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笑いの臨界点 #41 休みの日ほど早く目が覚める

休みの日だった。

前の夜から決めていた。

明日は寝る。

誰に宣言したわけでもないが、
自分の中ではかなり強めに決めていた。

目覚ましもかけない。
予定も入れない。
朝の自分に期待しない。

そういう休日である。

なのに。

目が覚めた。

まだ外が少し暗い。

時計を見る。

5時38分。

平日より早い。

なぜだ。

起きなければならない日は、
あんなに布団が離してくれないのに、
起きなくていい日に限って、
体のほうが勝手に開店している。

私は布団の中で、
しばらく天井を見た。

眠い。

眠いのは眠い。

でも、
もう完全な眠りには戻れない感じがする。

まぶたは閉じられる。
体も横になっている。
だが頭のどこかが、
小さく電気をつけてしまった。

若い頃の休日は、
昼近くまで眠れた。

寝すぎて頭が重くなるくらい眠れた。

あれはあれで、
あまり健康的ではなかったのかもしれない。

でも、
寝ようと思えば寝られるという安心感があった。

今は違う。

寝たいのに起きる。

起きたい日は眠い。

体の担当部署が、
こちらの希望をあまり読んでいない。

私はもう一度、
目を閉じた。

鳥の声が聞こえる。

遠くで車が通る音もする。

冷蔵庫が小さく鳴る。

音というのは、
眠ろうとした瞬間だけ妙にはっきりする。

普段は気にもしていないのに、
今だけ全員が自己紹介をしてくる。

鳥です。
車です。
冷蔵庫です。

わかった。

寝かせてくれ。

布団の中で寝返りを打つ。

肩が少し鳴る。

これも参加するのか。

私は小さく笑った。

休みの日の朝に、
自分の関節まで起きてくるとは思わなかった。

もう一度時計を見る。

5時46分。

八分しか経っていない。

八分というのは、
布団の中では長い。

平日の朝なら一瞬で消えるのに、
休日の早朝ではやたら広い。

このまま起きるか。

いや、
起きたら負けだ。

何に負けるのかはわからない。

休日に負けるのか。
加齢に負けるのか。
5時38分の自分に負けるのか。

だが負けた気がする。

私は布団をかぶり直した。

ここから二度寝に入れたら勝ち。

そう思った時点で、
もう眠りから遠ざかっている。

睡眠に勝敗を持ち込むと、
だいたい負ける。

昔は、
眠ることにこんなに作戦を立てなかった。

ただ眠かった。
だから寝た。

今は、
寝る前に水分を考える。
夜中のトイレを考える。
朝の予定を考える。
寝すぎた時の腰の重さまで考える。

寝るだけなのに、
会議が多い。

ロスジェネ脱線学風に言えば、
休むことまで段取りしないと落ち着かない世代なのかもしれない。

いや、
そこまで広げる話でもない。

私はただ、
早く目が覚めただけだ。

結局、
6時を過ぎたところで起きた。

台所で水を飲む。

窓の外は少しずつ明るくなっている。

街はまだ半分寝ている。

その中で、
自分だけが先に起きてしまったような感じがした。

悪くない。

悔しいが、
悪くない。

休みの日に早く起きるなんて、
昔なら損した気分だった。

今も少し損した気分はある。

だが、
朝の静けさを独り占めしているような気もする。

寝る予定だった時間に、
何もしないで座っている。

これはこれで、
休みなのかもしれない。

コーヒーを淹れるほど元気ではない。

テレビをつけるほど起きてもいない。

ただ、
台所の椅子に座って、
水を飲む。

それだけ。

体はまだ少し眠い。

頭もまだ少しぼんやりしている。

でも、
今日が始まってしまったことだけはわかる。

休みの日なのに。

いや、
休みの日だからこそ、
始まり方が少し雑でいいのかもしれない。

予定どおりに寝られなかった。

二度寝にも失敗した。

それでも、
誰にも迷惑はかけていない。

せいぜい、
自分の休日計画が少し崩れただけだ。

私はもう一度時計を見た。

6時17分。

まだ朝は長い。

長すぎるくらい長い。

少しだけ笑った。

若い頃は、
時間が足りなかった。

今は、
早朝だけが勝手に増える。

頼んでいないのに。

でも、
増えたなら増えたで、
使い道を考えるしかない。

何もしない、
という使い道もある。

私は椅子に座ったまま、
しばらく外を見ていた。

眠れなかった休日の朝は、
損なのか得なのか、
まだよくわからない。

ただ、
5時38分に目が覚めた自分を、
少しだけ笑えるくらいには、
今日も普通に始まっている。

たぶん。

昼過ぎに眠くなる未来まで、
もう見えているけれど。

このような50代の身体、介護、ロスジェネの日常、
元FAX修理CEの視点を毎日書いています。
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