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東京大学2017年:円に関する鏡映(反転)

問題

 複素数平面上の原点以外の点$${z}$$ に対して,$${w=\dfrac{1}{z}}$$ とする。$${z}$$ が次の図形上を動くとき,$${w}$$ の軌跡を求めよ。
(1) 0でない複素数 $${\alpha}$$ がある。点 $${\alpha}$$ と原点Oを結ぶ線分の垂直二等分線上を$${z}$$ が動く。
(2) 1の3乗根のうち1でないものを$${\beta,\ \gamma}$$とする。点$${\beta}$$ と点$${\gamma}$$ を結ぶ線分上を$${z}$$ が動く。

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表現は元の問題とすこし異なりますが,この問題,「反転」の問題だと気がつかれた方はどのくらいおられるでしょうか。高校で数学Ⅲを学ぶとき,教科書によっては(たとえば啓林館の「詳説数学Ⅲ」)章末に「研究(発展)」として掲載されています。これについては後述します。

 さて,この問題,結果を見るには,計算するよりグラフィック描画ソフト(Geogebra やCinderella)やプログラミングで描画するほうが簡単かもしれません。Cinderellaであれば,作図機能で点と必要な図を作図し,数行のスクリプトを書くだけです。(1) の場合は次の4行です。

pz=complex(A);
B.xy=gauss(1/pz);
drawtext([0.9,-0.3],"1",size->18);
drawtext([-0.2,0.9],"1",size->18);

complex(A) は点A(ラベルはz)の座標を複素数pzに変換し,点B(ラベルはw)の座標を$${\dfrac{1}{pz}}$$ を変換したもの(gauss(1/pz))にしています。あとの2行は軸上の「1」の表示です。

リンク先を開くとその図が出ます。緑の点 z をドラッグすると対応して w が動きます。リンク先のアプリではやっていませんが,Cinderella上で,点wの「足跡を描く」設定にすると次のように足跡が点列で残ります。

画像1

点αもドラッグして位置を変えることができます。

 では,計算して,軌跡が円になることを示しましょう。概要です。

$${z}$$ は O$${\alpha}$$ の垂直二等分線上にあるので
   $${|z-0|=|z-\alpha|}$$
が成り立ちます。これに $${z=\dfrac{1}{w}}$$ を代入すると
   $${\left|w-\dfrac{1}{\alpha} \right|=\dfrac{1}{|\alpha|}}$$
となり,円の方程式になります。原点は除外します。

次に(2) です。

リンク先を開いて,同じように点zを動かしてみましょう。Cinderellaでは「足跡表示」で次のようになります。

画像2


円に関する鏡映(反転)

 この東京大学の問題では点$${z}$$ に対して,$${w=\dfrac{1}{z}}$$ としていますが,$${w=\dfrac{1}{\overline{z}}}$$ とした場合を円に関する鏡映(反転)といいます。$${\dfrac{1}{z}}$$ と $${\dfrac{1}{\overline{z}}}$$ は共役なので実軸に関して対称です。次の図がその位置関係です。点$${z}$$ と 点 $${\dfrac{1}{\overline{z}}}$$ は円周に関して対称な位置にあります(鏡映)。

画像3

複素数を使わなければ,点P(z) に対して,円の半径を r としたとき,OP×OP'=r$${^2}$$ となる点P' がPの(円に関する)鏡映,という表現もあり,大学入試問題ではこの形で出題されることもあります。
 では,次のリンクをクリックして,円に関する鏡映を試してみましょう。

次の画面が出ます。

画像4

 点zをドラッグすると,$${\dfrac{1}{z}}$$ の点と$${\dfrac{1}{\overline{z}}}$$ の点が動きます。$${\dfrac{1}{\overline{z}}}$$の点は円周に関してちょうど反対側(対称点)にくるでしょう。
緑の点をドラッグすると直線の位置が変わります。黒い単位円の中に入れることもできます。
青の点は,青の線分を動かします。鏡映は弧になります。
赤い円は中心をドラッグして位置が変わり,円周をドラッグすると半径が変わります。
いろいろ動かしてみましょう。

※Cinderella(CindyJS)で作成しています。