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『チ。―地球の運動について―』読んだよ

漫画『チ。―地球の運動について―』(全8巻)読みました。

(以下、可能な限りネタバレなしでの感想です)

どこかでオススメされていたのがキッカケで読んだのですが、噂に違わず素晴らしい完成度の作品でした。

”C教”から異端として迫害されながらも地動説の探求に挑む人々を描いた作品。
"C教"正統派から「異端者は悪魔に唆されて”勘違い”してしまっているから愛をもって悔い改めさせねばならない」などと言われ、地動説を研究していることがバレたら最後、拷問や処刑までされてしまうというなかなかスリリングな状況の中、それでも真理への探究心から何とか地動説を完成させようと諦めずに這い進む登場人物達の姿がひたすらに感動的なのです。

「地動説」という一見地味なテーマを扱いながら、先が読めないハラハラドキドキのドラマ性、魅力的な各登場人物のキャラ付けなど全てが見事でエンタメ性は申し分ありません。
しかも、その上で「人は何のために生きるのか」「知の探求とはどうあるべきか」「真理とは何か」などの哲学的な問いも呼び起こされるという、理性にも感情にも幾重に訴えかけてくるストーリーにはうならされました。

拷問シーンや戦闘シーンなどが含まれるので暴力描写が苦手な方はつらいと思われる作品ではありますが、耐性がある方はぜひ読んでいただきたい傑作です。


そして、特に面白かった体験が、読者である江草自身がとある重大な"勘違い"をしていたことを、本作を完読してようやく気付かされたことでした。

本作では「地動説」を"勘違い"として弾圧する人たちが出てきます。「地動説」が正しいことを知ってる読者の私たちは「そういう弾圧をする人たちの方こそ"勘違い"じゃん」と苦笑しながら読むわけです。
ところが、江草も(そしておそらく江草以外の多くの読者も)また実は別の”勘違い”をしていたことが、最後の方になって気付かされる仕掛けが本作には施されているのです。
本作の冒頭からずっと違和感なく読んでいたのに、最後の最後の方になってどうも違和感が出てきて、ちょっと調べてみたら、「なんてこった。自分も地動説に関して"勘違い"をしていたのか……」と恥ずかしさのあまり天を仰ぐことになったわけです。
本心は分からないですけれど、おそらく読者たちのこの"勘違い"を作者は完全に狙ってたんだろうなと思います。
どこからどこまでも手練です。脱帽しました。

自身の"勘違い"に気づくのがいかに難しいか。それを痛感させられる非常に優れた作品だと思います。
オススメです。


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