのです。


起動はこちら(Public Beta)

https://factsort.app

レシートを捨てる前に。パスワードを三回間違えて凍る前に。
猫(=あなたの心や体)が先に壊れてしまう前に。
今日の分だけでいいので、観測ログを残してください。
真実がシステムに追いつくまでのラグは、記録で短縮できます。

FactSort Lab. | System Architect

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