『マイムファウスト』の戯曲と読み合わせ音声を公開しました。
『マイムファウスト』では、公演に先立って、戯曲と読み合わせ音声を公開しました。
「ネタバレやん!」
そう思う方もいるかもしれません。
演劇では、事前に何も知らずに劇場へ足を運ぶことも、一つの楽しみ方というのは理解しています。
なので、戯曲を公開したからと言って、「まずは戯曲を読んでから来てください」というつもりはありません。
読まなくてもいいし、読み合わせ音声を聴かなくてもいいです。
でも一方で、「知ってから観る」という楽しみ方もあっていいのではないか。そんなことを考えるようになりました。
旅行だって、ガイドブックを読み込む人もいれば、現地で行き当たりばったりを楽しむ人もいます。
演劇も、もっといろいろな入り口があっていいんじゃないかなー。
そんな思いから、今回の公開を決めました。
今回上演する『ファウスト』は、ゲーテが長いスパンで書き上げた作品です。
一度観ただけで「全部わかった!」と言えるような作品ではないと思いますし、もちろん、全部わかる必要もありません。
でも、あらかじめ物語を知っておくことで、登場人物の表情や、一見何気ないセリフが違って見えることはあると思います。
今回は、「作品と出会う入り口を増やすこと」を大切にしたいと思いました。
この公開には別の願いもあります。
演劇を楽しむために必要なものは、人によって違います。
聴覚に障がいのある方、日本語を母語としない方、早口の会話を聞き取ることが苦手な方。あるいは、初めて演劇を観るので、少し内容を知っておいたほうが安心できるという方もいるかもしれません。
そんな方々にとって、戯曲や読み合わせ音声が、作品へ近づくための一つの入り口になれば、とてもうれしく思います。
本番中の字幕や音声ガイドなど、私たちにまだ実現できていないことはたくさんありますが、「全部できるようになってから始めよう」と考えていたら、いつまでも最初の一歩を踏み出せません。
今できることを、まずやってみる。
それが、今回の公開です。
正直、この取り組みがどのように受け止められるのか、私たちにもまだわかりません。
皆さんの声を聞きながら、この取り組みも少しずつ育てていけたらと思っています。
今回うまくいけば、『マイムファウスト』だけで終わらせるつもりはありません。
これからも、演劇をもっと自由に、もっと身近に楽しめる方法を考えながら、作品をつくっていきたいと思います。


