近畿大学2002:包絡線
問題
座標平面上に,動点P$${(5,\ 10t)}$$ とQ $${(-10t,\ -10t^2)}$$ がある。2点P,Qを通る直線を $${\ell}$$ とする。
(1) 任意の実数 $${t}$$ に対して,直線 $${\ell}$$ の方程式を求めよ。
(2) $${t}$$ がいろいろな実数値をとって変化するとき,直線 $${\ell}$$ の存在する領域を求めよ。
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実際の問題は,(2) は円の周および外部(1点を除く)であるとされ,その方程式を求めるようになっています。また,全体は穴埋め問題の形式です。
このような「直線の存在範囲」の問題は,かなりオーソドックスな問題で,領域の境界線は放物線のものが多いでしょう。解法も,たいていは「判別式 D≧0」を使います。
ちょっと計算してみましょう。
(1) P$${(5,\ 10t)}$$ とQ $${(-10t,\ -10t^2)}$$ を通る直線なので
$${y=\dfrac{-10t^2-10t}{-10t-5}(x-5)+10t}$$
として,
$${(2t^2+2t)x-(2t+1)y+10t^2=0}$$
となります。
(2) (1) の2次方程式について,判別式 $${D \geqq 0}$$ を使います。ただし,使うのは(1) の2次方程式ではなく,$${t}$$ について整理し直した2次方程式
$${(2x+10)t^2+(2x-2y)t-y=0}$$
に対してです。ここで疑問が出るでしょう。
・なぜ $${t}$$ について整理し直すのか。
・なぜ判別式を使うのか。
問題集の解答だと,単に「$${t}$$ について整理し,解の実数条件から」と書かれているだけだったりします。説明がないのです。「座標平面で扱っているのは実数だから」ではいまひとつ説明が足りないでしょう。生徒にとってもわかりにくいところです。
それを考えるためにも,実際に $${t}$$ の値を変化させて状況を見てみましょう。
リンク先をクリックすると,始めは次の画面が出ます。

緑の点をドラッグすると t の値を変えることができます。

Pの座標は $${(5, \ 10t)}$$ なので直線上を動き,Qの座標は$${(-10t,\ -10t^2)}$$ なので放物線上を動くことはわかるでしょう。次の赤の曲線上です。

ただし,この図は表示されません。
P, Qを動かしみて直線PQの「存在領域」をイメージしましょう。
「軌跡 表示」ボタンを押すと,直線PQが何本も引かれます。

このとき,赤いスライダも表示され,このスライダで,表示する直線PQ(軌跡)の本数を変えることができます。

軌跡を表示したままでも緑の点はドラッグできますが,本数が多いと動きが鈍くなります。これは,画面上でなにか操作をするたびに画面を書き換えるため,本数が多いと時間がかかるからです。
さて,この図を見ながら考えましょう。
領域内の点$${(x,\ y)}$$を直線$${\ell}$$ が通るということは,その点に対応する直線の方程式がある,すなわち係数になる$${t}$$ の値がある,ということです。そこで,$${t}$$ について調べると2次方程式ができて,その実数解が存在する,と考えることになります。なお,判別式は2次方程式に対するものなので,2次方程式にならない場合,すなわち $${x=-5}$$ の場合は除外されます。これが除外点です。
この点は,図でいうと,ちょっと角のように出たところです。この点を通る直線は存在せず,それに近いところまでが描かれます。
なお,この境界線(ここでは円)のことを「包絡線」といいます。高校の数学の教科書にはこの言葉は載っていません。大学入試問題でも,用語としては登場しませんが,問題としては出るということです。
※図はCinderella(CindyJS)で描いています。
